1「新型コロナウイルス」への対応について
大きな質問の1番目は、「新型コロナウイルスへの対応について」であります。
2019年12月以降、中国・湖北省武漢市に居住する者を中心に、新型コロナウイルス感染症の患者が多数いることが報告されており、すでにヒトからヒトへの感染も確認されているところです。
マスコミの報道等によれば、中国以外の国でも日本をはじめ、タイ、韓国、アメリカ、イタリア、台湾、シンガポールなどで、すでに感染が確認されており、新型コロナウイルスによる死者数は、SARS(サーズ:重症急性呼吸器症候群)を上回る猛威を振るっており、新型肺炎は世界的に流行の兆しを見せています。
連日報道されている「新型コロナウイルス」関連のニュースを見て、不安に感じている市民の皆様も多くおられるのではないかと思いますことから、国内そして本市におけるウイルス感染予防の方法や流行への対策などの情報について、質問をしていきたいと思います。
(1)1点目は、「新型コロナウイルスの感染の状況について」です。
まず初めに、コロナウイルスという言葉ですが、表面に存在する突起の形態が王冠「クラウン」に似ていることから、ギリシャ語で王冠を意味する「コロナ」という名前が付けられたそうです。また、コロナウイルスは、人間がかかる風邪のウイルス4種類と、動物から感染する重症肺炎ウイルス2種類が知られています。人に日常的に感染するコロナウイルスは4種類ありますが、風邪の約10~15%、流行期では約35%は、コロナウイルスが原因と言われ、冬場に流行のピークが訪れています。多くの感染者は軽症ですが、時に高熱を引き起こすこともあるそうです。
2000年代に入り、キクガシラコオモリやヒトコブラクダなどの野生動物からヒトに感染して広まったとされるSARS(サーズ:重症急性呼吸器症候群)やMERS(マーズ:中東呼吸器症候群)もコロナウイルスの一種と言われています。
今回の新型コロナウイルスによる感染は、すでに日本国内に到達し、中国等に関係のない方々にも感染者が出ている状況で、これ以上、ウイルス感染が広まらないような対策が求められていることから、国内の現状について聞いてまいります。
まず、1つ目として、ア.日本国内へのウイルス感染経路について伺います。
【保健福祉部長】
国によりますと、日本国内の1例目の感染者は、中国武漢市からの帰国者でありましたが、その後、中国湖北省からの旅行者や帰国者等からの感染が確認され、さらに現在は、渡航歴のない方の感染も確認されております。また、2月25日に発表しました国の新型コロナウイルス感染症対策の基本方針におきましては、国内の複数地域で感染経路が明らかではない患者が散発的に発生しているとされております。
次に、2つ目としてイ.ウイルス感染した患者の主な症状について伺います。
【保健福祉部長】
現在報告されております主な症状としては、発熱及び咳、息苦しさなどの呼吸器症状が主な症状であり、さらに全身倦怠感、筋肉痛、肺炎症状などが報告されております。
さらに報道によれば、風邪の場合は、発症から3日間程度で症状が軽減する場合が多いものの、新型コロナウイルスは発症7日間程度から症状が悪化する傾向も見られるとの報告もあります。そこで、国内においての感染の状況が大変気になりますが、
3つ目として、ウ.新型コロナウイルス罹患者数など現況について伺います。
【保健福祉部長】
国の発表によりますと、2月23日現在で、国内感染者は144名であり、国内の複数地地域で感染経路が明らかではない患者が発生しており、国内発生の早期だが移行期にあるとの認識が示されたところであります。また、先に申し上げました国の基本方針におきましては、国内の複数地域で感染経路が明らかではない患者が散発的に発生しており、一部地域には小規模患者、クラスターいわゆる集団が把握されている状態となりました。しかし、現時点では、まだ大規模な感染拡大が認められる地域があるわけではないとして、今が今後の国内での健康被害を最小限に抑えるうえで極めて重要な時期であるされております。
発熱やせき、息苦しさなどが主な症状で、倦怠感や筋肉痛そして肺炎症状もあるとのことでしたが、それでは、4つ目として、
エ.ウイルス感染した場合の治療方法はどのようなものか伺います。
【保健福祉部長】
新型コロナウイルス感染症に有効な抗ウイルス薬等は、現在のところまだ開発されてはおらず、発熱などの病気に伴う症状を和らげる対症療法となります。なお、国の基本方針によれば、現時点で把握している事実として、治療方法については、他のウイルスに対する治療薬等が効果的であると示されております。
2月1日に指定感染症として定められたことで、感染が確認された時は、感染症法に基づき、都道府県知事が就業制限や入院の勧告等を行うことができることになりました。感染者はそれに従う必要がありますが、新型コロナウイルスは、感染してから症状が出るまでの潜伏期間が長いことで、感染者の早期発見が非常に難しいという特性があり、自覚症状が出ていない時点で感染拡大をさせてしまう「スーパー・スプレッダー」の出現が危惧されていました。そのような中、2月13日には、和歌山や千葉などで渡航歴や濃厚接触歴のない方からウイルスが検出され、いよいよ国内においての感染拡大の動きが次のフェーズ(局面)に進んでいることが明らかになりました。
そのような状況を踏まえ、新型コロナウイルス感染が本市にも直接の影響を及ぼすことが十分考えられ、感染の予防そして抑制の対策をしっかりと進めなければなりません。
そこで、(2) 2点目は、「新型コロナウイルスに対する本市の取り組みについて」です。
国内の観光地では、新型コロナウイルス感染の影響により、観光客の減少から閑散としている状況がみられ、旅行や宿泊のキャンセルなど消費面での落ち込みが非常に懸念されています。さらに、マスクの品切れや高額転売などの新たな問題も起きています。すでに、国内の経済面においても、中国などに生産拠点を持つ企業や関連の業界を中心に、マイナスの影響も報告されています。これらは他人ごとではなく、本市でも同様の傾向だと思います。初期の対応によっては、各方面に与える影響は大変大きいものとなりますことから、本市の新型コロナウイルスに関する対応内容などについて質問をしてまいります。
まず1つ目として、ア.本市におけるウイルス感染予防の対策について伺います。
【市長】
本市におけるウイルス感染予防の対策につきましては、市民に対しては、「咳エチケット」や「手洗い」などによる感染予防対策について、ホームページ上で情報提供を行うとともに、市内事業所及び旅館業に対し、文書による注意喚起を行い、外国人労働者及び旅行者に対しては、多言語でのチラシを作成し配布するなど、各部と連携し、感染予防対策について周知を図っているところであります。また、市民の不安を軽減するとともに、まん延をできる限り防止する観点から、新型コロナウイルス感染症に関する一般相談窓口に加え、「帰国者・接触者相談センター」及び「帰国者・接触者外来」を設置し、電話での相談を通じ疑いのある方を確実に受診させる体制を整えたところであります。今後とも、時々刻々と変わる国内の感染状況や政府の対策などを注視しながら、引き続き全庁を挙げて関係機関と連携し、予防や診療に関する情報を市民や事業者などに積極的に提供するとともに、医療機関の連携を強化し、市民の皆様の安全安心の確保に努めてまいります。
新型コロナウイルス感染を疑う症例としては、37.5度以上の発熱や呼吸器症状があり、2週間以内の中国・湖北省または、浙江省への渡航歴あるいは同地域での居住歴、そして同じく同地域への渡航歴のある人との濃厚接触歴のある人。この条件のどちらにも当てはまることなどが定義とされていますが、国内において、渡航歴も濃厚接触もないという方に、感染者が出たことで、感染阻止を目標とする体制から、感染予防そして重症化させないような体制の構築にシフトしている状況となっていると思われます。
それでは、本市において、ウイルス感染の状況や感染の相談をする場合、専門的に対応するところはあるのでしょうか、2つ目として、
イ.新型コロナウイルス感染に関する本市の相談の窓口について伺います。
【保健福祉部長】
新型コロナウイルス感染症につきましては、市民の不安を軽減するとともに、まん延をできる限り防止する観点から、新型コロナウイルス感染症に関する一般相談窓口に加え、「帰国者・接触者相談センター」及び「帰国者・接触者外来」を設置し、電話で相談を通じ疑いのある方を確実に受診させる体制を整えているところであります。
現在は、国が示した相談・受診の目安に基づき、風邪症状や37.5度以上の発熱が4日以上、高齢者や基礎疾患などのある方は2日程度続く方、あるいは強いだるさや息苦しさがある方は、保健所内の「帰国者・接触者相談センター」に電話連絡していただくこととしており、その他の方につきましては、一般相談窓口に連絡していただくことになっています。また、受診の目安に合致しない場合には、かかりつけ医など一般医療機関を受診していただきます。
保健所内に設置された「帰国者・接触者相談センター」が、一元的に対応しているとのことでありますので、感染の心配がある方は、センターの電話相談を利用していただきたいと思います。
新型コロナウイルスは、学校やバス、電車など多くの人が集まるところで、感染者のくしゃみや咳などの飛沫と一緒にウイルスが飛び、別の人がそのウイルスを口や鼻から吸い込んで感染をする飛沫感染と、感染者がくしゃみや咳を手で押さえ、周りの物に触ることでウイルスが物に付き、別の人がその物に触ることで、その手から口や鼻などの粘膜を通して感染してしまう接触感染の2つが考えられるとのことです。このような感染を防ぐために、市民の皆様一人一人が、最新で正確な感染情報をしっかりと把握できることが大切です。すでに本市においても、感染に関する多くの情報を発信しているものと思いますが、3つ目として、
ウ. 妊婦の方や乳幼児を持つ家庭など、特に注意を払わなければならない皆様に向けては、どのような情報発信を行っているのか伺います。
【こどもみらい部長】
新型コロナウイルスによる感染症について、妊産婦等に関する情報は、現時点において妊産婦向けとして、公益社団法人日本産婦人科医会、乳幼児を含めた小児に関して、公益社団法人日本小児科学会のホームページにより情報発信されており、対策としては、インフルエンザの予防と同様、ひとごみを避けること、こまめな手洗いやアルコール消毒、マスクの着用の励行が示されているほか、心配なことはかかりつけ医に、また感染が疑われる場合には各地域の保健所などに相談することなどが示されております。
本市といたしましては、これら情報などを活用しながら、子ども・子育て支援サイトやおやCOCOアプリなどにより、必要な情報を発信しているところでありますが、今後におきましても、感染の動向などを注視しながら、適時・適切な情報発信に努めてまいりたいと考えております。
感染症に共通する重要な予防策である「マスクの着用」や「手洗い」などは、多くの人が集まる場所に出かける時、そして帰った時に、必ず実施してほしいと思います。それでは、子供達には、どのようにこの感染の予防策を伝えているのか、4つ目として、
エ.幼稚園や保育所などでの園児への感染症予防の指導はどのように行われているのか伺います。
【こどもみらい部長】
保育所などにおきましては、屋外活動後のうがい・手洗い、食事前やトイレ使用後の手洗いの徹底に努めており、手洗いの方法につきましては、保育士などがお手本を示したり、手洗い場に正しい手の洗い方ポスターを掲示するなど、子供たちがしっかり実践できるよう工夫しながら指導しているところであります。また、保護者に対しましては、園だよりや施設内での掲示などを通じて、家庭内においても、うがい・手洗いを励行し、十分な睡眠をとるなど、感染症予防に努めるよう注意喚起しているところであります。
次に、5つ目として、
オ. 本市小・中学校の児童生徒に対しては、どのような感染症予防の対策を実施しているのか伺います。
【教育部長】
本市小・中学校の児童生徒に対する、感染症予防対策につきまして、市教育委員会におきましては、インフルエンザ総合対策についての各学校への通知をはじめ、新型コロナウイルスを含めた感染症予防に向けた対応について各種文書などを通して、学校や保護者に情報を提供しているところであります。各学校では、これらの通知文を踏まえ、教職員間で感染症予防への共通理解を図るとともに、児童生徒に対しまして、こまめな石鹸手洗いやうがい、咳エチケットの励行、教室の換気、給食前の手指のアルコール消毒などの具体的な指導を行っているところであります。
咳やくしゃみの飛沫により感染するインフルエンザなどの感染症は数多くあります。
日々の生活の中で、手洗いの徹底がとても重要で、石けんを使った手洗い、あるいはアルコール消毒剤を用いての手や指の洗浄が有効だと言われています。さらに人混みの中では、マスクを着用して他者からの感染を防ぐだけでなく、自身から他者に感染を広げないことも重要であり、これらの感染症を他人に感染させない方法として、個人が咳やくしゃみをする際に、マスクやティッシュ・ハンカチ・袖を使って、口や鼻をおさえる「咳エチケット」の励行を促すことも必要です。特に、電車や職場、学校など人が集まるところで実践できるように予防情報の一つとして周知をお願いいたします。
また、本市のウイルス感染対策の一つとして、市内在住のいろいろな分野の皆様との情報共有が非常に重要です。市内には、中国などに支社や関連企業を持つ民間の企業や海外との交流を持つ教育機関もあり、研修や留学などで本市に滞在または居住する方もおられます。このような皆さんと感染に対する情報の交換はしっかりと行わなければなりません。そのようなことを踏まえ、市内の企業などとの情報の共有はどのように図られているのか、6つ目として、
カ.ウイルス感染情報に関する市内企業などとの連携について伺います。
【産業振興部長】
市内企業に対する情報共有の取り組みにつきましては、本年1月末日に、外国との取引の多い企業及び外国人が多く就労している企業約1,000社に対し、新型コロナウイルスに関する基本的な知識や予防方法などについての注意喚起を促すため、緊急の情報提供を行ったところであります。また、これらの情報提供に併せ、中国との出入国者数の調査を行いましたが、1月末時点において、武漢市のある湖北省から帰国した者はいないことを確認しております。
新型コロナウイルス感染に関しての情報は、時々刻々と変わっており、感染の拡大を食い止めていく対策の一つとして、感染情報のある地域といわきをつないでいる列車やバスそしてタクシーなどの旅客業界、そしてトラックやトレーラーなど、物流を担う企業に対して、行政と企業がウイルス感染に対する情報の共有など、しっかりと連携していくことも非常に重要です。
関西のある商工会議所が2月上旬に実施した、企業活動に及ぼす影響調査によれば、新型コロナウイルス感染拡大による経営の影響について、すでにマイナスに作用している企業が約16%。今後、生じる可能性があるという企業が約44%と、回答した約6割の企業で何らかの形で影響すると答えており、中国関連の事業を実施している企業では、約9割弱が影響している、もしくは今後影響するとしています。また、従業員等の感染を防ぐ労務管理の面では、手洗いやマスク着用の徹底。そして感染症に関する情報収集及び注意喚起の実施を行っているものの、感染症の流行や爆発的に感染が広がるパンデミックを想定したBCP(事業継続計画)の策定については、調査を実施した約8割の企業が策定をしていないとの回答でありました。
中小企業においては、従業員に感染者が出て感染が広がることで、生産体制が止まり、その結果、会社の存続にまで影響を及ぼしてしまうこともあり得ます。市内の企業・教育機関さらには各種団体・組織などが総力を結集して、新型コロナウイルス感染の防止そして拡大の抑制という目標に向かい、危機管理面からも情報共有ができるような協力体制の構築をお願いいたします。
さらに市は、市民の皆様に対して、感染予防の準備をしっかりと行えるよう、いろいろな媒体を利用しての最新情報の提供を進めていくことが非常に重要です。
再質問 そこで市内において、新型コロナウイルス感染者として確定された場合は、感染情報をどのように発信するのか。これまでの新型コロナウイルス感染者の方に関する記者会見を見ていますと、当該の都道府県知事、または市長が記者会見を実施し、性別・職業など、感染者に関する情報を発表していますが、このような場合、本市はどのように対応するのか所見を伺います。
【保健福祉部長】
福島県内で新型コロナウイルス感染者が確認された場合、基本的には、福島県において公表することとされております。また、これまで感染者が確認された都道府県などにおける公表内容といたしましては、年代や性別、居住地、職業、症状と経過、渡航歴を含む行動歴などとなっておりますが、今後本市において感染者が確認された場合の公表の方法や内容につきましては、個々のケースに応じて、事前に関係者の同意を得るなど、患者やご家族の人権やプライバシー保護に十分配慮するとともに、濃厚接触の状況や感染拡大のリスクを総合的に勘案し、その都度判断する必要がありますことから、市といたしましては、県と十分に連携を図りながら、適切に対応してまいりたいと考えております。
これまでのウイルス感染に関する政府の専門家会議では、今回の新型コロナウイルスは、発症後しばらく風邪の症状と区別がつきにくく、風邪の人まで医療機関に殺到することで医療現場が混乱する恐れがありますが、逆に、風邪だと思いこんで感染予防の対策を取らないことで感染した人が、知らない間に周りの人に感染させてしまうという二つの面の怖さもあります。このような状況を防ぐためにも、センターへの電話による相談や不要不急の外出を控えて自宅での療養が重要だとしています。
現在、まだまだ予断を許さない感染の状況ですが、WHO(ダブル・エイチ・オー)世界保健機関が発表した情報では、SARSやMERSと比較して重症化する確率や致死率は低く、ウイルスの感染力を示す「基本再生産数」を考慮すると、現在流行している季節性インフルエンザと同様とも思われるということであります。
政府は、「まさに今が、今後の国内での健康被害を最小限に抑(おさ)えるうえで、極めて重要な時期である」と発表しています。
まずは、市民の皆様お一人お一人が、市や厚生労働省、国立感染症研究所などからの正確な情報を確認して、必要な予防対策を速やかにとることが大切です。
「新型コロナウイルス」感染が、関係各位のご努力により、一日も早く鎮静化そして収束していくことを願いまして、次の質問に移ります。
2.夏井川水系河川の治水対策事業について
大きな質問の2番目は、「夏井川水系河川の治水対策事業について」であります。
夏井川は、福島県田村市・双葉郡川内村との境に位置する大滝根山に源を発し南東に流れ下り、いわき市の小川地区そして平地区を通り、平藤間において太平洋に注ぐ、法指定区間67.1キロメートルという県内最大の二級河川です。
その間、小川町で小玉川、そして平市街地付近で好間川と新川が合流し、上水道はもとより、農業用水や工業用水など生活に欠くことのできない大きな恵みをもたらしています。しかし、その一方で、洪水被害もたびたび発生しており、平成元年の台風第13号では、小川地区での夏井川本流の堤防決壊や平鎌田地区での越水による家屋倒壊など、河川流域に甚大な被害をもたらしてしまいました。
そこで、このことを契機に、河川改修事業の整備促進を国や県へ要望していくことなどを目的として、平成元年に夏井川水系河川改良促進期成同盟会が組織されました。流域住民の皆さんの意見を集約しながら要望活動を展開してきたことにより、改修事業は着実に進められておりましたが、平成23年の東日本大震災により、河川施設に甚大な被害が生じ、治水対策はさらに多くの課題を持つこととなりました。さらには昨年10月の台風第19号等の大雨により、これまでに私たちが経験したことのない洪水被害を受けてしまいました。
そこで、これまでの夏井川水系河川の改修要望への事業実績と昨年発生した災害の復旧状況そして今後の動きなどについて質問をしてまいります。
(1)1点目の質問は、「夏井川水系の河川改修の状況について」です。
平成元年秋に期成同盟会が設立され、これまでの間に、様々な形で要望活動を展開してきたものと思います。そこで1つ目として、あらためて、夏井川水系の改修整備の主な要望はどのようなものであったのか、
ア.河川改良促進期成同盟会からの整備要望箇所など、その内容について伺います。
【土木部長】
夏井川水系河川改良区新期成同盟会によるこれまでの主な要望内容といたしましては、夏井川本川の流下能力の向上を図るための河道掘削や河川計画断面を確保するための引き堤及び二級河川 原高野川や赤沼川などの支川の改修について、近年では、夏井川河口部における閉塞に対する治水対策や、平下平窪や赤井地区における護岸整備、および小川地区における無堤区間の早期改修について、さらには好間地区における二級河川好間川の無堤区間の早期改修と水門の新設などについて要望しているところです。
期成同盟会からの改修要望内容は、答弁の通り、どれをとっても重要なものであり、大変多岐にわたるものでありました。それでは2つ目として、これらの要望について、具体的にどのように対応してきたのか、
イ.これまでの管理者である県の対応について伺います。
【土木部長】
これまでの県の対応につきましては、期成同盟会や本市からの要望を踏まえ、現地調査により、詳細な状況把握に努め、整備計画と整合を図りながら、緊急性の高い箇所から優先的に、治水対策を講じてきたところでございます。これまでの主な治水対策といたしましては、夏井川河口部から新川の合流部までの区間において、夏井川本川の流下能力確保のための引き堤や河道掘削などを実施してきたほか、二級河川 原高野川や赤沼川などの支川の河川改修を実施してきたところであります。
期成同盟会からの要望について県は、整備計画に沿った形で、治水対策として改修事業を実施してきたとのことでありました。それでは、昨年の10月に発生した台風第19号等の大雨の被害箇所については、期成同盟会からの要望箇所も含まれておりますが、3つ目として、
ウ.台風第19号等の大雨による夏井川の被災箇所への対応について伺います。
【市長】
令和元年東日本台風などによる夏井川の被災箇所の対応につきましては、本年1月に国の災害査定が終了したことから、次期出水期となる5月末までの本復旧完了を目指し、現在、発注準備を進めているところであり、また県では、原形復旧にとどまらず、河道掘削や無堤区間の築堤、および粘り強い構造での堤体補強や堤防天端舗装などによる改良復旧について、現在、国と協議中であり、早ければ3月末から地元説明会を開催し、速やかに工事に着手する考えであると伺っております。
市といたしましては、市民の安全・安心を確保する河川堤防の強化は重要であると認識しており、地域の方々や期成同盟会とともに、国・県に対し、事業が推進されるよう引き続き強く働きかけ、県と連携を図りながら、夏井川をはじめ、好間川や新川など流域全体の治水対策の推進に取り組んでまいりたいと考えております。
(災害後の土砂堆積状況)
まだ確定情報ではありませんが、工事規模については平の北白土・塩地区にある新川合流部両岸から上流に向かい、市内の夏井川のほぼ全域に及ぶのではないかとも聞こえてきているところです。さらに県は、21日に緊急水災害プロジェクトとして、新年度当初予算案を460億円規模とすると発表しました。新聞報道によれば、夏井川・鮫川・大久川・新川・宮川・好間川・原高野川など市内7か所を含む78河川について、緊急的に一定箇所を改修する河川と指定し、また夏井川・鮫川・新川・好間川・赤沼川・三夜川・原高野川などを含む80河川について、これまで継続的に実施してきた改修のさらなる整備促進を図る河川に指定したとのことです。本プロジェクトは、本年度末から令和6年度末までの実施計画とされ、防災・減災対策の強化が本格的に始まるとのことですが、次年度以降も洪水による河川への影響が不安視されていますことから、土木関連企業の皆様からの協力を得ながら、改修工事の実施については、スピード感を持って推進されることを期待するところです。
今回の台風第19号等の大雨の被害は、事前に想定されていたものをはるかに超える規模でありました。しかしながら、以前からの期成同盟会要望に沿う形で、より速やかに改修事業が実施されていたなら、結果は違っていたのではないかと私は思います。
今回の台風第19号等の災害対応の中で、いくつかの課題が出てまいりました。私も被災地域の方から相談を受けましたが、例を挙げますと、夏井川の堤防決壊により、堤防由来の土砂等が大量に屋敷内に流入して堆積してしまった。その撤去を管理者に依頼しても、「現時点で、自宅屋敷などの民地に流れ込んだ土砂等を撤去する法律・条令等はないので、自前で撤去するか災害ボランティアの皆さんにお願いするしかない」と言われた。また、別の地区の方からは、内水氾濫の兆候が出たために、地域の皆さんが、民間企業から大型ポンプを借りて排水作業を実施したところ、後から借用代金の請求があり、このような事例に関係する支援制度はないか、いろいろなところに問い合わせたが、「対応できる補助金などは、今のところない」という返事だったとの相談も受けました。
これはあくまでも一例でありますが、このように被災された皆さんに対して、さらなる負担を課さないような新たな支援策などの導入についても、市は直接の当事者ではありませんが、河川改修促進期成同盟会の事務局を担っていますので、被災された住民の皆さんの意見をしっかりと把握し、理解したうえで、同じ不安を抱かせないよう、管理者である県と協議を進めていただきたいと思います。
次に、(2) 2点目の質問は、「夏井川河口部の治水対策について」です。
夏井川河口部は、平成18年ごろから波浪による堆砂のために河口閉塞が恒常化し、河口開削工事を実施してもすぐに閉塞してしまう状況が続いています。洪水時には、河口付近において災害発生の懸念もありますことから、閉塞解消に向けた治水対策について質問をしてまいります。まず1つ目として、
ア.夏井川河口閉塞により、これまで抱えてきた問題について伺います。
【土木部長】
夏井川河口部におきましては、堆砂による河口閉塞が平成18年頃より慢性化している状態にあり、河口閉塞による夏井川の水の流れは、左岸で合流している仁井田川へ逆流し、台風や大雨時には、夏井川の水位の上昇に伴い、仁井田川においても高水位の状態が長時間にわたり続くことから、河川堤防への負担がかかる状態となっております。
(数年前の河口閉塞状況)
これまでの閉塞解消の対策の一つとして、海に向かう圧力を高める効果を狙い、河口近くの夏井川両岸の堤防高を7.2メートルに嵩上げする工事を実施したことは、実際に現地において確認できることから、既にわかっていますが、
2つ目として、イ.これまで行われてきた閉塞への対応について伺います。
【土木部長】
これまでの河口閉塞への対応といたしましては、県は、平成20年度から試験的に逆流防止策として、仁井田川の閉め切りや、河口部の離岸堤設置などを実施するとともに、台風などの大雨が予想される前におきましては、河口部の体積土砂を撤去する開削工事を実施しておりますが、数日で再び閉塞してしまう状況にあります。
それではそのようなことを踏まえ、今後、ハード面はどのように進むのか
3つ目として、ウ.新たな閉塞解消に向けた取り組みについて伺います。
【土木部長】
新たな閉塞解消に向けた取り組みといたしましては、県は、平成29年度に「夏井川河口部治水対策技術検討会」を設置し、国の専門家や学識経験者の意見を取り入れながら検討を重ね、その対策工として、支川として夏井川に合流する仁井田川への水門設置や、仁井田川の堤防の嵩上げなどを行うこととしており、翌30年度には新規事業化が決定し、平成31年3月には仁井田川の堤防嵩上げ工事に着手したところであります。
これらの取り組みについて、平成30年度には、仁井田川の嵩上げ工事に着手しているとのことですが、4つ目として、
エ.市は、今回の河口部治水対策の効果をどのように捉えているのか伺います。
【土木部長】
夏井川河口部の治水対策の効果につきましては、仁井田川に設置される水門により、大雨時には夏井川本川の流れが海に向かい、河口閉塞の解消が図られ、また、仁井田川の堤防の嵩上げとの一体的な完成により、河口部全体の安全性が高まり、洪水被害を軽減する効果が期待されるところでございます。市といたしましては、沿川にお住いの方々の安全・安心の確保を図るため、引き続き、期成同盟会の皆様と連携し、当該対策事業が円滑に推進されるよう、取り組んでまいりたいと考えております。
流域住民の皆様の安全安心を確保するため、対策事業の円滑な推進をしっかりと図っていただくよう要望します。
(3) 3点目の質問は、「水位周知河川の指定について」です。
新聞報道によれば、福島県において台風第19号により甚大な被害が発生したことを受け、水害の際に、より市民の皆様の生活に近い地点で危険度を把握し、速やかな避難を促す水位の基準を定めた「水位周知河川」について、現在の29河川から約2倍の60河川に増やすことを水災害対策協議会で示しました。本市でも、新たに指定を予定している河川があるとのことですので、その内容について質問をいたします。それでは1つ目として、
ア.本市の二級河川における「水位周知河川」について伺います。
【土木部長】
「水位周知河川」につきましては、河川の増水や氾濫などに対する水防活動の判断や住民の方々の避難行動の参考となるように、避難判断水位や氾濫危険水位などの特別警戒水位を定め、各設定水位への到達情報を通知および周知する河川として、水防法に基づき、県が指定するものであり、これまでに二級河川仁井田川、好間川、新川、藤原川、鮫川、および蛭田川の6河川が指定されてきたところであります。県におきましては、今後、今般の台風などによる被害を踏まえ、新たに、二級河川大久川、滑津川、および矢田川の指定に向けた検討に着手すると伺っており、指定後は、特別警戒水位の設定や河川洪水ハザードマップの基礎情報となる浸水想定区域が指定されることとなるものであります。
今回の台風被害により、新たに大久川・滑津川そして矢田川が指定される見込みであり、指定後は県が浸水想定区域の設定を行うとのことでありました。
それでは2つ目として、河川洪水時の避難等の情報源として利用される、
イ.本市の河川洪水ハザードマップの更新について伺います。
【土木部長】
河川洪水ハザードマップの更新につきましては、県により、新たに水位周知河川に指定される予定の3河川につきまして、浸水想定区域が指定されたのち、市におきまして、速やかにマップを作成し、順次公表することとしております。
県により浸水想定区域が指定された後は、本市としてもより速やかな対応をお願いいたします。それでは、ハザードマップ作成後の有効な利活用についてですが、ハザードマップを作成してもイザというときに、実際に使われないとまったく意味がありません。そこで3つ目として、
ウ.指定された河川流域の皆様へはどのように周知徹底を進めていくのか伺います。
【土木部長】
河川洪水ハザードマップの周知につきましては、これまで市ホームページや広報いわきなどの刊行物への掲載、地域の自主防災組織や小中学校などへの出前講座の開催などにより、周知に努めてきたところであり、今後におきましては、当該マップ更新時などにおける意見交換会の開催や多くの人が利用する集客施設などへの掲示、さらには、市総合防災訓練での活用など、あらゆる機会を捉え、河川流域の皆様へはもとより、広く市民の皆様への周知に努めてまいりたいと考えております。
福島県は、流域住民の皆様の安全を確保するため、ハード整備と合わせ迅速な避難を支援するための情報強化を目的に指定河川を増やしたとのことであります。本市においても、ぜひともその目的に沿って、流域住民の皆様が安全に避難行動を起こせますよう、さらなる事業の推進を要望して次に移ります。
3.農業用ため池の管理及び保全について
大きな質問の3番目は、「農業用ため池の管理及び保全について」であります。
ため池は、農業用水を確保する目的で人工的に作られたものが多く、個人や自治体所有の土地にある池を周辺の農業従事者が利用する場合もあります。
近年、台風や地震など自然災害による農業用ため池の被災が頻発している中、ため池の周囲には、都市化や混住化が進んでいるところも多く存在し、事故の危険性が増しています。そこで早急にその実態を把握して、漏水を防ぐための堤体強化など、恒久的な防災対策を進めていかなければなりません。ため池の整備は、基本的に管理・所有者の責任となっていますが、農家の減少や高齢化などから世代交代を進めることで、権利関係が不明確で複雑になり、維持管理が適正に行われずに放置されているため池もあり、日々の維持管理にも支障をきたす恐れがあることが大きな課題となっています。
そこで、昨年2月定例会においても「農業用ため池」の問題について触れましたが、今回は、新たに法律が制定されたということですので、本市における「農業用ため池」への対応について質問をしてまいります。
(1)1点目の質問は、「農業用ため池の管理及び保全に関する法律への対応について」です。
平成30年7月に発生した西日本豪雨により、「防災重点ため池」に該当しない小規模のため池が多く被災したことなどが契機となって、平成31年4月に「農業用ため池の管理及び保全に関する法律」が制定されました。
まず1つ目として、ア.制定された法律の概要について伺います。
【農林水産部長】
「農業用ため池の管理及び保全に関する法律」につきましては、農業ため池に関する施設の所有者、管理者や行政機関の役割分担を明らかにし、農業用ため池の適正な管理及び保全が行われる体制を整備するため、平成31年4月に制定されております。本法律の制定により、防災重点ため池の基準が見直され、より広範囲のため池が防災重点ため池として指定されることとなり、各種対策を講じることにより、浸水被害の防止や軽減を図ることとしております。
その主な目的は、農業用ため池の所有者や行政機関の役割分担を明らかにすること。そして適正な管理及び保全が行われる体制の整備ということでありました。それでは、法律制定の前に、西日本豪雨を受けて県と市合同で、市内370か所の「農業用ため池」についての緊急点検調査を行ったということですが、2つ目として、
イ.その緊急点検調査の結果はどのようなものだったのか伺います。
【農林水産部長】
平成30年7月に発生した西日本豪雨により、ため池の堤体の決壊などによる被害が多数発生したことから、国の指示により、平成30年7月から8月にかけて、市内全370か所のため池について緊急調査を実施した結果、堤体の崩壊など、対策に急を要するため池はありませんでしたが、軽微な漏水などがあるため池が5か所、確認されたところであります。
緊急点検調査の結果は、軽微な漏水箇所が数か所ありましたが、急を要するものはなかったということでした。それでは3つ目として、今回制定された「農業用ため池の管理及び保全に関する法律」の中で、
ウ.市の役割とは、どのようなものになっているのか伺います。
【農林水産部長】
市の役割といたしましては、防災重点ため池決壊時の避難場所や避難経路について、ハザードマップなどにより周知すること、耐震性調査を計画的に進め、必要に応じ防災工事を実施すること、適正に管理されておらず、所有者が確認できない特定農業用ため池について、管理権を取得し管理することなどとなっております。
今後とも、所有者など管理組織の皆様と緊密に連携を図りながら、適正な管理体制づくりに向け、積極的に関わりを持っていただくようお願いいたします。
次に、(2) 2点目の質問は、「防災重点ため池について」です。
農林水産省では、「農業ため池の管理及び保全の法律」の制定に伴い、全国1万1千箇所を「防災重点ため池」としてその周知を自治体に求めました。これを受け、本市は、市内に全370箇所ある「農業用ため池」について、新たな基準をもとに「防災重点ため池」を再選定したとのことでありますので、その内容などについて質問をしてまいります。
まず1つ目として、ア.「防災重点ため池」の指定基準について伺います。
【農林水産部長】
防災重点ため池の新たな指定基準につきましては、ため池から100m未満の浸水区域に家屋・公共施設があること、ため池から100~500mの浸水区域内に家屋・公共施設があり、かつ貯水量が1,000㎥以上であること、ため池から500m以上の浸水区域内に家屋・公共施設があり、かつ貯水量が5,000㎥以上であることなどとなっております。
ため池は、所在する土地により所有者が異なり、今回の法律制定に伴い「防災重点ため池」のうち個人または行政以外の団体が所有するため池を「特定農業ため池」として指定するとのことですが、2つ目として、
イ.本市における「防災重点ため池」の現況はどのようになっているのか伺います。
【農林水産部長】
新たな法律の制定にもなって防災重点ため池として指定されるため池は、市内で184箇所と見込まれますが、市において、防災重点ため池が存在する土地の所有者などを調査した結果、そのうち9箇所については個人や行政区が所有するため池であり、今後、県において市町村の意見聴取を行い、その結果を踏まえて公示したのち、「特定農業用ため池」として指定される見込みとなっております。
日常においての草刈りや水路の土砂上げなどの維持管理作業については、地元の「農業用ため池」を利用する皆さんが行うものと理解していますが、堤体の大きな改修などを個人が実施するということは大変困難だと思います。それでは、そのような場合の対応について、
3つ目として、ウ.指定後の管理体制はどのようなものとなるのか伺います。
【農林水産部長】
市が所有する防災重点ため池は、市が防災対策を行うことになります。また、個人が所有する防災重点ため池、いわゆる「特定農業用ため池」につきましては、基本的には所有者に管理責任があり、ため池を適正に管理することとなっておりますが、防災対策が必要なため池であって、所有者が必要な防災工事の施工が困難な場合は、所有者に代わって、県が防災工事を施工することができるとされております。
今後は、「農業用ため池」の防災対策を推進していくという観点から、県による代替施行を働きかけるとともに、日常の維持管理作業につきましても、管理者の皆さんとの連携を密に取りながら、管理者負担を少しでも軽減できるような支援策についての要望を関係機関へお願いいたします。
次に、(3) 3点目の質問は、「農業用ため池ハザードマップの作成について」です。
「農業用ため池の管理及び保全に関する法律」では、「住民への周知」という観点から、「市町村は、特定農業用ため池の決壊に関する情報の伝達方法、避難場所及び避難経路等に関する事項について、印刷物その他必要な措置を講ずることにより、住民に周知するよう努める」と、ハザードマップの作成などに関する項目も加えました。本市では、以前から「農業用ため池ハザードマップ」の作成を進めていましたが、今回の法律制定により、これまでの施策をさらにどのように進めていくのか質問をしてまいります。それでは1つ目として、
ア.農業用ため池ハザードマップ作成の手法はどのようなものか伺います。
【農林水産部長】
ハザードマップ作成の手法につきましては、ハザードマップ作成の専用ソフトにより、想定被害区域を作成し、これをもとに現地調査を行い、洪水到着時間や浸水の深さ、避難場所などの情報を整理し、ハザードマップを作成することとなります。
今回、法律の制定により、指定された市内184か所すべての「防災重点ため池」について現地調査を行い、各種情報を整理しながらハザードマップ作成を進めていくとのことですが、
2つ目として、 イ.ハザードマップ配布のスケジュールについて伺います。
【農林水産部長】
ハザードマップにつきましては、基準の見直しにより新たに選定されたすべての防災重点ため池を対象として、避難場所、避難ルートなどについて、地区住民の皆様の意見を採り入れながらマップを作成し、完成後ため池ごとに浸水被害想定区域の全戸に配布することとしており、令和2年度内に全箇所の完了を目標としているところであります。
これまでに作成済みのハザードマップは、追加の事項があれば加え、184箇所のすべてについて、令和2年度内には浸水想定区域内の全戸に配布するとのことでした。そこで大事なのは、作成したら事業がおわったとの錯覚に陥らないで、マップ情報をもとに、イザという時に速やかな避難行動がとれることが到達すべき目標であり、ハザードマップを作成する本当の意味です。
私は、数年前の台風による大雨の時に、ため池堤体からの越水及び決壊の恐れがありとの避難勧告が発令された地区に、状況確認のため避難指定場所に行ったところ、どなたも避難をしていなかったということを経験しました。幸い、結果的には決壊せずに事なきを得ましたが、それで本当に良かったのか疑問を抱きました。
そこで、先ほどの「河川洪水ハザードマップ」作成の質問の中でも確認をさせていただきましたが、3つ目として、
ウ.指定されたエリアの住民の皆様への周知徹底はどのように進めるのか伺います。
【農林水産部長】
ハザードマップにつきましては、浸水想定区域内の住民の皆様が、安全な避難ルーや避難場所を認識し、防災意識の醸成を図ることが重要でありますことから、ハザードマップを浸水想定区域内の全戸に配布したり、市ホームページへ掲載したりするとともに、防災重点ため池を市地域防災計画に反映し、広く住民の皆様に周知してまいりたいと考えております。
今回の質問を通して、河川やため池ハザードマップ作成を進めていくことがわかりましたが、それぞれが単発的な施策ではなく、本市において、すでに定期的に行われている地域防災訓練に、これらの情報がしっかりと反映され浸水被害想定区域内の皆様が、安全で速やかに避難行動が起こせますよう、その目的に沿って事業が推進されることを心より願います。
また、浸水想定区域で生活する皆様には、降雨量の情報やため池の水位変化にも注意を払いながら、ため池ハザードマップを十分に理解した上で速やかな避難行動を取っていただくようお願いして、次に移ります。
(3) 4点目の質問は、「農業用ため池の耐震性調査について」です。
「農業用ため池」の管理において、市が所有するため池については、これまでと同様に、地方自治法に基づき適正に管理していくこととなっていますが、福島県では、「農業用ため池の管理及び保全に関する法律」の制定に併せ、「防災重点ため池」について、ハザードマップの作成とともに耐震性調査を実施する方針を示しています。
そこで、本市におきましても県の方針に沿う形で、全ての「防災重点ため池」について、計画的に耐震性調査を実施していくとのことですが、1つ目として、
ア.今回行われる耐震性調査の目的や実施方法など、その内容について伺います。
【農林水産部長】
ため池の耐震性調査につきましては、指定されたすべての防災重点ため池について、ため池災害の未然防止を図ることを目的に、ボーリング調査や土質試験などを実施し、地震発生時にため池が保持すべき耐震性が確保されているかの判定を、可能な限り早期に実施するものであります。
新しい法律により「防災重点ため池」184箇所について、すべてで耐震性調査が行われるとのことですが、今後は、堤体決壊という最悪の事態を防ぐという目的を達成するため、作業マニュアルに沿って、しっかりとした調査の実施をお願いいたします。
次に2つ目として、耐震性調査の結果が出た時点で本市はどのような対策をとっていくのか、イ.耐震性調査の結果を受けた本市の対応について伺います。
【農林水産部長】
ため池につきましては、灌漑のほか洪水調節や土砂流失防止など多面的な機能を持つ施設でありますが、近年集中豪雨などによる自然災害により、全国的に被災するため池が増加しております。今後は、耐震性調査の結果などを踏まえ、軽微な補修につきましては、市単独事業により、大規模な修繕が必要なため池に関しましては、緊急度に応じ補助事業を導入しながら必要な防災対策を実施し、ため池の安全確保に努めてまいりたいと考えております。
前回の質問の時点では、ため池の現状チェックは、管理者や利用者が、自主的に日常の中で行うこととされていました。しかし今回、184箇所の「防災重点ため池」についての耐震性調査を市が順次行い、その結果に基づいて、防災対策が必要な場合には、市が単独、または補助事業を導入して、工事を実施することができるということですので、「防災重点ため池」の管理保全の体制は、一歩前に進んだものと思います。
さらに今後は、行政と所有者が「農業用ため池」の維持保全そして防災の観点から、より連携して管理できることを願いまして、
私の質問を終わります。
ご清聴ありがとうございまし