平成29年11月定例会 一般質問です


14番 いわき市議会 志帥会  西山一美です
通告順に従いまして、市政一般について質問をいたします。

全国瞬時警報システム(Jアラート)からの情報伝達時の本市対応について
 
大きな質問の1番目は、「全国瞬時警報システム(Jアラート)からの情報伝達の本市対応について」であります。
北朝鮮は、今年に入り15回ものミサイルを発射しており、さらに9月3日には、6回目の核実験を実施して「大陸間弾道ミサイル装着用の水素爆弾の実験に完全に成功した」とする声明を発表しました。
この北朝鮮の再三の挑発行為に対し、安倍首相は「国際社会の一致した平和的解決への強い意志を踏みにじり、再び暴挙を行ったことは断じて容認できない。今こそ国際社会の団結が求められている。」と述べ、国連安全保障理事会では、北朝鮮に対するさらなる制裁決議を全会一致)で採決したところです。
本市においても、8月29日と9月15日の両日、福島県の上空をミサイルが通過する可能性があるとして、国から全国瞬時警報システム(Jアラート)でミサイル発射の情報が提供されたことは、記憶に新しいところであります。
私も、自宅で携帯メールそして、テレビなどで情報を取得いたしました。しかしながら、今回のミサイル発射の時間帯が早朝であったことにより、登校時間と重なり、避難時間の限界があるなか、保護者や児童・生徒の皆様方のなかには、瞬時にどのような行動をとってよいのか不安な状況となり、大変混乱いたしました。
そこで、日本を取り巻く国際情勢が緊迫している中、今回のように市民の皆様の生活に多大な影響を及ぼすミサイル発射事象に対して、国民・市民の皆様に情報を伝える役割を担う本市の考え方について伺っていきたいと思います。

(1)1点目は、「いわき市国民保護計画について」です。
 まず1つ目として、平成19年3月に策定(さくてい)され、昨年(さくねん)最新版(さいしんばん)として更新された、ア.「市国民保護計画」の概要について伺います。
【答弁】市国民保護計画につきましては、国が定める基本方針に基づき、想定する武力攻撃などの類型を「着上陸侵攻」、「ゲリラや特殊部隊による攻撃」、「弾道ミサイル攻撃」、「航空攻撃」と定め、これら武力攻撃などから市民の生命、身体及び財産を保護するための措置を行う実施体制、住民の避難や救援などに関する事項、平素において備えておくべき物資や訓練などに関する事項などを定めたものであります。 
                       
 本市の基本的な考え方として非核平和都市宣言を行っており、今後もこの方針に変わりがないことを明示して、この保護計画が策定されていることはあらためて理解をするところです。本市は、石油コンビナート特別防災区域が存在することや原子力発電所立地町に隣接(りんせつ)していることなど、独自の立地特性を踏まえた計画を作成しているとのことですが、2つ目として、今回のようなJアラートでの情報が伝達された場合を含む、
イ.「市国民保護計画」での本市の役割について伺います。
【答弁】市は、警報の伝達などの避難に関する措置、安否情報の収集・提供、避難住民の救援に関する措置及び避難の指示など武力攻撃災害への対処に関する措置などについて、国、県、関係機関と連携し、事態の緊急度に応じて段階的、かつ総合的に推進していく役割を担っております。
            
幸いにも8月・9月のミサイルは、日本の領海の外に落下いたしましたが、現在、日本を取り巻く国際情勢は、大変緊迫している状況にありますので、国そして県との連携をさらに密にし、しっかりした対応をお願いいたします。

(2) 2点目は、「市民の皆様への情報伝達について」です。
今回のようにミサイルが発射され、Jアラートによる情報伝達があった場合、市民の皆様へどのように情報を周知(しゅうち)させていくのかが、大切になってくると思います。
そこで、まず1つ目として、ア.全国瞬時警報システム「Jアラート」とはどのようなものかその概要について伺います。
【答弁】Jアラートとは、弾道ミサイル情報、津波情報、緊急地震情報など、対処に時間的余裕のない事態に関する情報を、国が市町村に直接送信し、受信した市町村が、防災行政無線などを活用し、国が発信する緊急情報を住民の皆様に対し、瞬時に伝達するシステムであります。
                         
本市では東日本大震災後、災害発災時における情報伝達機能の多重化(たじゅうか)を整備してきていると理解していますが、2つ目として、イ.このJアラートと自動連動している伝達の方法について伺います。
【答弁】市が整備したJアラートと自動連動する伝達方法といたしましては、沿岸部を中心に整備した防災行政無線屋外拡張子局をはじめ、市内公共施設に配備した戸別受信機、自主防災組織の代表者及び民生・児童委員に配布している防災ラジオのほか、市ホームページへの掲載や、市防災メール登録者に対しメール配信されるシステムを構築しております。
                     
防災行政無線につきましても自動連動しているとのことでした。現在設置してある地域においては十分に機能を果たしたものと推察いたしますが、私の住む神谷地区では、テレビなどで報道された防災行政無線からのサイレンの吹鳴は聞くことができませんでした。
そこで3つ目、ウ.現在の防災行政無線の設置状況について伺います。
【答弁】防災行政無線は、昭和58年5月に発生した日本海中部地震による津波災害を契機に、津波警報など情報を迅速にお知らせするため、沿岸部を中心に127基、また、内陸部につきましては、昭和63年8月末から10月初めにかけて発生した、好間町大利地区での大規模な地滑りを契機に、大利字井田木地内に2基、合計129基を設置しております。
                       
震災後、台風や津波など自然災害に対する備えから、沿岸部に多く設置されていること。そして、好間町大利地区においては、主に地滑り災害に対する情報伝達を目的として設置されたことは改めてわかりました。
そこで4つ目として、今後、今回のような事態に備え、エ.内陸部にも防災行政無線を設置していく考えはあるのか伺います。
【答弁】本市の広域で起伏に富んだ地勢に置いて、市内全域に屋外拡張子局を設置することは、膨大な費用を要することから、市では平成26年度に戸別受信機を公共施設などに整備するとともに、平成26・27年度に防災ラジオを1,100台購入し、自主防災組織の代表者や民生・児童委員を対象に配布したところであり、災害時の情報を迅速に伝達しております。  
                      
 確かに、防災行政無線をいわき市全域にわたって設置していくことについては困難なことはわかります。
今回の9月15日金曜日のミサイル発射事象は、平日の朝7時にJアラートからの情報伝達でした。私たちの地区では、集団登校の集合場所で保護者の皆様がスマートフォンなどで情報をとっている姿が見られました。しかし、自転車で通学している中学生の生徒さんは、スマホなどを持っていないためJアラートが鳴っているのかどうかも分かりませんでした。そこで5つ目として、
オ.登下校時の生徒・児童に対する周知方法について伺います。
【答弁】市内の小・中学校の児童・生徒への周知につきましては、9月7日付けで、Jアラートによるミサイル発射や通過などの情報伝達があった場合における対応について、市立小・中学校へ通知するとともに、同月8日付けで、同様の内容を私立保育所および幼稚園に通知しております。また、同月26日付けで、市立小・中学校に対し、登下校時の児童・生徒に対する情報の課題を解決する取り組みとして、「子ども避難の家」を一時的な屋内退避所として活用すること、及び「子ども見守り隊」からの情報の伝達について、協力を依頼するよう通知したところであります。
                 
 大変難しいこととは思いますが、喫緊の課題ですので、教育委員会など、関係部局間の連携を密にして、より良い周知方法が確立されますようお願いいたします。さて、今回のミサイル発射に係るJアラートによる情報伝達は、本市でもJアラート設備を整備した後で初めてのことでしたので、只今質問しました登下校時の情報周知の方法など様々な課題があるように思います。

そこで、(3) 3点目は、「今後の課題解消に向けた本市の取組みについて」です。
まず、1つ目として、Jアラートの伝達文では「ミサイルが発射された模様です。建物の中または地下に避難してください」とありました。しかし、残念ながら本市には今のところ地下街などはありません。
そこで本市の状況に即した、ア. 具体的な避難行動について伺います。【答弁】弾道ミサイル落下時の行動といたしましては、ミサイルが本市上空を通過する際には、落下物などが懸念されること、また、ミサイルの液体燃料にはジメチルヒドラジンを使用しているとされており、当該物質は発がん性を示す可能性があると評価されていることから、屋内退避が基本となります。その際、屋内ではできるだけ窓から離れ、できれば窓のない部屋に移動するよう周知し、また、屋外にいる場合には、近くの建物などに避難するよう周知しております。なお、Jアラート伝達時の行動については、今回の事象を受け、市民の皆様から問い合わせが寄せられたことから、市独自のQ&Aを作成し、市ホームページへ掲載したところであります。
                         
防災行政無線を市内全域に設置することは困難とのことですが、小・中学校には、校内放送用の設備が整備されております。また、その他の公共施設にも館内用の放送設備があると思いますが、2つ目として、
イ. このような公共施設の放送設備の活用について伺います。
【答弁】現在、学校を含む公共施設には、Jアラートと自動連動した戸別受信機を配布しており、有事の際には情報を受信できる体制を整備しているところでありますが、今回の事象を踏まえ、防災ラジオの自動起動装置の機能を活用し、学校の放送設備と連動できるかについて、調査しているところであります。 
                         
早急な取組みをお願いいたします。
次に、3つ目として、国民保護事象や大規模災害などが発生した場合、自動で起動して緊急情報を伝達する防災ラジオは、大変有用であると思いますが、今後、ウ.市民の皆様への防災ラジオ貸し出しについてはどのように考えているのか伺います。
【答弁】防災ラジオにつきましては、購入した1,100基のうち、現在、1,022基を貸与しております。その内訳といたしましては、自主防災会に357基、民生・児童委員に641基、避難所などに24基であり、今後、これまでの活用実態などの調査などを踏まえ、市民への貸出などについて研究して参ります。          
                
よろしくお願いします。
今回の事例では、ミサイル発射情報とミサイル通過情報については、Jアラートからの情報でありましたが、避難行動後、どのタイミングで通常の生活に戻ってよいのかどうかわからない状況でもありました。この緊急事態体制解除の判断は、ミサイルが1発で終わりか、それとも2発目、3発目があるのかなど不確定な状況での判断となるため非常に困難ということですが、市民目線から見ればやはり一定の基準が必要ではないかと思います。引き続き、より現実に即した対応について、国や県への働きかけをお願いいたします。
いろいろと質問をいたしましたが、市の国民保護計画では、「万が一、武力攻撃事態などが発生した場合においては、市の住民の生命、身体及び財産を保護する責務にかんがみ・・」と記載されています。
万が一はあってはならないものですが、市民の皆様は、安全・安心があってこそ普通の暮らしを営むことができるものでありますので、市としての責務を十分に果たしていかれますよう強く要望いたしまして、
次の質問に移ります。

2 地域産業の創出・振興について 
大きな質問の2番目は、「地域産業の創出・振興について」であります。
平成29年 共に創る「共創」のまちづくり元年 
〜さらなる50年に向けた魅力あふれるいわきの創生〜 
これは、いわき市が歩んできたこれまでの50年を礎に、東日本大震災からの復旧・復興そして新たなまちづくりのため、昨年2月に、地域課題の解決を目指し、市民参画及び連携のもとで相互の知恵と資源を結集し、新たな価値を創出する「共創」をコンセプトに掲げて「将来のまちづくりの指針」が策定されました。さらに、3月に制定された「以和貴まちづくり基本条例」において、地域課題の解決とみらいにつなぐ「ひと・まち・しごと」を創る。そのための地域人財の育成(ひとづくり)、地域価値の向上(まちづくり)、地域産業の振興(しごとづくり)と3つの具体的な取組みにより今後の道筋が示されました。そこで、本市の地域産業創出・振興の考え方について商工・観光・農林水産の区分ごとに質問をしていきたいと思います。

(1)1点目は、「商工分野での取組みについて」です。
昨年、国は福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想の関連予算として、ロボットテストフィールドやロボット技術開発関連の共同利用施設などの事業費を計上し、ロボット分野における産業集積の環境づくりが本格化いたしました。
本県浜通り地域の産業復興に向けて、地元企業の技術開発のための取組みもすでに開始をしていることから、私たちの住むいわき市は、東北有数のものづくり産業が集積し、高等教育機関などの都市基盤も整備されている優位性を十分に生かしながら、構想に関連する企業や研究拠点で活動する人材を育てる「ベースキャンプ」として、構想推進を支える役割をしっかりと果たしていくべきと考えます。
そこで1つ目は、商工分野での取組みとして、国や県のプロジェクトが確実に進む中、地域で成長が期待できる産業分野の振興に取組んできたと思いますが、ア.再生可能エネルギー関連産業振興への取組み状況について伺います。【答弁】市といたしましては、再生可能エネルギー関連産業振興に向け、産学官連携による推進体制を構築するとともに、技術開発、研究活動への支援などを行い、市内企業の関連産業への参入を積極的に支援してまいりました。加えて、先月末、エア・ウォーター株式会社と中国電力株式会社が共同で、本市において大規模なバイオマス発電事業を行う計画が発表されるなど、再生可能エネルギーに関連する企業の立地も進んでいる状況です。また、風力関連産業につきましては、国が行う浮体式洋上ウィンドファーム実証研究事業を契機に、市内企業による研究会や、官民連携による推進組織が設立され、風力発電の主要部品の製造に市内企業が参入する事例が生まれてきたところであります。こうした取り組みに加え、県が浜通り地域に、多くの陸上風車を整備するプロジェクトを進めていることから、市といたしましても、風力メンテナンス産業を中心とした関連産業の集積を図ってまいります
                        
県においては、浜通り地域に風力発電施設を数多く整備して、原子力に代わるエネルギーの導入を進めるとともに、地域の雇用が確保されることで、「福島イノベーション・コースト構想」や「福島新エネ社会構想」などのプロジェクトをさらに推し進めるとのことであります。
特に、風力関連産業は今後、ますます需要の高まる可能性を秘めた将来性のある分野であり、すでに地元事業者の風力関連産業への参入も聞き及んでいるところですが、「風力ならいわき」というようなインパクトのある風力関連産業への取組みに大いに期待をするところです。

さらに、風力関連産業のうち風力発電のメンテナンス分野は、メンテナンス技術者を養成する人材育成をはじめ、関連部品の開発・製造。風車を動かしての環境対策の実証研究。さらには地域独自での風車製造など、多岐にわたっていることから、大変魅力のある分野です。そこで2つ目として、イ.本市における風力メンテナンス分野振興への考え方について伺います。
【答弁】風力メンテナンス産業につきましては、国内の陸上風車の大量導入が計画されていることや、既存風車の経年劣化が進んでいること、本年4月に風車の定期的な安全管理検査が義務化されたことなどから、メンテナンスに必要な人材の確保や国内における部品供給体制の構築、新たなメンテナンス技術の開発が求められております。そのため、市といたしましては、メンテナンス人材の育成、市内企業の技術力強化、産学官連携による実証研究などを一体的に推進できるメンテナンス拠点を形成し、風力関連産業の集積につなげていくため、関連企業の誘致や関係事業者との連携強化に注力してまいりたいと考えております。
                          
国内の有力な風力メンテナンス企業を本市に招致して、メンテナンス産業を地域に根付かせていくことは大変重要だと考えます。前向きな情報もあるようですので、さらに情報収集を進めながら企業誘致の活動につきましても積極的にお願いをいたします。
原子力災害を受けた本市において、新たなエネルギー社会を支える技術・産業をいわき市に集積させ、これらを活用しながら原子力に代わる新たなエネルギーを確保していくことは大変意義のあることです。只今触れました風力産業とともに、本市が独自に取り組んでいるバッテリー産業の集積とバッテリーの利用の先進都市を目指す「いわきバッテリーバレー構想」には期待をし、その進捗が大変気になるところです。そこで3つ目として、
ウ.バッテリー関連産業振興の取組み状況について伺います。
【答弁】市といたしましては、バッテリー関連産業の振興を、いわき創生総合戦略に位置付け、重点的に取り組んで参りました。具体的には、いわきバッテリーバレー構想に基づき、バッテリーを使用した製品の普及や利用促進に向けたイベント・補助事業を実施したほか、市内企業のバッテリー産業参入に向けたセミナーの開催、人材育成や技術開発支援事業の実施、さらには、バッテリー関連企業の誘致に向けた市外企業へのヒアリングなどを行ってまいりました。また、事業の実施に当たっては、本市のバッテリー産業振興に向けた推進組織である一般社団法人いわきバッテリーバレー推進機構をはじめ、国や県、商工団体、関係企業などと連携し、情報共有を図りながら、官民が一体となって取り組んできたところであります。
                           
4つ目として、エ.バッテリー関連企業の集積状況について伺います。【答弁】市内のバッテリー関連企業の集積につきましては、バッテリーを製造する企業や必要部材を製造する企業、性能評価装置を製造する企業など、従来から、関連企業の集積が見られる状況となっておりました。その後、「いわきバッテリーバレー構想」の推進を契機として、超小型電気自動車など、バッテリーを使用した製品を営業などの事業活動に積極的に利用する企業や、バッテリー使用製品の部品供給に参入する企業、新たなバッテリー使用製品の開発に取り組む企業の事例などが市内で見られるようになってきております。また、市外のバッテリー関連企業からも、本市の取り組みについて関心が寄せられていることから、今後も、関連企業の誘致や市内企業の技術力強化に努めてまいりたいと考えております。 
                         
 産業振興をより推し進めるために、国内・外の有力企業誘致や地元企業を巻き込んだ様々な技術開発の活発化そして専門技術の集積化に積極的に取組んでいくことで、新たな成長産業分野が生まれる可能性があると思いますが、
5つ目として、オ.成長産業分野の振興にどのように取組む考えか伺います。
【答弁】新たな成長産業分野の振興につきましては、中核的な企業の誘致に加え、既存の市内企業が、技術力を高めるなど、新分野に対応できる環境を整備していくことが重要であると認識しております。そのためIoT、「モノのインターネット化」やAI、「人工知能」などの新たな技術の進展や、国・県の産業施策動向などを、これまで以上に注視しながら、地域特性を最大限に活用できるよう、時代に対応した支援を適時適切に実施して参りたいと考えております。  
                         
 よろしくお願いいたします。          

(2)2点目は、「観光振興の取組みについて」であります。
新聞報道によれば、8月下旬に県が発表した昨年の観光客の入込数は、福島県全体が一昨年より4.9%増え、震災の前年の92.3%まで回復したのに対して、いわき市は逆に4.7%減少し、本市が独自に調査している観光施設利用者にスポーツ・文化行事の参加者、またビジネス客も加えた観光交流人口でも、昨年は前年より1.2%減となりました。
本市は新たな試みとして、いわき市全域を会場に見立て自然や文化などを知ってもらう目的で、「いわきサンシャイン博」を開催いたしました。イベント会場が市内全域にわたるという大規模な試みに期待を大きくしたところであります。このようなことも踏まえながら、本市の観光振興の考え方について質問をしたいと思います。
まず1つ目として、先ほども触れましたが、昨年の観光交流人口が全体として一昨年よりもわずかに減少しましたが、ア.その要因について伺います。
【答弁】平成28年の観光交流人口が減少した要因といたしましては、東日本大震災から5年が経過し、復興支援を目的とした旅行客が減少したこと、また、平成27年に開催された大型観光キャンペーン「ふくしまデスティネーションキャンペーン」の終了に伴う旅行客の源などが挙げられます。とりわけ、スパリゾートハワイアンズいわき湯本温泉など、市内宿泊者数が減少しておりますが、これは、官公庁が公表しました宿泊観光統計調査においても、昨年は、国内全体の旅行需要が減少しており、その要因として、ゴールデンウィークやシルバーウィークの日並びが悪かったことなどが挙げられていることから、本市においても同様の傾向があったものと考えております。 
                          
次に2つ目として、昨年はいわきサンシャイン博、今年はいわきアフターサンシャイン博を実施いたしましたが、イ.その成果について伺います。【答弁】いわきサンシャイン博及びいわきアフターサンシャイン博は、市全域を博覧会会場に見立て、既存の観光資源やイベントなどを組み合わせながら、「観る」「学ぶ」「交流する」をテーマに各種事業を展開し、震災後停滞する観光交流人口の拡大、市民の皆様へのいわきを知る機会の提供などを目的に実施して参りました。具体的には、市内の周遊ツアーの再興や各種テーマに基づく知的学講座などの実施、イベントの開催などを通じ、これまで、延べ20万人を超える方々にご参加いただいたところであります。このことにより、観光客や市民の皆様に、本市の魅力を改めて感じていただけるものと考えており、また、各地域のまちづくり団体におきましても、主催した事業を通じ地域間のネットワークが広がるなど、団体そのものの活性化が図られており、観光まちづくりの推進に向けて、一定の成果が得られているものと考えております。 
                          
皆様もご存じのとおり、観光振興の取組みにおいてインバウンドに対する対応も大変重要です。
古くから観光のまちとして有名な鹿児島市では、インバウンド対応の強化プロジェクトとして、鹿児島空港から直行便のある東南アジア地域への積極的な観光誘致などメインターゲットの拡大に力を入れること。姉妹都市鹿児島市関連の海外進出企業そして大使館など幅広いネットワークを活用して鹿児島の認知度をさらに向上させる幅広い視点による誘致活動を実施すること。そして特徴的なのは、多様なニーズに合わせた外国人目線での二次交通の充実や噴火の危険を伴う桜島観光における「防災おもてなし」の推進など、安心して観光できる受入環境の整備に力を入れているとのことです
本市においても、外国人の皆様に対して「防災おもてなし」のような対応で安全で安心に市内観光をしていただき、本当にいわきに来てよかった。また訪れたいと思っていただいて、本市観光リピーターになっていただくことが大変重要だと考えますが、
そこで3つ目として、ウ.本市のインバウンド施策について伺います。

【答弁】インバウンド推進のためには、受け入れ環境の整備及び広報宣伝活動が重要であると考えております。これまで、観光情報サイトの多言語化、市内宿泊施設又は観光誘客施設の事業者などが行う無線LAN環境整備への補助などにより受け入れ環境の整備を図ってまいりました。また、商工会議所及び市国際交流協会と連携し、昨年度実施いたしました、「いわき在住の外国人から見たいわきの観光について」の調査の結果、観光地の場所が分かりにくいという意見が多数寄せられたことを踏まえ、観光パンフレットの多言語化を進めるとともに、今後は、新設・更新する観光地の看板などの多言語化にも取り組んで参りたいと考えております。さらに、今年度は県と連携し、ターゲットを絞った上で、海外の旅行事業者などを招へいする、いわゆるファムトリップの実施やモデルコースの設定を行うほか、国際旅行は区での広報宣伝活動などを展開し、外国人旅行者の誘客に努めてまいりたいと考えております。 
                       
4つ目として、観光交流人口の回復そして拡大を図るうえで具体的には、エ.今後、どのような取組みを進めていく考えか伺います。【答弁】市といたしましては、本市における観光まちづくりのかじ取り役であり、DMO候補法人である「一般社団法人いわき観光まちづくりビューロー」を中心に、市内観光事業者や、地域まちづくり団体、市内経済団体、行政などが一体となった観光まちづくりを推進して参りたいと考えております。ぐたいてきには、「いわきサンシャイン博」の成果を踏まえた持続可能な着地型観光の実施に向けた取り組みや、県と連携した外国人観光客の誘致促進、被災地の復興状況を学んでいただくホープツーリズムなどに取り組みながら、主要業績評価指標、いわゆるKPIを設定した上で、観光地経営の視点に立ったPDCAサイクルに基づく戦略的な施策展開を図り、観光業の再生と、観光交流人口の回復・拡大を図ってまいりたいと考えております。
       
 まもなく、JR常磐線が全線で再開され交通環境は震災前の状況に戻ります。震災前、いわき市は首都圏から約2時間圏内と、交通の便が良くなりすぎて、「観光においては、宿泊地から通過地点になってしまった」との声も聞かれました。
新たな観光資源の掘り起こしとともに、鹿児島市のような特色あるソフト開発も、宿泊してゆっくりと市内観光していただける魅力あるまちづくりには不可欠だと考えますので、引き続きよろしくお願いいたします。

(3)3点目は、「農林水産分野の取組みについて」であります。
本市の農林水産業は、福島第一原子力発電所事故により、農産物の出荷制限や、漁業の操業停止など大きなダメージを受けました。事故から6年8か月が経過した現在においては、「風評」という形で、その影響はいまだ継続しているところであり、農林水産分野における新たな事業の創出や、さらなる振興を図る上で、風評の払拭は大きな課題であると認識しております。
そこで1つ目として、ア.本市におけるこれまでの風評払拭に対する取組み状況について伺います。【答弁】本市農林水産業の風評払拭に向けた取組みにつきましては、声高に安全・安心を訴えるのではなく、ありのままの現状をお伝えすることで、消費者自身に、安全・安心を判断していただくため、農林水産物の検査所や生産現場などを訪問する「見せる課バスツアー」の開催、おいしさなどの魅力を消費者の目線から発信していただく「いわき野菜アンバサダー」制度の創設、さらには本市水産業地域ブランド常磐もの」をキーワードに、おいしさや品質といった本市水産物の魅力を発信するプロモーション事業の展開をしてまいりました。さらに今年度は「いわき野菜6秒CMチャレンジ」の実施や対象を海外にも広げ、ベトナムへ「サンシャインいわき梨」を輸出するなど、国内外における風評対策を総合的に取り組んできたところであります
                           
次に、木質バイオマスエネルギーの可能性調査についてです。
木質バイオマスエネルギーについては、近年、再生可能エネルギーの活用による持続可能で環境負荷の少ないまちづくりが求められている中、各地で発電施設などの計画が進展しており、今後さらなる需要の拡大が見込まれるものと聞いております。
本市の森林面積は市の面積の約7割を占めており、この豊かな森林資源を活用できれば、持続可能で環境負荷の少ないまちづくりが実現できるとともに、本市の林業・木材産業の振興にもつながるものと考えております。
そこで2つ目として、イ.本年度から新たに実施している木質バイオマスエネルギーの活用可能性調査事業の取組み状況について伺います。
【答弁】再生可能エネルギーの一つである木質バイオマスエネルギーにつきましては、間伐に伴う小径木や枝葉などの林地残材を有効活用することにより、資源の収集運搬やエネルギー施設の管理運営など、新しい産業と雇用が作られ、中山間地域の活性化につながるものと期待されていることから、本市におきましては、今年度から新たに、「木質バイオマスエネルギー活用可能性調査」に取り組んでおります。主な取り組み内容としましては、公益社団法人いわき産学官ネットワーク協会を代表とする市内外の5つの関連事業者で構成する団体と連携し、市内の森林資源の供給可能量や、本市林業の現状を調査するとともに、同エネルギーを活用した発電施設などの情報収集を行い、課題などの整理や解決策の調査・研究を行うこととしております。 
   
 木質バイオマスエネルギーの活用に当たっては、林業者から製造業者などの多くの関連事業者の総意のもと、地域が一体となって取組むことが重要であると考えておりますので、本市の林業振興のためにも、実現に向けて取り組みを進めていただきたいと思います。
3つ目として、農林水産分野におけるこれまでの取組み状況を踏まえた、ウ.本市における今後の取組みについて伺います。
【答弁】農林水産分野の今後の取り組みにつきましては、引き続き、風評の早期払拭に向け、農林水産業関係者の皆様のご意見などをいただきながら、本市農林水産物の安全性に対する消費者や流通関係者などの理解促進を図るため、各種プロモーション事業を展開して参りたいと考えております。また、6次化産業化などによる新商品開発や農産物についてはGAPの認証、水産物については「海のエコラベル」などの認証の取得について、支援して参りたいと考えております。これらに取り組むことにより、「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」への農林水産物の提供や、海外輸出の促進につながり、農林水産業の創出・振興に寄与するものと考えております。 
                       
 引き続き、本市の地域産業の振興にご尽力いただきますようお願いいたしまして、次の質問に移ります。     


  
3 将来を見据えた総合交通対策について 
大きな質問の3番目は、「将来を見据えた総合交通対策について」であります。
いわき市は、昭和41年の合併により広域多核都市という特性を持ちました。本市の交通対策につきましては、広域多核都市となったことにより生じたデメリットに対して、バス、タクシー、JR常磐線、JR磐越東線などの公共交通を有効に活用しながら、市民の皆様の足を守る総合的な交通対策を実施するために、多くの先輩方が議論を交わしながら、今日に至ったものと認識しています。しかし、近年、さらに自家用自動車の普及や少子化による人口減少によって、公共交通の利用者がますます減少傾向となり、維持・確保も大変厳しい状況となっています。
あらためて公共交通への総合的な対応が必要と思われますことから、将来を見据えた対策について伺っていきたいと思います。
まず、公共交通のうちJR常磐線の利用についてです。
先月23日、東日本大震災により不通になっていたJR常磐線のうち楢葉町竜田(たつた)駅から富岡町富岡駅までの間、約6.9キロが6年7ヶ月ぶりに運行を再開いたしました。残りの不通区間は富岡駅から浪江駅間の約20.8キロとなり、仙台駅までの全面再開に向けさらに一歩前進し、JR東日本によれば、東京オリンピックパラリンピックが開催される2020年3月末までに全面再開を目指すとのことであります。
震災以前、JR常磐線下り方面の特急列車は、いわき・仙台間で1日4往復運行しておりました。JR常磐線の全面再開と同時に、仙台への特急列車再運行にも大いに期待をするところです。
本県浜通りを南北に貫く大動脈があらためて機能することにより、人やモノの動きが活性化して、本市にもたらされる経済的効果に期待をふくらませております。
また、関東方面へのJR常磐線特急列車の利用促進につきましては、市長自ら、前回選挙時にはミニ新幹線の実現。今回は、スピードアップ化に向けた取組みについて,市民の皆様と約束をしておりました。 
JR常磐線関連の公約については、期待をしておられる市民の皆様も多いと思います。

そこで、(1)1点目は、「JR常磐線特急列車のスピードアップ化に向けた取組みについて」です。
まず1つ目として、ア.JR常磐線の利用促進に向けたこれまでの取組みについて伺います。【答弁】JR常磐線の利用促進に向けましては、「いわき市鉄道交通を応援する会」が主体となり、本年8月に、茨城県茨城県内の常磐線沿線自治体と連携し、いわき駅湯本駅、泉駅におきまして、ポケットティッシュとチラシを配布し、JR常磐線の利用促進を呼びかける街頭啓発活動を実施したところであります。また、10月8日には、いわき駅におきまして、東日本旅客鉄道株式会社が主催する磐越東線全線開通100周年記念イベントにあわせ、鉄道交通への関心や理解を深めることを目的とする「いわき親子鉄道フェスタ2017」を同時開催し、大勢の方にご来場いただいたところであります。さらには、市といたしましても、東日本旅客鉄道株式会社が企画する「駅からハイキング」への協力や、駅と観光施設を結ぶ期間限定の無料シャトルバスを運行するなど、JR常磐線を、より多くの人に利用していただけるよう、気運の醸成を図っているところでございます。
                           
私は、以前からJR常磐線特急列車のいろいろな課題解消のカギは、まず市民の皆様へのより具体的な乗車率向上の対策提示であるとお話しをさせていただいております。
JR常磐線特急列車を使って首都圏へ通勤をしている方から、このようなお話を聞きました。現在、平日朝の通勤の場合、いわき駅始発6時14分の特急列車を利用しても、会社の始業時間に間に合わないため、車で茨城県高萩駅に向い、高萩駅始発5時45分発の特急列車を利用しているとのことでした。また帰りは、午後9時上野発がいわき最終の特急列車で、高萩駅止まりは上野駅午後10時発車となります。この1時間遅い高萩駅止まりの特急列車をなんとかいわき駅まで運行することはできないかとのことでした。
当事者以外の方から見れば小さなことかもしれませんが、この特急列車をいわき駅まで運行できることだけで、朝と夜の往復分約1時間30分も時間を有効に使えることになります。通勤の方はもちろん、観光やビジネスで利用される皆様にとっても大変効果の高い対策だと思います。そこで、このようなことも踏まえ、2つ目として、イ.通勤・通学などにおけるJR常磐線特急列車の利便性向上に向けた取組みについて伺います。
【答弁】JR常磐線特急列車につきましては、いわき駅〜品川駅間の始発及び最終列車の運行時間を見直すことにより、首都圏への通勤、通学などの利用が可能になることや、日帰り出張などのエリアが拡大されることから、さらなる利便性の向上と利用促進につながるものと考えております。このため、東日本旅客鉄道株式会社に対し、高萩駅発着の特急列車について上り始発及び下り最終列車の運行区間を、それぞれいわき駅まで延伸するよう、これまで要望活動を継続してきたところであり、今後におきましても、「福島県鉄道活性化対策協議会」をはじめ、「常磐線活性化対策協議会」や「いわき市鉄道交通を応援する会」および、茨城県内の期成同盟会との合同による東日本旅客鉄道株式会社への要望活動を実施する予定となっておりますことから、当該列車の運行区間いわき駅までの延伸について、引き続き、積極的に要望してまいりたいと考えております。
                         
それでは3つ目、ウ.JR常磐線特急列車のスピードアップ化に向けた今後の取組みについて伺います。【答弁】JR常磐線特急列車のスピードアップ化につきましては、これまでも、通勤、通学、日帰り出張エリアの拡大などによる利便性の向上を目的に、東日本旅客鉄道株式会社に対し、継続して要望活動を行ってきたところであり、これまで、上野東京ラインが開通し、現在では、常磐線のほとんどの特急列車が品川駅に乗り入れるなど、利便性の向上につながる成果が得られております。また、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会やラグビーワールドカップ2019の開催に向けた本市のイメージアップによる交流人口の拡大や、浜通り地区の復興の加速化などにも大きく寄与するものであることから、本年6月には、「福島県鉄道活性化対策協議会」による東日本旅客鉄道株式会社本社への要望活動に参加し、上野駅いわき駅間を2時間未満で結ぶ特急列車の運行について強く要望してまいったところであります。今後におきましても、通勤・通学などにおけるJR常磐線特急列車の利便性向上に向けた取り組みと同様に、JR常磐線特急列車のスピードアップ化について、様々な機会をとらえ、引き続き積極的に要望してまいりたいと考えております。 
                 
高速バス料金のお手軽さをとるか、JR常磐線特急列車の到着時間の正確さをとるか。市民の皆様は、敏感に状況を判断されて前者を選択されている方のほうが多いのかと思います。JR常磐線の利用促進を支援するためには、さらに、スピードアップ化に向けた取組みを進めるとともにJR東日本と連携し、駅近くの市営駐車場を、残念ながら10月末で廃止となった「パーク&ライド」方式の駐車場に一部切替えて使用してみることや、JR東日本タイアップの企画として、以前販売されて好評だった「週末とうきょうキップ」のようなお得感のあるチケットの販促を支援することなども、再度検討していただければと思います>。この項のまとめとなりますが、2020年に予定されているJR常磐線の全面再開は、国においても被災地である福島・宮城両県沿岸地域の交通インフラ復興総仕上げのシンボリックな出来事になると思います。
全線再開後のJR常磐線のスピードアップ化そして利用促進事業については、国策として国が責任を持って取組むこと。また関連事業にも手厚く支援をしていただけるよう、国に対し本市として強く要望していっていただきたいと思います。

(2)2点目は、「バス路線の維持・確保に向けた取組みについて」であります。
1年間の生活バス路線利用者について調べてみますと、昭和から平成に移った、平成元年度は1,549万9千人でしたが、2年前の平成27年度は359万4千人と約4分の1まで減少してしまいました。それに比べ自家用自動車は、増加傾向をたどっており、依存度が高まることで、排気ガスによる環境負荷や交通事故そして交通渋滞などの増加も懸念されるところです。
このようなことから本市におけるバス路線の維持・確保の施策について伺います。まず1つ目として本市が行っている、
ア.バス路線の維持・確保に向けた支援策について伺います。【答弁】市といたしましては、平成17年度に「いわき市生活バス路線維持対策事業費補助金制度」を創設いたしまして、採算性の確保が困難となっている路線に対し助成を行い、バス路線の維持・確保に努めて来たところであり、今年度は、市内を運行する生活バス路線123系統のうち31系統を対象に、運行にかかる経費の45%を上限とした補助を行うこととしているところであります。
                           
 当然のことですが、バス路線の維持・確保には多くの市民の皆様のバス利用が欠かせませんが、2つ目として、
イ.バス利用促進に向けた具体的な取組みについて伺います。
【答弁】バスの利用促進に向けましては、乗車率の低いバス路線沿線の地区においては、説明会や回覧板などによる路線バス利用促進の呼びかけを行うとともに、児童・生徒や高齢者を対象に、乗車マナーを含めたバスの利用方法を体験・学習する「バスの乗り方教室」を乗り合いバス事業者と共同で開催しております。また、公民館や郵便局、商業施設などにおいて、バスなどの公共交通の利用促進を呼び掛けるチラシ・ポスターを掲示するなど、様々な取り組みを行っているところです。
                         
市民の皆様の身近な足である路線バスの利用促進につきましては、多くの皆様の知恵をさらに結集させ、早急な対応をお願い申し上げるところです。
さて、市長就任インタビューの中で、高齢者バス利用券の発行について「来年度予算でなんとかして、早ければ来年の10月ごろの実施を。」とのコメントがありました。しかしながら、バスが走らない地域では何の意味もないと考えます。また、タクシーや電車などにも利用できる共通利用券という形になれば、予算的に膨らんでしまうという問題も出てくると考えます。
そこで3つ目として、
ウ.高齢者バス利用券に対する考え方を伺います。
 
【答弁】高齢者に対する移動支援策を検討する上では、公共交通機関の利用可否や、地域や親族における支援の有無、外出の目的やその頻度などにより、必要な支援の方策や程度が異なるものと考えております。このため、「いわき市地域交通検討プロジェクト会議」において、公共交通機関の利用が困難である中山間地に居住される方や、外出に関しての利便性が低減されることとなる、運転免許証を自主返納される方に対しての検討を進めているところであり、高齢者の方への生活支援や社会参加の促進としての移動支援策については、広域多核都市である本市特性などにあった他市の情報の収集などに努め、有効な方策のあり方について検討してまいりたいと考えております。                            
市内全域の高齢者の皆様が、等しくサービスを受けられる施策の実行に期待をしたいと思います。

(3)3点目は、「中山間地域における移動手段の確保について」であります。
バスやタクシーなど公共交通が利用しにくい地域において、一般ドライバーが自家用自動車で住民を運ぶ「ライドシェア(相乗り)」の活用が広がっています。高齢ドライバーの事故が増え、免許返納が問題化する中、生活の足として機能するのか注目されていますが、安全性や規制の壁があることから手探りの取組みが続いている状況とのことです。今までは、一般のドライバーが有償で自家用自動車にお客様を乗せて運ぶことは「白タク」行為として禁じられてきました。しかし、2006年に道路運送法の一部が改正され、一定の地域で自治体やNPOが管理する場合に認められるようになりました。
そこで、中山間地域において有効な手段になるのではないかとの観点から、全国でのこのような動きに対して、本市ではどのように取組む考えか質問をいたします。まず、これまで市が行ってきた移動手段確保の取組みの中で、
1つ目として、ア.中山間地域における交通課題について伺います。【答弁】市の中山間地域におきましては、マイカーの普及や人口減少などに伴う、路線バスの廃止や減便、タクシー事業者の撤退などにより、公共交通空白地帯や不便地域が生じており、高齢者や児童・生徒などの交通弱者にとりましては、買い物や通院・通学のための移動手段の確保、生涯学習やコミュニティ活動などの社会参加機会の減少など、様々な課題を抱えている状況にあります。
                        
次に2つ目、イ.本市で行われてきた移動手段確保に対するこれまでの取組みについて伺います。【答弁】これまで、だれもが利用しやすい新たな移動手段の実現を目指し、四倉、三和、田人、久之浜・大久地区において、地域の皆様と一体になり、乗り合いタクシーなどの社会実験に取り組んで参りましたが、当初に見込んだ利用者数より少なく、採算性の確保が困難であったことなどの理由から、継続的な運行には至らなかったところであります。しかしながら、これらの取り組みにより、地域住民の間に、地域の交通は地域で育むという意識の醸成が図られたものと考えております。
                           
本市がこれまでに実施してきた実証試験を踏まえ、3つ目として、
ウ.新たな交通手段の確保に向けた取組みについて伺います。
【答弁】中山間地域におきましては、高齢者や児童・生徒などの交通弱者が、家族や近隣住民の支援により、必要最小限の移動手段を確保していること、人口減少や高齢化の進展により、運転の担い手の確保が困難になることを踏まえ、地域全体で住民同士の支え合いによる新たな移動手段を確保することが、より重要となってきており、共助の意識が根付く中山間地域の特性を生かした、地域が主体となったボランティア輸送が実現性が高く、より効果的な取り組みであると考えております。このため、現在、田人地区および三和地区におきまして、住民同士の支え合いによるボランティア輸送の実現に向け地域の皆様と勉強会を重ねながら、地域住民の移動需要をとらえた運行計画の策定や運転手の確保などによる運営体制の構築のほか、行政の支援の在り方などについて、検討を進めているところであります。                          
これから公共交通の利用が難しい地域において、生活の足の確保は、そこに住む市民の皆様の「共助」の発想で成り立っていくものと、私は考えます。
しかしながら、そのかじ取りは行政の大切な役割でありますので、今後、ますます市民の皆様の目線で「いわき」ならではの取組みをしっかりと推し進めていただくことを心からお願いし、
以上で、私の質問を終わらせていただきます。
ご静聴ありがとうございました。