令和2年7月定例会一般質問の質問内容です。

 

 14番 いわき市議会 志帥会  西山一美です

 通告順に従いまして、市政一般について質問をいたします。

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 1.水道事業の運営状況について 

 大きな質問の1番目は、「水道事業の運営状況について」であります。

 いわき市水道局のホームページを開くと「いわき市水道の歩み」が出てきます。

 明治39年(1906年)平の町で火災が発生した際、水不足のために町内のほとんどが焼け、大きな被害が出たことなどから、一日も早い水道開通を望む声が高まりました。それを受け、幾度かの計画変更の末に、大正6年、好間川を水源とする水道工事を始め、大正10年(1921年)の11月1日、平の町に待望の水道が通りました。

 その後、湯本、四倉、小名浜と次々に水道が開通し、昭和41年「いわき市誕生」の時には、上水道9つと簡易水道19か所を所有することとなりました。昭和44年(1969年)、旧市町村それぞれから引き継がれた既存の水道が統合され、「いわき市上水道」を創設、現在に至っているとのことであります。

 平の町に水が通って約100年。「いわき市上水道」となって50年という水道の歴史の節目に立ち会う私たちは、この水道事業を健全な状態で次の世代につないでいく責任を果たさなくてはなりません。

 そのためには、水道事業の経営状況を10年間の計画である「新・いわき市水道事業経営プラン」。そして、5年間の具体的な計画である「中期経営計画」がどのように実施されてきたか、また、その実施結果を後半の「中期経営計画」へどうつなげていくのかなど、しっかりと検証を進めていくことが重要です。

 私は、約2年半前の平成31年2月定例会において、水道事業の現況について質問し、その中で、現行の「中期経営計画」の進捗状況については、最重要事業と位置付けた老朽管更新事業などが計画通りに実施され、目標も達成していることや財政状況も良好であることを確認いたしました。

 さらに、今後の見通しは、人口減少が進むことにより、水道料金収入の減少が予測され、経営環境が厳しくなる中でも、次世代に健全な形で引き継ぐための基盤強化が必要であり、そのためには、先ほども述べました「中期経営計画」に基づく取組みを着実に実施していくことが重要であるとのことでした。

 このような考えに沿って事業が進む中、昨年秋の令和元年東日本台風により、本市水道施設に大きな被害が発生いたしました。

 そこで今回の質問を通し、台風被害の詳細や水道事業経営に及ぼす影響。そして、今後、どのような対応をとることで当初計画の目標を達成させるのかなど、その内容について質問をしていきたいと思います。

 

  まず(1)1点目は、「令和元年度水道事業会計決算状況について」です。

 「中期経営計画」の3年目にあたる令和元年度は、ここ近年の傾向である人口減少や節水型水道機器の普及などに加え、令和元年東日本台風の影響による水道料金支払いの減免措置の対応により、水道料金などの収益的収支に動きがあったことが予想されますが、

 1つ目として、令和元年度の収益的収支の内容について伺います。

【答弁】水道局長 収益的収支については、消費税抜きで申し上げますと、前年度と比較して収入総額は約3億5000万円減少し、約92億9000万円となり、支出総額は9000万円増加し、約88億1000万円となったところであります。その結果、純利益については、約16億4000万円減少し、約4億8000万円となったところであります。  

 次に、2つ目として前年度から増減した要因について伺います。

【答弁】水道局長 収入面における減は、ただ今、議員お質しの通り給水収益が給水人口の減少や節水機器の普及等に加え、令和元年度東日本台風等の影響に係る水道料金の減免措置等で減少したことによるものであります。また、支出面における増は、台風被害に対応するため、災害応急復旧及び災害応急給水に係る特別損失を計上したことなどによるもので、その結果、純利益については、大きく減少したところであります。   

 令和元年度の純利益は、約4億8000万円となることで、令和元年東日本台風による被害が、収益的収支に及ぼした影響は、非常に大きいものであったことがわかりました。それでは次に、設備更新などに係る資本的収支の決算状況はどのようになったのか、

 3つ目として、令和元年度の資本的収支の内容について伺います。 

【答弁】水道局長 資本的収支については、前年度と比較して収入総額は、約6億2000万円減少し、約22億4000万円となり、支出総額は、約6億5000万円減少し、約68億4000万円となり、その結果、収支不足額については、約46億円となったところであります。なお、不足する約46億円については、過年度分損益勘定留保資金等で補填することとし、翌年度以降の事業に引き継ぐ自己資金の残額は、前年度より約8億4000万円減少し、約81億9000万円となったものであります。 

 それでは4つ目として、前年度から増減した要因について伺います。

【答弁】水道局長 支出面における減は、令和元年東日本台風等の災害対応のため、老朽管更新事業等の工事を一時中止したことにより翌年へ繰越工事が増加したことによるものであり、収入面における減は、繰越工事の財源となる企業債の借り入れ等を翌年度に延長したことなどによるもので、その結果として、収支不足額が減少したものであります。  

 資本的収支の支出面においても、復旧事業を優先することで、老朽管更新事業など建設改良費の一部が次年度へ繰越しとなることや収入面での老朽管更新事業の減少による企業債借入れの減少などによって、前年度に比較し、資本的収入および資本的支出の両方とも圧縮され、収支不足額は減少したとのことでありますが、次に、本年度の財政収支計画との比較はどうか、

 

 (2) 2点目は、「財政収支計画と決算の内容について」です。

 昨年度の決算審査意見書を見ますと、「中期経営計画」における財政収支計画と比較して、漏水対策の推進や企業債残高の縮減、ダウンサイジングなどによる工事コストの削減の取組みを進めてきたことで、純利益や資金残高が計画を上回る決算でありました。しかしながら今年度は、令和元年東日本台風などから災害復旧事業の実施により、これまでの傾向とは異なる内容になったのではないかと思うところです。

 そこで、1つ目として、計画と収益的収支決算の結果について伺います。

【答弁】水道局長 収益的収支については、令和元年東日本台風等の影響による給水収益の減や災害復旧費用の計上などにより、財政収支計画と比較して、収入面においては、約1億3000万円の減となり、支出面においては、約7億7000万円の増となり、その結果、純利益は、約9億円の減となったところであります。   

 次に、2つ目として、計画と資本的収支決算の結果について伺います。

【答弁】水道局長 資本的収支についても、令和元年東日本台風等の影響による工事の繰越などにより、財政収支計画と比較して、収入面において、約9億9000万円の減となり、支出面において、約19億8000万円の減となったところであります。その結果、資本的収支不足額は、約9億9000万円の減となったものの、最終的な資金残額は、前年度から繰越された自己資金や事業の繰越などにより、約38億9000万円計画を上回っている状況であります。 

 これまでの内容を伺いますと、やはり災害による影響が色濃く反映されており、収益的収支の純利益においては計画との差が約9億円となるとのことでありました。

 それでは、その大きな要因となった台風被害の概要や復旧対応はどのように進んでいるのか、

 

(3) 3点目は、「令和元年東日本台風による水道施設の復旧状況について」です。

 昨年秋の令和元年東日本台風に伴う大雨により、夏井川をはじめとする市内の複数の河川で堤防の決壊や越水が起こり、洪水による水害や土砂災害が発生いたしました。これに伴い、平浄水場をはじめとする水道施設においても浸水被害を受け、機能が停止したことにより、市内の約3分の1が断水するなど、甚大な被害となりました。

 その後、断水区域の一日も早い給水再開のため、全国の水道事業者を始め、自衛隊などから支援をいただき給水活動を進めながら、機能停止となった平浄水場などの復旧作業に全力で取り組んだことにより、約2週間後には断水区域の復旧が完了したとのことでありました。

 そこで1つ目として、令和元年東日本台風の被害内容について伺います。

【答弁】水道局長 浄水施設については、平浄水場において約85cmから約125cmの浸水により、屋外受電盤をはじめ多くの設備等が水没し、建屋内にある電気室やポンプ室、薬液注入室等も約60cmの浸水により、多くの設備、機器等が水没して故障するとともに、浄水池やポンプ井に濁水が侵入し汚染されたことなどがあり、また、下平窪取水場と法田ポンプ場において、浸水により電気設備等が水没し故障する被害がありました。配水施設については、平窪第2ポンプ場において、ポンプ場建屋内で約180cmの浸水により、多くの設備が完全に水没し故障したことをはじめ、草木台配水池敷地内での法面崩落や大久町で市道橋「祢宜内橋」の落橋に伴い配水添架管が破損する被害等があったところであります。 

 浄水施設である平浄水場そして法田ポンプ場などや配水施設の大久町配水管など、市内の水道施設に大変大きな被害が及んだとのことですが、

 それでは2つ目として、令和元年東日本台風による被害額はおおよそどの程度か伺います。

【答弁】水道局長 令和元年東日本台風による被害額は、平浄水場分が約12億9500万円、下平窪取水場、大久町配水管ほか3施設分が約6億5900万円などにより、合計額は、約19億6000万円となっております。  

 次に、3つ目として、災害復旧に向けた予算措置について伺います。

【答弁】水道局長 ただいま申し上げた被害額のうち、約8億3000万円を令和元年度から2年度に繰り越しており、令和2年度当初予算として、大久町配水管の本復旧分として、5750万円を措置しております。さらに、被災浄水施設の総合的な浸水対策を検討するため、5000万円の委託費を併せて計上しております。また、これら災害復旧費の財源となる国庫補助金については、災害査定が来月実施される見込みであることから、その後、交付決定される予定となっております。 

 激甚災害の指定により、国庫補助率は引き上げられましたが、復旧作業の中には、土砂の除去や施設内の清掃など、国庫補助の対象外となるものもあると思います。

 復旧に係る事業を自己財源のみで行うことは、今後、給水人口減少などによる事業運営に大きな影響を及ぼすことから、補助対象経費の拡大については、引き続き要望をしていただきたいと思います。そのようなことを踏まえ、令和元年東日本台風から約9か月が経過した今、水道施設の復旧作業はどのようになっているのか、

 4つ目として、災害復旧の進捗状況について伺います。

【答弁】水道局長 平浄水場をはじめ浄水施設の復旧作業は、前年度に28件の工事等を発注し、うち26件が年度内に竣工しており、平浄水場の送水ポンプ設備工事と下平窪取水場の受変電・計装設備工事については、今年度内に竣工する見込みとなっております。また、平浄水場では、設備等の復旧に加えて、本年3月までに施設外周のフェンス内側に大型土のうを2段、高さ約1.6メートルを積み、応急的な浸水対策を実施したところであります。次に、配水施設については、平窪第2ポンプ場と草木台配水池の復旧作業が前年度内に竣工しており、大久町配水管においては、本年3月までに、県道折木・筒木原・久之浜線の歩道及び上流側の中里橋に配水仮設管を設置し、給水の確保を図ったところであります。  

 まずは発災当初、市民の皆様の日常の生活を一日でも早く取り戻すべく、昼夜を問わず懸命に復旧作業を続けていただいた関係部署の皆様には、心より敬意を表すところです。平浄水場においては、復旧当初、水没した機器類などについて、新品に交換または洗浄や乾燥処理を施して再利用するなどの対応をとり、早期に浄水機能を回復させたと聞いております。大変な作業であったと思います。今後、回復させた機器類に汚れや腐食などが出ることもあり、再び機能停止など重大な事故につながる懸念もありますので、しっかりと新品の機器などに交換する本復旧を継続実施して、万全な形で作業を完了するようにお願いをいたします。

 そのようなことも含め、5つ目として、今後の災害復旧のスケジュールについて伺います。

【答弁】水道局長 浄水施設の浸水対策については、その効果、工法、経済性等の検討を行うため、今年度に実施する、「浄水場浸水災害対策基本設計」を踏まえ、その後、詳細設計、工事等を計画的に実施し、被災施設の総合的な対策を講じてまいりたいと考えております。配水施設については、市道橋「祢宜内橋」災害復旧工事の進捗と整合を図りながら、実施していく予定としております。  

 災害復旧のスケジュールについては理解をしたところですが、今後も浸水が想定される区域に水道施設がある場合、従来の事業の継続と併行して、浸水防止の対策についても進めていく必要があると思います。

 

  そこで、(4) 4点目は、「今後の水道事業の運営について」です。

 「中期経営計画」に掲げる重要事業を推進していく中で、新たに浸水防止事業を進めていくには、多くの事業費を要するものと思います。

 浸水防止事業などを進めながら、基幹浄水場連絡管整備事業や老朽管更新事業などの重要事業を実施していくためにはどのような課題があるのか、

 1つ目として災害復旧が重要事業に与える影響について伺います。

【答弁】水道局長 令和元年台風等の影響により、一部工事について、翌年度へ繰越すとともに、被災した浄水施設等の復旧を最優先で実施していることから、施設整備事業や更新事業に若干の遅れが生じておりますが、中期経営計画の最終年度である令和3年度までには、計画に掲げている事業運営の目標が達成できるよう鋭意取り組んでいるところであります。また、浸水が想定される施設については、早急に浸水防止対策を実施する必要があるとともに、土砂災害や停電といった自然災害への対応も進めながら、老朽管工新事業などの重要事業についても計画的に実施していく必要があることから、これらの対策等には、多額の事業費を要することとなり今後の財政運営や事業の進捗などに少なからず影響を及ぼすことになるものと考えております。   

 ぜひとも、水道施設の浸水防止対策への財政的な後押しについて、国等に対し、さらなる支援の要望をしていただきたいと思います。

 さて、前回の質問において、水道事業を進めていく中で、今後の水需要や震災体験などから、効率的で災害に強い水道を目指すための施設再編について伺いました。

 本市の水道事業を取り巻く環境が大きく変化していることなどを踏まえ、水道施設のダウンサイジングや適切な更新時期を考慮した施設再編等を取りまとめた「水道施設総合整備計画」を策定するとのことでありましたが、これにつきましても、令和元年東日本台風の影響により修正を余儀なくされるものと思います。

 そこで、この項最後の質問となりますが、令和元年度の決算結果や台風被害等を踏まえた今後の事業運営について伺います。

【答弁】水道事業管理者 本市の水道事業を取り巻く環境は、給水人口の減少や節水機器の普及等に伴い給水収益の減少傾向が今後も続き、自己資金の確保が困難となる一方、老朽化する施設の更新や、地震や台風など、近年頻繁する自然災害への対応に係る資金需要が増大することから、事業経営はますます厳しくなるものと推測しております。こうした事業環境の変化に的確に対応するため、 現在、中長期的な施設の整備計画である「水道施設総合整備計画」の策定を進めており、令和4年度以降の新たな経営計画へ反映させていくこととしておりますが、今後も引き続き、財源の確保や経費の削減に努めるなど効率的かつ効果的な事業運営にあたるとともに、より一層の水道事業の基盤強化に取り組んでまいりたいと考えております。 

 経営環境が厳しくなる中でも、水道事業の基盤強化を進め、次の世代に健全に引き継いでいくことを目標に、これまで事業を進めてこられましたが、令和元年東日本台風による被害が大きく、今後の水道事業の運営に重大な影響を及ぼしていることが明らかになりました。

 そこでもう一度、中長期的な視点に立った経営戦略を再構築して、「新・いわき市水道事業経営プラン」の終期に向かい、当初計画に掲げる重要事業を引き続き実施しながら、台風被害からのリカバリー事業を始め、今後の災害に備えるために、浸水や土砂災害そして停電対策などの水道施設バックアップ設備の充実についても、しっかりと国や県から財政的な支援を受けて推し進めていただきたいと思います。

 適切な水道事業の進行管理のもと、市民の皆様に安全で良質な水道水を、安定して供給することができるようさらなる尽力をお願いし、次の質問に移ります。

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                   (コロナ対策のため傍聴席も制限しています)

 

2.大規模盛土造成地調査事業について 

 大きな質問の2番目は、「大規模盛土造成地調査事業について」であります。

東日本大震災から9年4か月が経過しました。東日本大震災では、沿岸部において津波による壊滅的な被害が発生し、内陸部においても、比較的造成年代の古い盛土造成地を中心に、多くの宅地に甚大な被害が起こりました。

 造成地全体にわたる被害に対して、それぞれの宅地を復旧するだけでは再び地震等が発生した場合、災害を未然に防ぐことは困難なため、造成地一帯を対象とした再発防止対策の必要性から、国において被災した宅地の早期復旧と安全性の確保を図ることとなりました。

 本市においても、大規模盛土造成地が多数存在すると思われますことから、事業の概要や今後の動きなどについて質問をしてまいります。

 

  (1)1点目は、「宅地耐震化推進事業について」です。

 震災などにより、盛土造成地に大規模な宅地被害が発生しますと、人的被害や財産被害、生活再建の遅れが生じるとともに、その復旧対策には多大な費用と労力が必要となることから、頻発する地震などに備え、宅地被害を防止、軽減するための宅地の耐震化を進めていくことが重要であると考えますが、

 それでは1つ目として、国における宅地耐震化推進事業の取組みについて伺います。

【答弁】都市建設部長 国におきましては、平成7年の阪神・淡路大震災や平成16年の新潟中越地震における谷や沢の埋め立て地や傾斜地上に腹付けした盛土造成地において、滑動崩落等の宅地被害が多数発生したことを受け、平成18年に被害の軽減と早期の復旧を図るため、事前の対策を推進することを目的とした宅地耐震化推進事業を創設したところであり、その後、平成23年の東日本大震災や平成28年の熊本地震等による同様の宅地被害を受け、その都度、補助対象工事など事業の拡充を図ってきたところであります。さらに、令和元年度におきましては、平成30年に発生した北海道胆振東部地震を契機に、大規模盛土造成地の位置を示した大規模盛土造成地マップを作成、公表することにより、各地方公共団体に対する今後の対策へとつなげる取組みや住民に対する安全意識の醸成等の取組みを促進してきたところであります。 

 東日本大震災の発災時、宮城県仙台市の丘陵地にある大規模盛土造成地で滑動崩落が発生し、宅地の存続に重大な影響を及ぼす被害が出たことが報道されていました。テレビを通して、宅地が丸ごと崩れていくショッキングな映像に大変驚いたことを記憶しています。その後の検証では、被害を受けた宅地の多くは1970年代以前に造成された地盤の締固め度が低い盛土に集中していたとのことでした。それでは、いわき市における宅地の被害状況はどうだったのか。

 2つ目として、東日本大震災における市内の主な住宅団地の被害について伺います。

【答弁】都市建設部長 市内における主な住宅団地の被害につきましては、常磐西郷忠多、泉もえぎ台、四倉町梅ヶ丘、常磐上湯長谷町長倉、および桜ケ丘の5団地で発生しております。これらの団地におきましては、いずれも道路等の公共施設に被害が生じたほか、常磐西郷忠多と泉もえぎ台の2団地におきましては、大規模な滑動崩落等の被害も発生したところであります。         

 本市においても、滑動崩落が起きた宅地があったとのことでしたが、

 3つ目として、当該住宅団地の被害における対応について伺います。

【答弁】都市建設部長 被害のあった5団地のうち、四倉町梅ヶ丘、常磐湯長谷町長倉および桜ケ丘の3団地におきましては、国庫補助事業である道路災害復旧事業を活用し、復旧を図ったところであります。また、大規模な活動崩落が起こった常磐西郷町忠多と泉もえぎ台の2団地につきましては、道路災害復旧事業による復旧と併せて、東日本大震災で時限的に創設された、「造成宅地滑動崩落緊急対策事業」を活用し、復旧がなされたところであります。   

 それでは、そのようなことを踏まえ、4つ目として、国が進めている宅地耐震化推進事業の内容について伺います。

【答弁】都市建設部長 宅地耐震化推進事業につきましては、大規模地震における盛土造成地の滑動崩落による宅地被害を防止するため、大規模盛土造成地について、マップの作成や現地調査、さらには安定計算などの変動調査を行い、その結果、滑動崩落の恐れのある大規模盛土に対する対策工事の実施により、耐震性を向上させるなど、宅地の安全性の「見える化」や予防対策を推進する事業であります。   

 大震災などにおいて、大規模盛土造成地の滑動崩落被害を軽減するため、変動の予測調査を行い、さらに耐震性を向上させる滑動崩落防止対策を推進する事業であるとのことでした。

 

  次に、(2) 2点目は、宅地耐震化推進事業のうち、大規模盛土造成地の変動予測調査などを行う「大規模盛土造成地調査事業の内容について」です。

 阪神・淡路大震災東日本大震災などにおいて、谷や沢を埋めた造成宅地または傾斜地盤上に腹付けした大規模造成宅地において、盛土と地山との境界面や盛土内部を滑り面とする盛土の地滑り的変動いわゆる滑動崩落が発生して造成宅地における崖崩れや土砂流出の被害が発生しました。
 東日本大震災で滑動崩落の被害を受けた宅地の多くは、1970年代以前に造成されたもので、宅地造成等規制法等の改正により技術基準を強化した2006年以降に造成された宅地では、滑動崩落の被害は発生していないことが分かりました。

 そのため、全国において、既存の造成宅地が大規模盛土造成地に該当するのか。また、大規模盛土造成地であった場合は、安全性確認のための地盤の変動予測調査を早急に進める必要が生じたことで、宅地耐震化推進事業の一つである大規模盛土造成地調査が始まったとのことでした。

 本市においても、その流れに沿って大規模盛土造成地調査が動き出しているとのことですので、その内容などについて質問をしてまいります。
 まず1つ目として、大規模盛土造成地の定義について伺います。

【答弁】都市建設部長 大規模盛土造成地の定義につきましては、「大規模盛土造成地の滑動崩落対策推進ガイドライン」によりますと、盛土造成地のうち、谷や沢を埋めた盛土の面積が3,000㎡以上のもの、又は、傾斜地への盛土において、盛土前の傾斜面の角度が20度以上、かつ、盛土の高さが5m以上であるものが大規模盛土造成地と定義されており、それぞれ「谷埋め型大規模盛土造成地」と「腹付け型大規模盛土造成地」とに分類されております。  

 それでは2つ目として、大規模盛土造成地調査事業の具体的な内容について伺います。

【答弁】都市建設部長 事業の内容につきましては、大きく2つの段階がありますが、一つ目は、新旧の地形図等の比較により、宅地造成前後の標高の違いから大規模盛土造成地を抽出し、マップの作成、公表を行う「第一次スクリーニング」と、二つ目は、地盤調査を実施し、その結果をもとに造成地の安定計算を行い、大規模盛土造成地の安全性を確認する「第二次スクリーニング」において抽出された、すべての大規模盛土造成地を対象に造成年代調査と現地調査を実施し、第二次スクリーニングの必要性や優先度を評価する「第二次スクリーニング計画」を作成した後に、第二次スクリーニングに着手することとなっております。   

 新旧地形図で比較し、抽出した大規模盛土造成地については、今後、造成した年代の調査や現地調査を実施していくとのことですが、福島県内でも、南相馬市広野町のように、全く盛土造成地がない自治体もあり、また、調査を実施していない自治体もあると聞いております。

 それでは3つ目として、全国における調査の実施状況について伺います。

【答弁】都市建設部長 全国の状況につきましては、令和元年度末ではありますが、全国の1,741すべての市町村において、大規模盛土造成地マップの公表が行われており、そのうち1,003の市区町村で合計5万1,306箇所の大規模盛土造成地の存在が明らかになっております。また、第二次スクリーニング計画の作成に向けた造成年代調査につきましては、499の市町村が実施済みであり、現地調査につきましては、339の市町村が着手しているところであります。  

 47都道府県の1,003箇所、 市区町村において、51,306箇所、存在することが明らかになったとのことでした。

 それでは4つ目として、本市の取組みである、いわき市大規模盛土造成地マップについて伺います。

【答弁】都市建設部長 いわき市大規模盛土造成地マップにつきましては、住民の宅地被害に対する関心を高め、大規模盛土造成地の早期の変状把握、対応等により被害の防止軽減につなげるものとして、第一次スクリーニングにより抽出された、「谷埋め型大規模盛土造成地」585箇所、「腹付け型大規模盛土造成地」23箇所の計608箇所の大規模盛土造成地について、その位置を示したものであります。なお、当該マップに示された大規模盛土造成地は、直ちに危険性のある造成地を示したものではなく、さらには、造成工事や建築行為を制限するものではないとの説明も踏まえまして、本年3月5日に、市のホームページ等により、公表したところであります。   

 本市の盛土造成地の中には、ゴルフ場や墓地そして公園なども含まれており、ただ今の答弁で、この大規模盛土造成地マップが直ちに危険性を持つ盛土造成地を示したものではないとの説明でしたが、マップを公表することにより市内の盛土造成地の存在を知ることができますので、住民の皆様に対して、調査事業の趣旨を正しく理解していただき、過度の不安や誤解が生じないような対応も進めてほしいと思います。

 滑動崩落による宅地被害についての関心を高めるとともに、早期の宅地変動の把握や早期対応によって被害の防止や軽減につながる本事業のさらなる推進をお願いいたします。

 次に5つ目として、本市における今後の調査スケジュールについて伺います。

【答弁】市長 今後の調査スケジュールにつきましては、今年度と来年度の2か年において、市内における全608箇所の大規模盛土造成地について、造成年代調査及び現地調査を行い、これらの結果を踏まえ、第二次スクリーニングの優先度評価等を行ったうえで、「第二次スクリーニング計画」を作成することとしております。その後令和4年度以降につきましては、当該計画に基づき、優先度が高く、安定計算が必要と判断された大規模盛土造成地を対象に、地盤調査などの第二次スクリーニングを実施することとしております。  

 スケジュールに沿って調査事業を進めていく中で、大規模盛土造成地の危険性を把握した場合、本市としてはどのような対策をとることになるのか、

 6つ目として、調査後の対応の見通しについて伺います。

【答弁】市長 本事業による調査の結果、滑動崩落の恐れが大きいと確認された大規模盛土造成地につきましては、宅地造成等規制法に基づく「造成宅地防災区域」の指定を行ったうえで、滑動崩落の予防対策に取り組むこととなりますが、その際、必要とする予防対策やスケジュール等を検討し、該当する地区の住民の皆様に対しまして、調査結果とともに防災区域の指定範囲や予防対策の内容など、十分な説明を行い、ご理解とご協力をいただきながら、対応していく考えであります。   

 今回の大規模盛土造成地調査事業を実施し、滑動崩落の恐れがあると判断された場合、その宅地に住む皆様にどのように寄り添って対応していくのかが非常に重要だと思います。

 宅地耐震化推進事業には、現地調査そしてボーリング調査などを経て、最終的には滑動崩落防止工事の実施といった該当地域に直接手を加えることもできるようです。

 本市も、しっかりと国や県と連携を取りながら、ぜひともその目的に沿って、該当する地域の住民の皆様が、安全に日々の暮らしを送ることができるよう、さらなる事業の推進を要望して、次に移ります。

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 3.農産品地産地消及び産地形成の取組みについて 

 大きな質問の3番目は、「農産品地産地消及び産地形成の取組みについて」であります。

 地産地消という言葉は、「地域生産・地域消費」の略語で、1981年から4年間で農林水産省が実施した「地域内食生活向上対策事業」の中で使われたのが始まりと言われ、当時の農村の食事が日本の伝統的なコメとみそ汁と漬物というパターンだったために、塩分の取り過ぎによる高血圧症状が多くみられ、死亡原因の1位であった脳卒中を減らすことや伝統食の欠点を改善することを目的として進められました。

 そのような中、農村では他地区から不足な栄養素を含む農産物を買い求めることは家計的に難しかったことから、地元でそのような農産物を作ろうということで「地産地消」という言葉が使われたそうです。

 本市でも、特に東日本大震災後、いわき市農産品の風評被害払しょくのために「地産地消」の推進について、いろいろな場面で、よく目にし、耳にいたしました。

 今回はさらに、農業関連の団体などと連携して地産地消の推進を進めるということですので、その内容について質問をしてまいります。

 

(1)1点目は、「農産品地産地消の取組みについて」です。

 「地産地消」という言葉は、「新・いわき市総合計画 ふるさと・いわき21プラン改定後期基本計画」の中で、「原発事故による風評被害や担い手不足など、厳しい状況に置かれていますが、気候風土面でのポテンシャルは高いので、地産地消を足掛かりに、攻めの農林水産業を目指します。」と書かれています。

 このことから、私は、地域の農業振興やまちおこしなどを主導する基本理念にも通じ、東日本大震災及び原発事故からの復興を進める際にも、本市の農林水産業のキーワードである「地産地消」の取組みが大きな役割を果たしているものと考えています。

 そこで1つ目として、本市の地産地消の目的について伺います。

【答弁】農林水産部長 地産地消の目的につきましては、地域で生産された農産物を地域で消費しようとする活動を通じて、生産者と消費者の顔の見える関係の構築や信頼関係の醸成により、互いの結びつきの強化が図られるとともに、相互の交流を通じた地域農産物の食の体験や地域の伝統的な食文化の体験など、食育についてもその機会が拡大するものであります。また、経済的には、農村で生み出された経済的な価値を地域内で循環させることにより、地域内経済の循環の推進につながるものであり、大規模な生産者ばかりでなく、小規模な生産者も創意工夫による所得機会を創出することで、農業者の所得の向上にも貢献する取組みであると考えております。  

 本市は市域が広いことにより、北部から南部そして沿岸部から中山間地と、多様な気候風土を持っており、いわき産農産物の生産パフォーマンスはかなりのものがあると考えます。

 本市は、東日本大震災以前から、多くの地元産農産品が流通ラインに乗って、市内に住む多くの消費者の皆様のもとに届いていると実感をしていましたが、2011年に起こった東日本大震災そして原発事故による放射性物質の被害はもとより、その後の風評被害によって、地産地消の推進に暗い影を落としました。

 全くゼロに近い状態からこれまでの間、地産地消の復活そしてさらなる推進のため、関係者の皆さんの大変なご努力があって、今に至っているものと思います。

 そこで2つ目として、東日本大震災後からこれまでの取組みについて伺います。

【答弁】農林水産部長 東日本大震災以降の取組みといたしましては、原発事故からの消費者の不安を解消するため、「見せます!いわき」をコンセプトとした「いわき見える化プロジェクト」を展開し、放射性物質の検証結果や生産者の取組みや思いなどの情報を広く市内外に発信してきたところであります。また、いわき産野菜の生産・販売・調理に関するデータベースである「いわき野菜Navi」の開設や、いわき産農産物のファン層拡大を図る「いわき野菜アンバサダー」制度の創設などにより、特に、地元消費者を強く意識した取組みを進めながら、いわき産農産物を食する機会の創出などにも努めてきたところであります。 

 テレビコマーシャルを使った取組みの周知やポータルサイトよる地元産食材を使った料理レシピの紹介など、風評被害の払しょくや消費者の信頼回復に焦点を当てた「いわき見える化プロジェクト」により、全国的に「ありのままの姿を見ることができた」などの評価を得たと聞いています。

 さらに今回は、地産地消推進の取組みを新たに行うとのことですので、その内容について質問いたします。

 

(2) 2点目は、「地産地消の推進について」です。

 地元で生産された農産品を地元で消費する利点は、旬な農産品が随時新鮮なうちに食べられること。鮮度が良いことで栄養価が高いこと。輸送に係るエネルギーを減らすことができることなどがあげられます。さらに、地元経済の活性化とともに地域への愛着が深まり、地域の伝統的な食文化の維持継承にもつながっていくと考えられます。

 そこで1つ目として、本市の地産地消の進め方の方針について伺います。

【答弁】農林水産部長 地産地消の推進に向けましては、食や農業に関する情報を広く発信し、本市農業に対する市民の理解を深めるとともに、いわき産農産物を積極的かつ継続的に選択いただけるよう、幅広い主体による一体的な取組みが重要であると考えておりますことから、これまで、県及びJA等関係機関・団体との緊密な連携のもと、消費者の多様なニーズに対応した新鮮で安全・安心な農産物の生産、供給に努めてきたところであり、今後もこうした進め方を基本としながら、地産地消に向けた様々な取組みを推進してまいりたいと考えております。   

 いわき産農産品の魅力を発信するためには、市内のスーパーなどで、常に地元の農産品が販売されていることが望まれます。生産者としては、生産量や生産品目の調整などの管理体制が整わないと供給過剰なども考えられ、スーパーなどの小売店経営の皆様のご協力も必要と考えますが、

 2つ目として、市内流通促進のための地産地消推進について伺います。

【答弁】農林水産部長 いわき産農産物の流通を促進するには、市内の量販店や飲食店との連携を図りながら、いわき産農産物の魅力を広く発信し、それを消費の拡大につなげていくことが重要であると考えております。このため、市内量販店におきまして、いわき産コシヒカリの魅力を伝えるのため、「いわきライキ ライブキッチン」を開催するとともに、トマトフェス、いちごフェス、梨・いちご祭りなどの各種イベントを開催し、本市のブランド作目を中心とした農産物のPRに努めてきたところであります。また、市内飲食店におきましては、消費者がいわき産農産物に触れる機会を創出するため、「いわきベジめしウォーク」を開催し、いわき産農産物を活用した新たなメニューの開発や提供を行うなどの取組みも進めてきたところであります。  

 次に、小・中学生などに対する地元産農産物の周知や利用促進を目的とした取組みも実施するとのことですが、

 3つ目として、食農教育を通した地産地消推進について伺います。

【答弁】農林水産部長 本市では、食農教育の一環として小中学生を対象に、いわき産農産物を活用した料理教室の開催や地元生産者との交流を通じて、地域の農業への理解を深めるとともに、昔から伝わる野菜の栽培や調理方法等を学習する伝統野菜教室等の開催により、食文化の継承や郷土愛の醸成にも努めているところであります。また、いわき産農産物が身近に感じられるよう、保育所や学校給食における幼少期からの食育と併せて、いわき産農産物を利用した、新鮮でおいしい食材の提供を行っているところであります。具体的には、市直営の公立保育所の給食では、数量がそろわない等の理由から、品質には問題がないにもかかわらず流通ルートに乗りづらい未利用品を、毎月19日の食育の日を中心に、可能な限り使用する取組みを進めております。また、学校給食においては、米飯にいわき産米を使用しているほか、JA等関係機関や民間事業者とも連携し、旬のいわき産農産物を積極的に献立に取り入れる等の取組みを推進するとともに、魚食の普及・推進を図るため、「常磐もの」の提供拡大を図るなど、地場産品の利用促進に努めているところであります。 

 地元産の農産品を手軽に、そして手頃な価格で購入するには、農産物直売所は大変ありがたい存在で、私も時折利用しています。販売している農産品は新鮮なものの、直売所は思いのほか簡易な建物もあって、少し残念な気持ちになることもあります。

 今回の取組みでは、そのような点の改善にも支援策があるとのことですが、

 4つ目として、農産物直売所などへの施策について伺います。

【答弁】農林水産部長 農産物直売所につきましては、いわき産農産物の市内流通を促進し、地産地消を推進していくうえで、重要な役割を担うとともに、消費者にとって新鮮な地元農産物等の魅力ある購入先であり、生産者の顔が見える農産物を安心して選ぶことができる拠点として、農産物のおいしさや農業の魅力などを発信するアンテナショップとしての役割も担っていると認識しております。本市におきましては、こうした農産物直売所の役割を踏まえ、その拡充・強化を図るため、本市独自の第四期新農業生産振興プランに基づき、直売所のステップアップに向けた、施設・設備導入等に対する支援や、直売所や関係団体等が行うPRイベントや先進事例研究に対する支援、また風評被害対策として、接客研修や効果的な手書きPOPの作り方講座を開催するなど、農産物直売所の魅力向上のための取組みに対する支援をハード・ソフト両面から行っているところであります。

 これらの取組みを通じて、地元の農家が作った農産品を、生産者の顔が見える形で、食することは、生まれ育った地域への愛着や地元の生産者への感謝の心を育てることにもなり、地産地消がもたらす教育的な効果も膨らんでいくものと考えます。

 そこで5つ目として、さらなる地産地消推進への今後の取組みなどについて伺います。

【答弁】市長 地産地消の取組みにつきましては、市内の流通促進や食農教育の推進、農産物直売所への支援などを通じ、本市産農産物の魅力を発信し、消費拡大につなげる取り組みを継続してきたところであり、昨年は戦略的なプロモーションを図るためのツールとして、「自然の恵み、人の愛、新時代の芽ぐみ」を象徴する「いわきのめぐみ」のロゴを作成したところです。今年度につきましては、地産地消のさらなる推進を図る観点から、「市魚食の推進に関する条例」の制定を機に、学校給食において、「常磐もの」の魚の提供機会を拡大したほか、今後は、保育所における規格外の地場産品の活用事業を月1回から2回に拡大することや、市内量販店において、新たに、いわき産農産物の棚づくりを強化する事業などにも取り組むこととしております。これらの事業の展開により、本市産農産物の魅力を実感する機会を創出し、消費者の「いわき愛」の醸成にも努めてまいりたいと考えております。 

 今後の取組みに、大いに期待をするところですので、長期的なスパンのなかでの継続した取組みを要望いたします。

 

  次に、(3) 3点目は、「産地形成の取組みについて」です。

 先日、以前に開かれた農業関係会議の資料に目を通す機会がありました。資料の中には、「日本はどこの農村であってもそれぞれに特有の立地特性に恵まれ、平坦な水田から中山間の棚田まで多様な立地条件に富んでいる状況にあることが示されていました。たとえば、中山間地域では、標高差などの他の地域にはない条件を生かし、多種多様な野菜やキノコの年間供給体制を作り上げているといったものです。

 また、それぞれの立地条件を生かして多様な個性に富んだ農産品の生産そして販売を行うかが問われており、これからの時代ますます生かさなければならない」とも書かれていました。まさに、本市における産地形成モデル事業は、この考えに近いものではないかとあらためて関心を持ったところです。

 そこで1つ目として、本市の産地形成事業実施の目的について伺います。

【答弁】農林水産部長 本市の中山間地域につきましては、人口の減少と高齢化が加速しており、耕作放棄地が年々増加傾向にある中で、現在、担い手不足に加え、生産者同士の連携も比較的希薄で多品種少量生産の傾向があるため、稼げる農業の実現のためには、品質の均一化された、まとまった量の作物を安定して供給することを目指す必要があります。中山間地域産地形成モデル事業では、地域の冷涼な気象条件を生かし、労働生産性や収益が高く、地域に適した栽培品目の選定ゃ営農技術指導を行うとともに、市場調査や評価検証を実施することにより、産地化を見据えた、消費者ニーズに即した系統出荷を推進していくことを目的として実施するものであり、中山間地域の農業振興・産地形成の足掛かりとなるものと考えております。   

 地域に適した営農技術指導を行うことや市場調査や評価検証を実施するなど、専門的なアドバイスを受けることができることは、生産者のやる気を引き出すだけではなく、消費者ニーズに合った販売の裏付けにもつながるので大いに効果が期待できるものと思います。

 2つ目として、今年度の事業スケジュールなどその概要を伺います。

【答弁】農林水産部長 本事業につきましては、三和・川前地区において、本市や近隣市町村の流通体制も考慮しながら、中山間地域特有の夏場でも冷涼な気候を生かし、かつ、高収益が期待できるピーマン、夏秋ねぎと、地域の伝統野菜で新たな加工製造の可能性のある小白井きゅうりの3品目について試験栽培を実施しているところであります。ピーマン、夏秋ねぎにつきましては、現在、栽培履歴の集積を図るとともに、栽培技術の確立や統一化に向け、JAさくらいわき地区本部やいわき農林事務所と連携を図りながら、夏場の出荷に向け指導をいただいているところであり、併せて、系統出荷を見据えた消費動向の調査・検証や流通拡大の条件等の分析を行う市場調査を実施しているところであります。今後におきましては、これら試験栽培及び市場調査の結果に基づく評価・検証を行い、中山間地域における適地作物の継続的な営農指導、および新規栽培者の確保を目的とした生産啓発活動を行い、生産拡大に取り組むとともに、将来的には他の作物と組み合わせた年間営農モデルを確立してまいりたいと考えております。  

 事業サイクルを見ますと、技術指導を受けてから、中核農家の育成や生産者組織化などある程度の時間を要するとのことでした。

 自然環境が大きく変化している中で、自然災害のリスクに対しても、手厚い支援などが必要だと思いますので、そのようなことも踏まえ、

 3つ目として、評価検証の内容について伺います。

【答弁】農林水産部長 評価検証を実施するにあたり、1つ目として、試験栽培において営農技術指導や栽培過程の記録により生育条件について確認し、データ集約を行い、JA福島さくらやいわき農林事務所から、専門的な視点により意見をいただくこととしております。また、2つ目として、市場調査において市内在住消費者や流通事業者、料理人を対象とした試食やヒアリングによる需要調査を実施し、これら2つのデータに基づき、JA福島さくらやいわき農林事務所などから組織する評価委員会において、本事業における適地作物を踏まえ、中山間地域における産地形成に向けた必要な条件や実施手法について検討してまいります。

 実証ほ場における試験栽培などのモデル事業が大きな成果を得た場合、農産品の競合をなるべく防ぎながら、生産地区を広げることや生産品を拡大するなど、本市の産地形成事業をさらに積極的に推し進めるべきと考えますが、

 4つ目として、事業継続への本市の考え方について伺います。

【答弁】農林水産部長 本事業につきましては、今年度は北部中山間地域における営農モデルの確立と適地作物の確定を目的に実施しているところであり、次年度以降につきましては、今年度の事業成果を踏まえ、当地域における適地作物の生産拡大と品質向上を目指し、中核農家の育成や栽培農家の拡大を図ってまいりたいと考えております。また、適地作物が当地域の新たなブランド作物となるよう、販路開拓や情報発信の手法を検討するなど、効率的な集荷・流通モデルの構築を図りながら、他の中山間地域へ波及されるよう、今後の事業展開について検討してまいりたいと考えております。

 専門家などは、以前から、「これまでの多くの農家は、水田農業に目を向けたがるが、コメや麦や大豆にばかり関心を持つのではなく、コメよりも収益性の高い農作物は数多く存在し、さらに加工などを加えれば、儲かる作物は各地区にいくらでもある。そのことに目をつけるべきである」と言っています。

 しかし、それがわかっていても、誰からのサポートもなければ、そこに踏み出す勇気が持てないことは、農家である私には十分理解できます。
 市内農家の皆さんにとって、今回の中山間地域産地形成モデル事業が、本市農業の将来に向かう新たな起爆剤となることを大いに期待します。

 さらに今後は、農業生産者そして行政とJAなど農業関係機関が密接に連携しながら「力強いいわきの農業」の維持そしてさらなる進展を願いまして、

 

 私の質問を終わります。

 ご清聴ありがとうございました。