いわき〜品川〜横浜〜横浜関内〜横浜〜上野〜北千住〜草加〜八潮〜流山〜柏〜水戸〜いわき

9月29日、横浜市役所において、横浜市地域活動推進課担当者より自治会・町内会など加入促進について、現状等の説明を受け、質疑応答など研修を行いました。

 推進政策課長大濱氏より、「横浜市18区の自治会・町内会状況」の説明がありました。横浜市は、平成23年3月に「横浜市地域の絆を育み、地域で支えあう社会の構築を促進する条例」を施行。これは、地域社会のつながり希薄化が、昨今指摘される中、横浜市民が主体的に地域活動を促進していくことを目的としています。
自治会・町内会の組織構成は、単位町内会2,881団体、地区連合町内会251団体区連合町内会18団体で、最上位組織として、横浜市町内会連合会があります。
平成26年度の加入世帯数は、全1,623,606世帯中1,235,838世帯で加入率は、76.1%となっており、大都市圏では比較的高い状況です。しかしながら都内勤務の単身者など、眠るためだけに帰宅する住民もいることから、区の加入促進支援としての、市民への直接的な働きかけと広報活動について具体的な事例について説明を受けました。また、横浜市役所市民局としても、「広報よこはま」での加入呼びかけの記事掲載や、不動産関係団体へ協力要請、そしてイベントなどでの町内活動PRを行っています。また新規支援として、地理情報システム(GIS)による加入率分析や成人式での加入PRなどをあらたに行っているそうです。
自治会・町内会への地域活動推進費補助として、平成25年度決算額1,121,619千円を支出しています。これには広報配布における謝礼金も含まれており、公益的活動に対する補助の意味合いであるとのことです。その他、自治会町内会会館整備助成や防犯灯維持管理費補助などの助成金を支出しています。また、関係団体相互連携の支援なども行っており、行政も積極的に関わりながら加入の促進を行っているとのことでした。
 草加市は、埼玉県南東部に位置し、東京都に隣接するベットタウンとして発展しており、平成16年に特例市となりより多くの行政サービスが提供できるようになりました。しかし、近年の少子化や若い世代の未婚化、核家族化などの社会環境変化により、地域に対する関心が薄れ、住民相互のつながりが希薄化し、自治会・町内会に加入する住民の割合が低下しています。草加市の総人口は、245,981人で、高齢化率22.9%となっており,町会・自治会設立数は119団体、加入率は55.83%。やはり、都心へのアクセスが良くなるとともに加入率が低下しており、横浜市と同じような悩みを抱えていました。条例制定の検討にあたり、新規集合住宅に関する対応として、大きなマンション開発が計画された場合の各町会の考え方が統一されていないことから、開発業者または販売業者は地元町会と意見交換を行いその意向に沿って、地元町会への全戸加入に向けて購入者に働きかける、または、独自の自治会立ち上げを目指すことに努める条文案を作りました。草加市は、条例制定までに時間をかけ、パブリックコメントを実施するなど、段階ごとの検証をしながら「草加市長会・自治会への加入及び参加を促進する条例について」を作ったそうです。
条例制定への取り組みにおける成果として、町会・自治会の皆様が加入率の低下は、自分たちにとって大きな課題であると認識したこと。また、自分達が自ら積極的に動かないと解決しない課題であると改めて理解し、未加入者に対する加入促進キャンペーンの実施につながっていったとのことです。

 八潮市は、人口85,922人で市民平均年齢は43歳。高齢化率は22.29%と比較的若い世代が多く集まっている市となっています。平成17年につくばエクスプレスが開業し、ここ10年で約10,000人の増加がありました。しかし、それにともない未加入世帯が増加し、加入率については平成17年70.8%だったものが、平成27年には、57.4%まで減少してしまいました。
条例の内容は、目的、基本理念、地域住民の役割、集合住宅における町会・自治会、事業者の役割、市の役割と財政上の措置、住宅供給などに関わる人たちの取り組みについて規定しています。条例制定後の取り組みとして、平成25年7月、八潮市町会・自治会連合会及び公益社団法人埼玉県宅地建物取引業協会埼玉東支部宅建協会の会員事務所を協力店として、市などが作成したパンフレットなどを新規転入者や住宅購入者などへ配布を行うとともにアパートなどの管理・仲介の新規契約時に、町会・自治会への加入促進の働きかけを行うこととしています。そのほか、広報誌・チラシの配布。また、講演会の開催などといった事業も行っています。
 視察研修のまとめとして、「町会・自治会加入によるメリット」とは何か?そこが加入促進についての核心になると思います。八潮市は加入メリットについて誰もが安心して暮らせるまちづくりのために、家庭や個人だけでは解決できない課題に地域全体で取り組んでいるのが町会・自治会であること。を前文に、加入すると4つのメリットがあることを明示しています。
①顔見知りになることで「地域の目」が育ち、地域の安全・安心につながること。
②地域の身近な情報を、回覧板などでより詳しく知ることができること。
③地域イベントを通して、交流が生まれ、絆が深まるとともに地域への愛着も高まること。
④家族・会社などの狭いコミュニティでは得られない、幅広い世代間の交流があることで、地域の歴史や新しい環境変化により、心豊かな生活を生み出すことができます。
 以上が、八潮市での4つのメリットとなっています。
 また、日頃の活動で育まれた地域の「絆」と「連帯感」が「もしも」の時の安心感につながります。災害などの緊急時には、被害状況や支援策の情報を得る助けとなり、命を守るための大きな力となります。と防災についても言及しています。このように今回の提案においても何かしらの具体的なメリットについて、言及の必要性があるものと思うところです。
今回の行政視察内容を参考とし、今後の「町内会・自治会などの加入促進について」の提案プランに反映できるようにしてより具体に条例内容について検討を加えて行きたいと考えるところです。