令和3年2月定例会での一般質問が終わりました。

今回の登壇では、志帥会永山会長の代表質問を受け、一般質問として原子力災害対応・小名浜港の利活用・農業担い手の確保・育成の3点について、市の考えを質しました。

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1.いわき市国土強靭化地域計画における原子力災害対応について 

 大きな質問の1番目は、「いわき市国土強靭化地域計画における原子力災害対応について」です。

 現在、福島第一原子力発電所廃炉作業も着々と進められています。しかし、その中で、様々なトラブルが発生しているとの報道も耳にいたします。また、福島第二原子力発電所においても、昨年廃炉が決定し、本県では世界でも類のない合計10基の原子炉の廃炉作業を同時に進めることとなり、いわき市として両原発廃炉作業が安全に進められるように対策を講じていく必要があると思います。

 本市は、昨年12月、東日本大震災そして原発事故や令和元年東日本台風などから得た教訓を踏まえ「いわき市国土強靭化地域計画」を策定し、その中では、「起きてはならない最悪の事態」を回避するための施策推進に伴う、今後の原子力災害に対する備えについても示されています。

 そこで、本市の原子力災害対応の取り組みについて伺います。

1点目は、「原子力発電所の安全監視について」です。

 「いわき市国土強靭化地域計画」そして、本年の年頭所感の中で「原発事故への対応」に触れており「廃炉・汚染水対策の安全かつ着実な推進」などについては、引き続き国及び東京電力に強く求めるとのことでした。本市が、そのような対応を進めていくには、両原発の現在の状況について、しっかりと把握そして分析することが大変重要と考えますことから、1つとして、ア.福島第一・第二両原発廃炉作業の状況について、本市はどのように把握しているのか伺います。

【答弁】危機管理監    福島第一及び第二原子力発電所における廃炉作業の状況につきましては、本市も参画しております国の「廃炉・汚染水対策福島協議会」や、県の「廃炉安全監視協議会」において、総括的な確認や協議をするとともに、具体的な進捗状況については、国の廃炉・汚染水対策現地事務所から、毎月直接説明を受けるなど、様々な機会を通して、その把握に努めているところであります。 また、廃炉作業等に係る突発的なトラブルが発生した場合におきましては、東京電力、県及び本市を含めた原発周辺市町村三者で締結しております「廃炉の実施に係る周辺市町村の安全確保に関する協定」、いわゆる安全確保協定に基づき、東京電力から直接本市に対して迅速かつ正確に通報連絡がなされる体制を構築し、適宜、両原発の状況について把握しているところであります。                        

   市国土強靭化地域計画の中では「県の廃炉安全監視協議会等を通して廃炉作業を監視していく」と記載されていますが、この「福島県原子力発電所廃炉に関する安全監視協議会」は、原発事故後の平成24年12月、国及び東京電力廃炉に関する取り組み状況について多角的そして継続的に厳しい目線で安全監視を行うことを目的に、本市を含む関係13市町村と学識経験者で設置されたとのことです。

 そこで2つとして、イ.この廃炉安全監視協議会では、どのような取り組みを行っているのか伺います。

【答弁】危機管理監     県の「廃炉安全監視協議会」は、本市を含めた原発周辺市町村のほか、「放射線防護」や「原子力工学」、「労働安全」など幅広い分野の学識経験者から構成されており、廃炉の状況に対して様々な専門分野からの視点を取り入れ、現地での調査も行いながら、両原発の安全確保状況について確認する取り組みを行っております。 また、例えば、福島第一原発3号機から使用済み燃料を取り出す作業で使用するクレーンの安全対策や豪雨時における土木対策など、様々な事態を想定し、専門的な見地から、必要に応じて追加対策を求める取り組みを併せて行っているところであります。          新聞報道によれば、前回の廃炉安全監視協議会では、汚染水対策や1号機内の設備解体の状況及び3号機内の燃料クレーンの状況などについて、協議が行われたとのことですが、その内容を見ますと、両原発の状況を毎日監視しているものではなく、定期的に取り組みを行っているようです。危険が伴う廃炉作業については、その状況を常時監視できる環境が必要だと思いますが、3つとして、ウ.リアルタイムではどのように監視しているのか伺います。

【答弁】危機管理監     市といたしましては、福島第一原発における廃炉作業の状況のほか、燃料の冷却状況や、タンクからの漏えいの有無等の原発の状況、さらには敷地内におけるモニタリング結果について、東京電力から毎日連絡を受け、確認をしております。それに併せて、両原発において何らかのトラブルが発生した際には、県が周辺市町村に配備している「環境放射線監視テレメータシステム」を活用し、敷地内及び周辺における空間放射線量率や大気中に浮遊する放射線物質の量などをリアルタイムで監視・確認し、必要な対策を講じることとしております。                                                                                   

 廃炉については、国や県あるいは専門家がその安全性を確認しながら作業が進められていると聞きましたが、福島第一原発は30年から40年、第二原発廃炉作業には44年かかるとのことです。

 原発事故の反省を踏まえれば「絶対に事故は起きない」ということはなく、万が一の事態には常に備えておく必要があると思います。

そこで、 2点目として「市地域防災計画(原子力災害対策編)に基づく原子力防災体制の充実強化について」伺ってまいります。

 「市地域防災計画」及び「県原子力災害広域避難計画」に基づき、福島第一 そして福島第二原発において、原子力災害対策特別措置法に定める新たに原子力災害が発生、もしくは発生する恐れがある場合に、市域を越えた住民避難等の応急対策を迅速に実施するため、「いわき市原子力災害広域避難計画」が平成28年に策定されました。

 この広域避難が将来にわたって実施されないことを心から望みますが、しかし、万が一計画が実行となった場合、いち早く避難体制がとれるように、平常時から両原発の状況把握が大変重要です。そこで仮に、新たな異常が発生した場合、原発敷地内及び原発周辺において空間放射線量率等に変化が現れると思いますが、まず1つとして、ア.平常時のモニタリングについてどのような体制をとっているのか伺います。

【答弁】危機管理監      福島第一及び第二原発周辺における空間放射線量率や土壌、海水中における放射性物質の濃度などの環境放射能の監視につきましては、国の「総合モニタリング計画」に基づき、原子力規制委員会環境省等が実施するほか、県においても「発電所周辺環境モニタリング計画」に基づき、県環境創造センターが実施しており、市といたしましては、こうした測定結果について随時、国や県と共有し、確認するとともに、東京電力が実施している原発敷地内のモニタリング結果についても、毎日確認しているところであります。 また、県の「廃炉安全監視協議会」のもとには本市を含む周辺市町村も参画している「環境モニタリング評価部会」が設置されており、当該部会においては、「環境放射能」や「水産資源学」を専門とする学識経験者などからの視点を踏まえ、モニタリングの結果について確認を行い、評価するなど、より専門的な見地から、原発周辺の放射線環境について確認しているところです。             

 原発で異常が発生した場合、国や県を経由して情報が入ってくるようでは、市民の皆様を守るための体制に遅れが生じてしまう恐れがあります。

 東日本大震災及び原発事故で、市民の皆様が一番必要としていたものは原発などに関するリアルタイムでの情報だったと思います。当時のことを教訓とすれば、市としていかに早く正確な情報を市民の皆様にお知らせできるかが非常に重要であり、事業者である東京電力から速やかな情報を直接得る必要があると思いますが、2つとして、イ.そうした事故時において、直接、原子力事業者と安全に関する情報共有ができる体制は、どのようになっているのか伺います。

【答弁】危機管理監   「原子力災害対策特別措置法」に該当する重大な事故が発生した場合には、東京電力のみならず、国及び県からも、本市に対して直接通報がなされるほか、原発の状況についての情報共有に関する役割を担う情報連絡員、いわゆるリエゾンとして、東京電力社員が市災害対策本部へ派遣されることになっており、どのような状態でも迅速かつ確実に原発の状況を把握できる体制の構築を図っているところであります。 また、「原子力災害対策特別措置法」に該当しない、比較的軽微なトラブルにつきましても、「安全確保協定」に基づき、東京電力から直接、本市に対して通報されることになっております。 

 13日の余震の際にも、福島第一・第二原発の状況は大変心配されました。

多様な手法を使いながら、建屋の状況や燃料プール内の状態、そして原発周辺の空間放射線量率の変化などを直接、原子力事業者から情報収集し、少しでも早く発信できるように、引き続き努めていただきたいと思います。

 それでは次に、万が一、いわき市全域に避難指示が発出された場合には、約34万人が市外へ避難することとなり、西方面では、県内の21市町村プラス新潟県24市町村。南方面では、茨城県内35市町村の2方面が指定されています。

 避難先が、多くの市町村にまたがることから、円滑な避難体制を維持していくために、受け入れ先の市町村との間で原発の状況などについて情報を共有することが大変重要だと考えますが、3つとして、ウ.受け入れ先の自治体と情報共有の取り組みをどのように行っているのか伺います。

【答弁】危機管理監     「市原子力災害広域避難計画」におきましては、県内原発で新たな災害が発生し、本市へ避難指示が発令されるような、万が一の事態に備え、同時被災のリスクが少ない広域の避難先を定めており、各市町村とは協定締結等を通し、実効性のある避難受け入れ態勢の構築に取り組んでいただいているところです。

   当該取り組みにおいて、避難先市町村と情報を共有することは重要であることから、随時、県と連携しながら関係者が一堂に会する場を設け、県内原発の状況について定期的に情報を共有するほか、有事の際の確実な情報伝達方法等について協議・確認を進めており、本年度においては新たに、茨城県内の避難先市町村との通報連絡訓練を実施したところであります。  今後も、避難先市町村との情報共有を密にするとともに、実践的な通報連絡訓練の実施など、円滑な避難体制を維持するための取り組みに努めてまいりたいと考えております。                                                       

 水害や地震災害などの自然災害は「すぐ逃げる」ことが重要ですが、原子力災害は、放射線から身を守るためには「すぐに逃げる」ことではなく「まずは、正しい情報を入手し屋内に退避する」ことが非常に重要であるとされています。確かに、10年前の原発事故の際には、早めに避難された方が、逆に風下で放射線の高い方面に避難してしまうということがあったとも聞いています。

 以前の「原子力災害時の広域避難」に関する答弁で、避難の手順については、原子力災害が発生した場合、まずは放射線による被ばく量を少なくするため、遮蔽効果のある自宅等の屋内に避難する「屋内退避」を指示し、その後、万が一、市内の空間放射線量率が上昇し避難しなければならなくなった場合には、周辺各地の状況を勘案しながら、空間放射線量率の高い地区の皆様から順次市外への避難を指示することが示されました。こうしたことから、4つとして、原子力災害の特殊性として「すぐに避難する」のではなく「屋内退避」の重要性について市民の皆様に広く周知するべきと考えますが、市の所見を伺います。

【答弁】危機管理監      原子力災害時における屋内退避の重要性の周知につきましては、「正しい情報を知るための方法」や「市外への避難方法」のほか、「屋内退避の重要性や注意点」等についてわかりやすくイラストでまとめた「原子力防災の手引き」を、平成30年に各世帯へ配付したほか、出前講座等の機会を活用しながら取り組んでいるところであります。 さらには、実践的な場である市原子力防災訓練において、実際に市民の皆様に屋内退避の体験をしていただきながら、その重要性についての周知に努めているところであり、今後も引き続き、様々な機会を活用しながら、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。                   

   いざという時しっかりと行動できるよう定期的に原子力防災訓練を実施するなど、市民の皆様に覚えていただく必要があります。そこで5つとして、オ.市民の皆様への知識普及を進めるための原子力防災訓練をどのように実施しているのか伺います。

【答弁】危機管理監    市原子力防災訓練につきましては、原子力災害の特殊性を踏まえ、図上訓練と実動訓練を組み合わせた訓練を計画し、平成26年度に久之浜・大久地区で実施したことを皮切りに、毎年、対象地区を変えながら実施しているところであります。具体的には、まず図上訓練においては、「すぐに逃げずにまずは屋内退避」、「五感では感じ取れない放射線から身を守る」など、自然災害とは異なる特殊性について学んでいただき、そのうえで、「流言に惑わされない確実な情報伝達」など、災害時における課題と解決策を地区の皆様に検討していただく内容としております。

   また、実動訓練においては、防災メールやFMいわき等の広報を通した「情報伝達」、「自宅等における屋内退避」、「一時集合場所への移動」、さらには、「バスによる避難」や放射性物質が付着していないかどうかを確認する「避難退域時検査」など、原子力災害時に市民の皆様がとっていただく一連の行動を想定した内容となっており、陸上自衛隊消防団などの防災機関のほか環境再生プラザや放射線リスクコミュニケーション相談支援センター等の原子力関連機関など、多数の関係機関にご協力をいただきながら実施しております。

    平成30年の4月に、避難マップ付きの原子力防災の手引きを作り、「原子力災害が起きた時に取るべき行動」などの5項目を、大変わかりやすく掲載しています。しかし、この手引きの活用を忘れかけている方も多いと思います。

 日ごろから家庭においても、防災意識の低下が進まないように、万が一に備えた対応の確認もお願いしたいと思います。そして引き続き、国や県に対して市民の皆様の安全確保のため、さらに効果的な原子力防災対策の推進について求めていくことが必要です。6つとして、カ.今後、原子力防災対策をさらに確実に推進するため、市としてどのように取り組んでいくのか伺います。

【答弁】市長     福島第一原発事故の教訓を踏まえ、これまで、より確実な情報収集体制の構築、原子力防災資機材の整備、広域避難体制の構築など、国、県、関係市町村及び関係機関と協議を進めながら、原子力防災対策の充実、強化に取り組んでまいりました。 今後さらに、原子力防災対策を確実に推進するためには、市のみならず、市民の皆様一人ひとりの意識の高揚や、地域が連携した取り組みが、ますます重要となっておりますことから、市が取り組む対策の、より一層の充実、強化を図ることはもちろん、さらには、「原子力防災の手引き」や出前講座等の機会を通して防災知識の普及啓発に努めるとともに、自主防災組織等が参画する市原子力防災訓練による実践的な取り組みを推進するなど、市、市民の皆様、地域が一体となった原子力防災対策の推進に向け、鋭意、取り組んでまいりたいと考えております。

    これから、地域におけるリーダーとして期待される子供たちへの放射線教育を通した原子力防災への意識醸成についても大変重要だと考えます。

そこで3点目は、「学校における放射線教育の現状について」です。

 今年の正月の新聞紙面に、原発事故による風評被害や偏見をなくし復興を進めていくためには、放射線教育の充実が欠かせないという内容の記事が載りました。

 三菱総研が昨年、東京都の20歳から69歳に行った調査で、放射線の影響により、今後福島県民に「がん」などの健康影響がでたり、次世代に遺伝的影響が生じる可能性が高いと考えている人が4割を超えており、一昨年の調査と回答の割合が変わっていないことを取り上げ、科学的知見に基づかない誤った知識は、偏見や差別の要因となり、原発事故と放射線について正しい知識を広めることが重要だと書いておりました。

 今以上に、私たち大人がそのような現実を減らしていく努力を進めていくことと併せて、これからを担う子供たちに対する放射線教育への取り組みも大変重要だと考えますことから、

 1つとして、ア.東京電力福島第一原子力発電所の事故後、市内小中学校ではどのように放射線教育を進めてきたのか伺います。

【答弁】教育長     市内小中学校における放射線教育につきましては、市教育委員会が作成した放射線等に関する教育計画に基づき、平成24年度から、学級活動の授業や、総合的な学習の時間などにおいて、文部科学省作成の放射線副読本や県教育委員会作成の指導資料を活用しながら、放射線に関わる基礎的な知識の習得を図るとともに、それらを活用して、自ら考え、判断し、行動する力の育成を目指し、児童生徒の発達段階に応じた学習を進めてきたところであります。

  放射線や防災に関する知識を習得・活用して、自ら考え、判断し、行動する力、生き抜く力を身に付けることを重要視してきたとのことですが、それでは2つとしてイ.児童・生徒の放射線に対する現在の認識についてどのように把握しているのか伺います。

【答弁】教育長    児童生徒の放射線に対する認識の現状につきましては、放射線の身近な利用や放射線の影響などの基礎的な理解が進んできたものと捉えております。

    一方で、東京電力福島第一発電所の事故から間もなく10年が経過することを踏まえ、さらなる放射線に関する基礎的な知識の定着とともに、事故発生時の様子や復旧・復興に向けた取り組みを風化させずに、児童生徒に伝えていくことが、今後の課題であると考えております。

    そこで3つとして、ウ.今後、放射線教育について、どのように推進していくのか伺います。

【答弁】教育長     市教育委員会といたしましては、引き続きこれまでの取り組みを進めながら、震災の記憶や教訓を学ぶことができるいわき震災伝承みらい館の活用を促すなどして、防災に関する学習との関連を図って行くとともに、目には見えない放射線の特徴について児童生徒の理解がより深まるよう、外部講師による出前講座や、福島県環境創造センターの施設見学などの体験を通した、学ぶ機会の設定を積極的に働きかけてまいりたいと考えております。さらには、風評被害などの放射線に関する身近な問題について、正しく判断し、発信できる力を育む放射線教育を推進してまいりたいと考えております。

   これからも引き続き、安全な社会づくりに貢献し、震災を風化させることなく風評被害や偏見などについても、しっかりと考えることができる子供たちを育てていただくようお願いいたします。市民の皆様の「安心」を醸成してくれる人材を育成していくためにも、放射線教育そして原子力防災関連の施策をさらに前へと進めていただけるよう要望して、次に移ります。

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2.小名浜港を核とした次世代エネルギーの利活用について 

  大きな質問の2番目は、「小名浜港を核とした次世代エネルギーの利活用について」です。

 小名浜港の歴史は、明治時代に常磐炭鉱の石炭の積み出しが本格化して、石炭の積出港として勢いを強めてきましたが、戦後の高度成長に伴うエネルギーの転換とともに、石炭産業も斜陽化していき、エネルギー資源の大半を海外に依存する状況となったため、輸入で取扱う石炭等のエネルギー貨物が大半を占める港になっています。現在、小名浜港は多くの港湾関係者の御尽力により、石炭の国際バルク戦略港湾や特定貨物輸入拠点港湾に位置付けられ、小名浜港国際バルクターミナルが供用されるなど、首都圏及び南東北圏のエネルギー供給を支える国際的な物流拠点として着実な発展を遂げています。

 平成25年10月の一般質問で、東日本大震災及び福島第一原発事故後、福島イノベーション・コースト構想のもとで、原子力に代わる再生可能エネルギーとして、風力や太陽光、地熱、水力など様々な自然エネルギーによる発電が注目されたことや、高効率のIGCCが低炭素化の一翼を担う新たな技術を有する火力発電として存在価値が大変大きいこと、国際バルク戦略港湾の選定などにより、海上輸送の効率化とコスト軽減に大いに貢献する港になりえること。さらには、小名浜港に多くの石炭が集まることで、産炭地として名を知らしめた本市が、またエネルギー先進地として全国から注目される地域になりえることを、当時、期待を込めてお話をいたしました。

 そこで、今回は、国際バルク戦略港湾に選定された小名浜港が、これからどのようにして、拠点港湾としての使命を果たしていくのかについて、また脱炭素化が求められていく中で、次世代エネルギーの導入などに対応しながら、今後どのように利活用していくのか伺ってまいりたいと思います。

1点目は、「小名浜港の現状について」です。

 小名浜港には、9つのふ頭があり、3号ふ頭は主に金属鉱などの鉱産品。4号ふ頭は化学工業品を取り扱い、背後には化学薬品タンク群が設置されています。5号ふ頭は金属鉱を、6号と7号ふ頭は、主に発電用燃料となる石炭を、また、藤原ふ頭は再利用資材、大剣ふ頭では外貿コンテナを扱っています。このように、小名浜港は、今日まで多種多様な貨物を取り扱い、中でも石炭などのエネルギー関連貨物の取り扱いを核として繁栄してきたことがわかります。

 そのようなことを踏まえ、まず1つとして、ア.小名浜港の利用の現況はどのようなものか伺います。

【答弁】産業振興部長    小名浜港は、平成23年の石炭の国際バルク戦略港湾の選定、さらには、平成25年の全国初となる石炭の特定貨物輸入拠点港湾の指定等を通じ、首都圏から南東北圏までの広範なエネルギーの供給を支える国際的な物流拠点として発展を遂げており、極めて重要な社会基盤となっております。 こうした中、小名浜港の利用状況について、令和元年度における総取扱貨物量の実績で申し上げますと、約1,592万トンで、そのうち約74%となる約1,176万トンが石炭や原油重油等のエネルギー関連貨物であり、主要な取り扱い貨物となっております。

    国際バルク戦略港湾は、国が国内における石炭や鉄鉱石、穀物のバラ積み貨物の輸入拠点として、安定的かつ安価な輸入の実現が可能な大型船に対応した機能整備等を実施する港湾のことであり、小名浜港が東日本地域の石炭供給を支える拠点港として選定されたことは、整備促進及び利用拡大という観点からさらなる進展に期待がもてるものです。そこで選定により整備が進められている東港の進捗はどのようになっているのか、2つとして、イ.国際バルク戦略港湾選定に伴う東港の整備状況について伺います。

【答弁】産業振興部長    東港地区の国際物流ターミナルは、平成20年度に事業化され、これまで、国・検討により、着実に整備がすすめられてきたところであります。

    平成30年度には、石炭を扱う公共岸壁としては国内最大級となる大水深耐震強化岸壁が竣工し、昨年10月に、小名浜港では最大級となる大型バルク船の入港に合わせて、供用が開始されたところであります。

 令和元年における小名浜港の石炭の取扱量は約1,029万トンであり、昨年完成した勿来のIGCC、さらには隣接する広野町のIGCCが今後供用開始されれば、さらに取扱量の増加が見込まれるところです。

 3つとして、ウ.東港整備後の石炭取扱量の見通しはどのようなものか伺います。

【答弁】産業振興部長   小名浜港における石炭取扱量の見通しにつきましては、今後、勿来及び広野の両IGCCの本格稼働等に伴い、東港地区等において、新たにそれらの燃料となる石炭約600万トンの取扱いが見込まれておりますことから、全体の取扱量といたしましてはこれまでの約1,000万トンから約1,600万トンに増加する見通しであります。

 今後の見通しとして、現在より約600万トンの増加が見込まれ、その動向は大いに期待できるものですが、現在、東港の利用部分は陸側の約半分と聞いています。沖側の未利用部分の利活用についても、官民一体となり早期実現に向けて取り組んでいただきたいと思います。

 世界的にカーボンニュートラルに向けた動きが進む中、昨年10月、菅総理は、2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを宣言しました。石炭の国際バルク戦略港湾に位置付けられている小名浜港も、その流れに沿った対応をとらなければならないと考えます。

 温室効果ガスゼロを2050年までに目指していくことは大変な困難を伴いますが、その難しい問題を前に進めていくためには、石炭などの化石燃料から排出される二酸化炭素を減らしていく技術開発と同時に、再生可能エネルギーへの速やかな移行を行いながら、地球に負荷のない社会づくりを進めて行くことが必要です。そこで4つとして、エ.今後、再生可能エネルギーが推進されていく中での、小名浜港が果たす役割についてどのように考えているのか伺います。

【答弁】産業振興部長 現在、市内2か所において大規模な木質バイオマス発電所の整備が進むとともに阿武隈地域等において300基を超える風力発電施設の整備が計画されるなど、県内においては、着実に再生可能エネルギーの導入拡大が進んでおります。

 こうした中、小名浜港は、木質ペレット等の燃料や発電施設の部材等を海外から輸入するうえで欠かすことのできない物流拠点として位置づけられており、「福島新エネ社会構想」や「福島イノベーション・コースト構想」の実現に向けて、再生可能エネルギーの整備面から運用面に至るまで、幅広い活用が求められる極めて重要な社会基盤であると認識しております。

 福島県は、2040年頃までに、県内エネルギー需要の100%相当量を再生可能エネルギーで生み出すことを目標とした福島県再生可能エネルギー推進ビジョンの達成を目指し再生可能エネルギーの導入拡大を進めています。

 小名浜港は、再生可能エネルギーの導入促進を図る上で、極めて重要な物流基盤として役割を担っていると考えていますが、5つとして、オ. 小名浜港における再生可能エネルギー関連貨物の取扱い見通しについて伺います。

【答弁】産業振興部長 今後、木質バイオマス発電所の燃料として、木質ペレット及びパーム椰子殻、約90万トンが輸入されるため、それらの取扱量は、現在の10倍の約100万トンとなる見通しであります。同じく、阿武隈地域等における大規模な風力発電施設の整備に伴い、ブレードやタワー等の部材が輸入される見通しとなっており、今後ますます、再生可能エネルギーの導入拡大が進むことで、小名浜港における関連貨物の取扱いは、増加していくものと考えております。

 小名浜港は、再生可能エネルギー関連の物流拠点として大変大きなポテンシャルを持ち得る社会基盤であり,効率よく化石燃料を使いながら、水素やアンモニアなどの次世代エネルギーへ移行する際の拠点になりえると私は考えています。

再生可能エネルギー、さらには次世代エネルギーの拠点として、小名浜港のさらなる飛躍を実現するために専用の工業団地を港湾エリアに新設するなど、所在自治体として国・県に強く要望していただくことお願いして、次に、今後の次世代エネルギーの利活用に対応する小名浜港の動向について伺います。

2点目は「小名浜港における脱炭素化について」です。

 現在、世界的に叫ばれている脱炭素社会を進めるためには、「カーボンニュートラル」という考え方を理解しなければなりません。

 地表、海、大気で炭素は、生物の呼吸、有機物の燃焼、腐敗などにより、二酸化炭素(CO2)の形で大気に放出されていますが、植物は光合成によってCO2を吸収し、海も大気と接することでCO2を吸収していますので、排出・吸収といった循環はするもののそれぞれの量は安定しています。しかし、人間の化石燃料使用により、地中に固定されていた炭素をエネルギーとして利用し、大気に放出しているため、炭素濃度が上昇して温暖化を引き起こしています。これらの排出量と吸収量が等しく、元のバランスが変わらないようにしていくことが『カーボンニュートラル』です。

 国の2050年の脱炭素社会に向けた動きの中では、カーボンニュートラルを目指す上で重要なエネルギーは水素とされ、水素の利用拡大のためには、港を水素利用拡大の中枢にすることが言われております。

 こうした中、国はカーボンニュートラルを目指す港湾を「カーボンニュートラルポート」と位置づけ、その形成に向けて検討を行う港として、小名浜港を全国6地域7港湾のうちの1港に選定しました。本市が震災から更なる復興・創生を進めていく中においては、世界的な脱炭素化に向けた動きに呼応し、エネルギー先進地を目指していくことが絶対であると考えています。そこで1つとして、ア.国が取組みを始めたカーボンニュートラルポートとはどのようなものか伺います。

【答弁】産業振興部長 国の調査・分析によりますと、港湾・臨海部に多く立地する発電所や化学工業等の工場から排出されるCO2の量は、CO2排出量全体の約6割を占めるとされております。そのため、国におきましては、脱炭素社会の実現をより効果的に進めるため、水素やアンモニア等の次世代エネルギーの大量輸送や貯蔵、利活用等を図るとともに、脱炭素化に配慮した港湾機能の高度化等を通じて、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする国際物流の結節点及び産業拠点となる港湾を、「カーボンニュートラルポート」とし、重点的に取組みを進めることとしたものであります。

 2つとして、イ.小名浜港カーボンニュートラルポートの形成を検討する港湾として選定された要因を伺います。

【答弁】産業振興部長 小名浜港の選定にあたりましては、港湾背後に素材系の臨海部産業が集積していることや、小名浜港を利用する火力発電所においてアンモニア混焼の可能性があること、さらには、貨物運搬車両用の燃料電池車への転換による脱炭素化の効果が見込まれることなどが主な選定要因となったものと伺っております。

 小名浜港背後に集積する産業の存在などが要因とのことですが、それでは3つとして、ウ.選定によって本市にもたらされる効果はどのようなものか伺います。

【答弁】産業振興部長 今回の選定によりまして、港湾における脱炭素化に向けた新たな仕組みづくり等に関し、小名浜港関連事業者の皆様の意識醸成が図られるとともに、小名浜港の実態に即した具体的な検討が行われることで、今後におきましても、全国の他の港湾に先行し、実証を行うモデル的な取組みへ進展するものと、その効果を大いに期待しているところであります。さらに、将来的には、カーボンニュートラルポートとしての港湾の取組みに留まらず、脱炭素化社会の構築に向けて、水素やバッテリー、風力発電等の市内産業の振興や地域経済の活性化に、いち早くつなげることができるなどといった効果にも期待しているところであります。

 港湾関係者の意識醸成が図られ、小名浜港が他港に先行して取組みが進められる効果を期待しているとのことでありました。すでに1度目の検討会が開催され、本日2回目の検討会が行われていると聞いていますが、4つとして、エ. 先に行われた検討会において、国からの説明や参加者の意見などはどのようなものだったのか、協議された内容について伺います。

【答弁】産業振興部長 去る1月27日に開催された第1回検討会におきましては、国、県、市及び関係事業者の方々約70名の参加の下、国等からの当該事業に関する趣旨説明のほか、各委員による意見交換を主な内容として進められたところであります。

 具体的には、国からは、カーボンニュートラルポート形成にあたって想定される具体的な取組み事例等について説明がなされるとともに、県からは、「福島県再生可能エネルギー推進ビジョン」に基づく取組みや水素社会のモデル構築に向けた取組みの状況について報告がなされたところであります。また、委員による意見交換におきましては、既に、水素やアンモニアを活用した取組みを実践、検討している事業者から、その状況について説明があったほか、アンモニア混焼火力発電や燃料電池トラックの導入実現に向け、技術的観点から関心が寄せられるなど、今後の具体的な検討につながる意見等をいただいたところであります。

 今後の具体的な検討につながる意見があったとのことでしたが、そのような意見を積み重ねながら、ぜひとも官民一体となって早期実現に向けて進んでいただきたいと思います。そこで5つとして、オ. カーボンニュートラルポート検討会の今後の進め方について伺います。

【答弁】産業振興部長 今後、検討会は、年度内に2回程度の開催が予定されており、その中で港湾及びその周辺地域における次世代エネルギーの利活用の方策や拠点の形成、関連産業の立地促進など、脱炭素化に向けた具体的な取組み、さらには、それらを進める上での課題等について、小名浜港の実態を踏まえた協議・検討を重ねながら、取りまとめていくこととされております。

 カーボンニュートラルポート形成に向けた方向性を確認しながら、進めていくという流れはわかりました。本市は、港湾エリアの関係事業者等と連携しながら、カーボンニュートラルポート実現に向け、所在自治体として果たす役割も大変大きいものがあると考えます。そこで6つとしてカ. 小名浜港カーボンニュートラルポート実現に向けた本市の今後の活動について伺います。

【答弁】市長 小名浜港におけるカーボンニュートラルポートの実現に向けた本市の今後の活動といたしましては、まずは検討会におきまして、小名浜港の実態を適切にとらえた具体的な取組み内容について委員の皆様と連携・協調しながら、しっかりと取りまとめていく考えであります。今後それらを基とした、実証モデル的な取組みへの進展が期待されますことから、国の方針や動向等に関する関連情報の収集に努めるとともに、事業の具現化等に向け、私が会長を務める小名浜港整備促進期成同盟会をはじめ、港湾関係団体の活動等を通じ、官民一体となった取組みを積極的に進めてまいりたいと考えております。

 本市も、小名浜港を核として、次世代エネルギーを活用し、温室効果ガスの排出削減を進めながら、将来にわたって地域産業を支えていくために、必要となる国等の支援については、小名浜港整備促進期成同盟会の要望活動等を通じて求めるとともに福島県における水素社会実現に向けた実証地域モデル形成の適地として、港湾周辺地区でのエネルギー拠点形成や資源エネルギー産業等の立地促進・企業誘致などにも、力を注いでいただくことを強く要望して、次に移ります。

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3.農業における担い手の確保・育成について 

 大きな3番目の質問は、「農業における担い手の確保・育成について」です。

1点目は、「本市の農業就業人口の現況について」です。

 現在、農業に従事している担い手の皆さんの多くは、長い経験による豊かな知識によって効率的な農業手法の向上など大変な努力をしており、すぐに新規就農者がとって変われるものではないことは明らかでありますが、全国的に問題化している農業従事者の皆さんの高齢化や収益の不確実性など、様々な要因により、農業に対する意欲の減退などから耕作地の維持管理にも影響が及ぶことで、耕作放棄地が結果的に増えてしまうということが本市でも非常に懸念されています。

 前回質問の「農業担い手の確保」の中で、担い手確保の基本は、地域で一生懸命農業を営んでいる担い手の皆さんが、これからもしっかりと農業経営が持続できるよう国・県・市の制度を十分受けられることが必要で、さらに新規就農希望者や新規就農者が、地域にあった経営手法などのアドバイスが受けられ、就農希望者の立場に立った具体的で実現性の高い就農相談や支援を受けやすくしなければ農業担い手の確保の問題は解決に向かっていかないのではないかとお話しさせていただきました。

 今回、就農支援の体制などに動きがあるとのことから、新たな農業担い手確保・育成の内容について伺っていきたいと思います。まず本市では、農業にどのくらいの方が携わり、近年どのように変化しているのか、1つとして、ア.本市の農業就業人口はどのように推移してきたか伺います。

【答弁】農林水産部長  本市の農業就業人口の推移につきましては、農林業センサスによりますと、平成7年は12,058人、平成12年は10,594人となっており、その後も減少傾向が続き、平成27年には5,228人と、平成7年と比べて半数以下まで減少しております。

 次に、本市農業の中心的な担い手である認定農業者数の動向についてです。

 2つとして、イ.本市の認定農業者数の推移はどのようになっているのか伺います。

【答弁】農林水産部長   本市の認定農業者数の推移につきましては、過去5年間で申し上げますと、平成28年度機255経営体、平成29年度は262経営体、平成30年度は275経営体、令和元年度は265経営体、そして本年の1月7日時点では249経営体と、平成30年度までは、年々増加傾向にありましたが、令和元年度以降は減少傾向となっております。

 農業就業人口は、ここ20年のうちに半数以下に。また認定農業者数についても、令和元年度からは減少傾向と、本市農業の将来に不安が残るような傾向を示していることがわかりました。そこで、これらの人口変化の検証についてですが、3つとして、ウ.主な認定農業者の増減の要因についてどのように分析しているのか伺います。

【答弁】農林水産部長   認定農業者数の増減の主な要因につきましては、農地の大規模化や農地の集積・集約化の進展を背景に、平成30年度までは、本市農業の中心的な担い手である認定農業者は、年々増加傾向にありましたが、近年、高齢化の進行により経営規模の維持が困難になったなどの理由から、認定農業者としての認定を更新しない農業者が増加し、令和元年以降は、認定農業者数が減少している状況にあります。

2点目は、「これまでの農業担い手確保・育成の取り組みについて」です。

 本市では、農業担い手確保の課題のひとつである農業用機械の導入、そして農業用施設整備資金の確保や農業経営確立までの資金調達などをはじめ、各種の支援を行ってきていますが、これまでの支援の在り方についての検証と分析も重要だと考えます。そこで1つとして、ア.これまでに実施された担い手確保・育成施策の実績を伺います。

【答弁】農林水産部長   担い手確保・育成施策の実績につきましては、就農直後の農業経営の確立を支援するため、1人当たり年間最大150万円を最長5年間交付する、農業次世代人材投資事業により、過去5年間で延べ17名に支援を行ったところであります。

  また、令和元年度にスタートした、担い手づくり総合支援事業におきましては、人・農地プランにおいて地域の中心的経営体に位置付けられた担い手に対し、農業機械の導入等における事業費に対して補助金を交付しておりますが、その交付実績につきましては、令和元年度に1個人経営体に272万3,000円を交付したところであります。

 次に、農業担い手の支援策として、国の「担い手づくり総合支援事業」や「農業次世代人材投資事業」などの各種支援を行い、実績を積み上げる中で、新規の希望があっても残念ながら就農に至らないケースもあったと思います。そのようなことを含め2つとして、イ.事業を進めてきた中での課題などはどのようなものか伺います。

【答弁】農林水産部長   事業を進めてきた中での課題といたしましては、農業次世代人材投資事業においては、交付期間となる5年間でいかに自立し、さらには、本市の中心的な担い手としていかに育成を図っていくかについて、また、担い手づくり総合支援事業においては、交付要件でもある人・農地プランの策定にあたり、地域全体で合意形成を図ることが必要であり、人・農地プランの策定が一部地域に限られていることについてが課題であります。

 近年の農業就業人口や認定農業者数の減少傾向を見れば、新たな担い手を広く募っていくために、国や県と連携した大胆な支援策が必要であり、また本市の地域特性なども考慮に入れた独自支援も必要ではなかったと思いますが、3つとして、ウ.新たな担い手に対してどのようなサポートを行ってきたのか伺います。

【答弁】農林水産部長   新たな担い手に対するサポートにつきましては、農業を職業として選択しようとする意欲ある農業者に対し、「農業経営改善計画」作成支援を行い、認定農業者へ誘導するほか、当該改善計画の中間年である3年目には、県、JAと連携し、中間サポートを実施し、農業経営の確立を支援しているところであります。

  また、各種補助事業の活用支援をはじめ、農地中間管理機構を通じた農地集積の支援など、ソフト、ハードの両面から総合的なサポートに努めているところであります。

 いろいろと支援を行ってきていることがわかりましたが、本当に難しい問題です。これは市や農業関係団体が、それぞれ独自に施策を打ち出しても簡単に解決できるものではないと思います。

そこで3点目は「今後の就農支援強化に向けた取り組みについて」です。

これまでの質問の中で、担い手の確保・育成に向けた多くの取り組みを行ってきていることがわかりましたが、さらなる支援のためには、県や市そして農業関係団体などが一体となった体制づくりが必要だと考えます。そこで1つとして、ア.新たに農業就農を目指す人へのさらなる支援体制づくりをどのように考えているか伺います。

【答弁】市長 現状の就農相談体制につきましては、市・JAをはじめとして6つの関係機関・団体が、各々就農相談を行っているところであります。近年の田園回帰の流れや、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、若者をはじめ都市と農村を往来したり、農村に定住する人の流れが、全国的に広がるなど、農業・農村に関する関心が高まりつつある中で、このような相談体制は、就農希望者への就農段階に応じた、効率的かつ一貫した情報提供の十分な支援や、情報の発信力の強化に必ずしも繋がっていない面があるため、令和3年度におきましては、ワンストップで総合的に対応する体制を構築するため、JA福島さくらいわき地区本部内に「(仮称)いわき地域就農支援センター」を設置してまいりたいと考えております。

「(仮称)いわき地域就農支援センター」設置がわかりましたので、広く周知をお願いしたいと思います。それでは2つとして、イ.「(仮称)いわき地域就農支援センター」の主な活動内容について伺います。

【答弁】農林水産部長  「(仮称)いわき地域就農支援センター」につきましては、専門の相談員を置き、就農希望者と一対一の信頼関係を築きながら、農業経営が軌道にのるまでの間は、伴走型の支援を行ってまいります。 また、就農前から就農後における経営確立までに必要な情報については、関係機関・団体の支援情報を集約しながら、就農希望者の就農段階に応じて、ワンストップにより、専門の相談員が適切に提供してまいります。

 センターの相談窓口で就農希望者の支援情報を総合的に管理することで、関係各所との緊密な連携ができ、有益な情報提供が得られるなど、これまでより相談者の負担が軽減されることがわかりました。

 そのような利点を踏まえ、再質問をいたしますが、このセンターの設置によって、新たにどのような人材をターゲットに活動していく考えなのか伺います。

【答弁】農林水産部長 (後日掲載予定)

 これまでのように自分で動くのではなく相談員がサポートしてくれることで、就農の相談者にとって、利便性の高い場所になることを期待します。また、相談窓口としての機能だけではなく求人を目的とした就農者の募集についても、就農支援センターが中心となって考えていく必要もあると思います。

 まずは就農支援センターの存在、そして就農希望者の相談窓口としての機能について、いろいろな手法で多くの方にお知らせしなければならないものと思います。

 3つとして、ウ.農業就農を目指す人への情報発信について、今後どのように取り組んでいくのか伺います。

【答弁】農林水産部長   農業就農を目指す人への情報発信における今後の取組みにつきましては、「(仮称)いわき地域就農支援センター」を中心に、関係機関・団体と連携を図りながら、市内農業高校に直接訪問することをはじめ、市外在住者に向けては、ホームページをはじめ、SNS等を積極的に活用し、情報を発信するとともに、市外からも相談しやすい環境づくりをするため、当該就農支援センターにおいては、リモートによる相談機能を整備してまいりたいと考えております。 また、このほかの取組みといたしましては、市外在住者に向けた、市独自のオンラインによる就農相談会の開催や、農業を学んだり実体験したりする機会の新設などについて、今後検討してまいりたいと考えております。

 現在の農業就農環境は大変厳しいものでありますが、課題解決のために、「(仮称)いわき地域就農支援センター」設置をはじめとした、いろいろな施策が、今後も展開されることを期待します。4つとして、エ.さらなる就農支援強化に対する本市の考えを伺います。

【答弁】市長   本市の農業につきましては、農業者や農村人口の著しい高齢化・減少に加えて、新型コロナウイルス感染症などの影響が懸念されております。こうした状況の中、本市の農業生産の柱となる農作物の産地形成と、農業の生産基盤の強化などによる、稼げる農業への移行促進と持続可能な担い手の確保を施策の両輪としながら、新規就農者の早期の経営発展・定着を促すとともに、効率的な生産体制を目指す集落営農の推進、関係団体・企業等の農業参入推進、農福連携など、地域の中心となる担い手以外の多様な担い手が活躍できる環境の整備等、担い手不足の解消に向けて、多角的なアプローチで取り組んでまいりたいと考えております。

 今後とも、国・県そして農業関係団体と連携をとりながら、一人でも多くの皆様が、農業の担い手そして地域のリーダーとして活躍できるような息の長いサポートをお願いいたします。

最後に本年3月で退職される皆様の永年にわたる市政進展へのご労苦に対し、心より感謝と御礼を申し上げまして、  

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私の質問を終わらせていただきます。

ご静聴ありがとうございました。