2月定例会に登壇しました。 質問の全文を掲載します。


 
本年はいわき市が誕生してからちょうど50年の節目の年となります。
私たちのふるさと「いわき市」に生きた多くの先人達は、
英知と勇気と情熱で「わかいまち いわき」を、数々の困難を乗り越えながら、
市民が幸せを実感できる「あふれるのぞみ いわき」の構築をめざし、
日々地道な努力を重ね、また「ほほえむみのり いわき」のために、
自然災害や多くの課題に立ち向かいながら、
今日の「いわき市」を築き上げてこられました。

これまでのご労苦に対し、心より敬意と感謝の気持ちを表しまして、
通告順に従い、市政一般について質問をさせていただきます。

1 市制施行50年の検証について
                        
 大きな質問の1番目は、市制施行50年の検証についてです。
さかのぼること50有余年前、いわき市誕生を目指し合併を進めることとなった背景については、文献などによれば、昭和30年代、常磐炭鉱衰退の深刻化に伴う社会的・経済的停滞の懸念を払拭する対応策として、新産業都市建設促進法に基づく「新産業都市」指定獲得が合併推進の大きな目的であり、そのために14市町村が大同合併して新産業都市建設を約束したことで、昭和39年に、「新産業都市」指定を受けることとなりました。
 その流れのもと、昭和41年10月1日に5市4町5村合わせて14市町村が合併し、当時1,231.13平方キロメートルを有する日本一広い市として、「いわき市」が誕生したとのことです。
合併により、都市化に伴って従来の行政単位では処理しきれない行政領域が増えることへの対応や,共同処理による事務の効率化を狙いとする広域行政を、「いわき」は1市で1地域を構成する市となりました。このことは当時、先進的な合併のモデルであったと思います。そして、その時々の社会情勢の変化を捉えながら今日まで、行政機能機構の効率化という観点から、行政機能機構集約の方向へ進んできたものと認識をするところです。

 支所をはじめとする出先機関については、平成18年10月の「市行政機構改革実施方針」で「情報化の進展や公民館の機能拡充を踏まえ、中核市にふさわしい自主・自立のまちづくりをめざし、市全体のサービス提供体制の均衡や効率化を図る観点から、支所等の統廃合も含めた適正配置等について、幅広い市民の合意形成に努めながら、来年度以降できるだけ早い時期に結論を出す方向で検討する」との方針を示し、その結果「市出先機関再編市民委員会」を設置しパブリックコメントを実施しながら、平成20年11月「いわき市出先機関再編に関する基本方針」を公表。その後、地区ごとに市民の皆様との議論を尽くしながら、平成21年3月「いわき市出先機関再編計画」をまとめ、平成22年4月に再編を実施したとのことであります。
 しかしながら、広域合併都市の宿命として、住民意識を含め支所単位とした旧市町村ごとの枠組みは、50年を経過した今でも色濃く残っているところであり、コンパクトシティを標榜し、行政機能機構の効率的集約化へ向かう流れと、地域住民に対して一番身近に寄り添っている支所などの出先機関を旧市町村単位の拠点施設として維持させながら、行政サービス向上を目指してほしいと願う地域住民の思いについて、どのように整合をとっていく考えなのか。
 また、再編計画の策定後に起きた東日本大震災発災などに伴う、生活環境の変化なども考慮しながら、現在の本市の考えについて質問をいたします。 

(1)1点目の質問は、「合併から現在までの支所の変遷について」です。
 まず1つ目、基本的な質問として、
ア.昭和41年合併当初、支所の体制をどのように設定したのか伺います。
【答弁】1
本市の発足時におきましては、合併前の市町村ごと14支所を設置していたところであります。

当然ですが、旧市町村単位とのことであれば、支所の数は14となります。

それでは、再質問をさせていただきますが、
発足時に、旧市町村との間に、旧役場などを支所として残すなどの約束・取り決めはありましたか

【再答弁】
合併紀綱の中で、旧市役所・町村役場については、支所として旧市町村役場の所在地にするとなっております。
 
                               
それでは、2つ目として、
イ.支所の統廃合については、これまでどのような経緯となっているのか伺います。
【答弁】2
支所の統廃合につきましては、昭和44年4月1日に久ノ浜支所と大久支所を統合し、久ノ浜・大久支所を設置したほか、昭和48年4月末に平支所を廃止し、現在の12支所体制としたところであります。
                                   
 このような事を踏まえ、
(2) 2点目の質問は、「行政サービス機能の維持について」です。
 まず、本市の出先機関のサービスとして、1つ目、
ア.支所以外に、地域において窓口サービスを提供する出先機関には、どのようなものがあるのか伺います。
答弁】3
窓口サービスを提供する支所以外の出先機関といたしましては、戸籍や住民基本台帳にかかる受付・交付や、国民年金国民健康保険被保険者の資格得喪に関する事務などを所掌する市民サービスセンターを5か所に設置しているほか、戸籍の証明や住民票の写しにかかる受付・交付に関する事務などを所掌する窓口コーナーを公民館に併設する形で、4か所に設置しているところであります。また、税に関する事務を専門に所掌する機関として、税務事務所を5か所に設置しているほか、保健・福祉に関する専門的・総合的なサービスを提供する機関として、地区保健福祉センターを7か所に設置しているところであります。
                                   
 特定のサービスを提供する出先機関も設置されていますが、やはり地域における行政サービス提供の中心は、支所となっています。
そこで2つ目として、
イ.広域(こういき)都市(とし)「いわき」において、支所の機能・役割はどのようなものか伺います。
【答弁】4
支所におきましては、市民生活に不可欠な届出の受理や証明書の交付関係事務、ごみ処理や清掃といった生活衛生関係事務などを実施する市民窓口機能、道路などの公共施設の整備及び維持管理などの事務事業を地域単位で実施する事務執行機能、さらには、地域の主体的なまちづくりを支援するまちづくり活動支援機能という基本的な3つの機能の他、災害などの非常時への対応を地域単位で実施する災害対策機能が重要であると考えております。このことを踏まえ、小名浜、勿来、常磐及び四倉の4支所は、市民窓口機能、事務執行機能及びまちづくり活動支援機能の3つの機能全てと災害対策機能を有し、地域行政の拠点としての役割に加え、広域的に執行することが効率的・効果的な事務事業を所管し、総合的な行政サービスを提供する役割を担う基幹的な支所と位置付けし、他の8か所は、市民窓口機能、まちづくり活動支援機能及び災害対策機能を有し、基本的なサービスを提供する地域行政の拠点としての役割を担う支所と位置付けしているところであります。

                                    
 現在、旧市町村を単位に本庁及び12の支所が設置されており、平成22年に実施した出先機関の再編計画で、小名浜、勿来、常磐、四倉の4支所が基幹的支所として、また内郷、遠野、小川、好間、三和、田人、川前、久之浜・大久の8か所が支所と区分されています。
 最近、「平成の大合併」を契機として、都市内分権や地域内分権という言葉をよく耳にします。地域内分権のメリットは、地域に応じたサービスや施策を重点的に実施することが可能なことであり、たとえば保健福祉サービス、農林水産振興、伝統文化の継承・保存などを、独自の責任と裁量により運営できることです。地方分権一括法の施行以来、地方分権が「中央から地方へ」という分権の流れと同時に、「行政から市民へ」の流れを求めていますが、これについて小規模自治体においては、身近に市民・NPO・市民団体などを巻き込んでの活動も可能ですが、本市は、単一自治体としては広域であるため、本庁主導の体制においては、市民から遠い存在で、意識の共有が難しく行政運営への参加は大変困難なものになると考えます。
 そのようなことを踏まえ、合併都市の地域内分権についての考え方についてですが、本来の地方自治に求められる住民自治の機能について、本市は、旧市町村の生活範囲である支所単位または隣接支所を連携して機能させる「ゾーン」的発想で自治推進を目指すことが重要であり、地域内分権もさらに進むと私は思います。そこで3つ目として、
ウ.広域合併により誕生した本市において、支所に対する権限移譲いわゆる地域内分権が重要と考えますが、どのように認識しているのか伺います。
【答弁】5
支所は市民の皆様に最も身近な行政機関であることから、地域の課題や市民ニーズを的確にとらえ、迅速に事業に反映していくという現場主義の視点に立って、より良いサービスを提供していくことが重要であるとの認識の下、これまで、支所長などが決定できる上限額の引き上げや本庁から支所への権限移譲を実施してきたところであります。今後におきましても、地域振興の推進や、利用者の利便性の向上をはじめとした様々な観点から、支所の権限のあり方について調査・研究してまいりたいと考えております。

                                   
 市町村合併の先駆けである「昭和の大合併」を経験している「いわき市」は、全国から注目されてきたものと思います。しかしながら、行政機構の管理体制の部分においては、さらに検討を進めなければならないところもあるものと感じます。
                   
(3) 3点目の質問は、「本庁機能の明確化について」です。
 いわき市は、合併以来、平地区に市役所本庁機能があります。また、その一方で平支所的機能も担っており、業務区分が見えにくいと感じます。他市の状況を見ますと、身近な住民サービスを提供する機能と、全市的な本部機能を別な場所に置く自治体も見られる一方、本庁内に支所部門を区別して配置しているところもあるようです。
 本市本庁職員の業務区分について考えますと、住民サービスや仕事の効率面において、はっきりと区別した方が、より効果を発揮できると考えますので、1つ目として、
ア. 本庁機関の職員については、支所業務の統括業務や全市的に対応する業務のほか、平地区に係る業務も実施していますが、適正な業務執行に支障はないのか伺います。
【答弁】6
本庁機関の中には、全市的な事業の企画・立案、各支所で実施する業務の統括に加え、平地区を対象とした行政サービスの提供といった、様々な性質の事務・事業を担っている部署もありますが、幅広い分野にわたる行政サービスの提供を所掌する支所に対して、本庁機関においては、事務・執行の関連性を勘案し、所掌する範囲を限定した組織とすることにより、専門性及び効率性を確保しながら、業務を執行している処であります。
また、平地区における行政サービスの提供を通して、現場の状況などを直接把握することにより、それらを事業の企画・立案に生かすなど、効率的・効果的に業務を執行しているところであります。
                                   
 それでは、別の切り口で、本庁内における危機管理の視点から見ますと、現状、平地区の支所機能を区別していないことから、市民が庁内を広範囲で行き来することについても不安な部分があります。
普段から本庁舎には、多くの来庁者がありますが、2つ目として、
イ.来庁者を特定のフロアに限定させることにより、庁舎管理の安全性を高めることについてどのように考えているのか伺います。
【答弁】7
本庁舎のフロア配置につきましては、市民課や平地区保健福祉センターなど、多くの市民の皆様が利用する窓口を有する部署を1階に配置するほか、税証明の受付・交付を市民課の窓口で行うなど、市民の皆様の移動負担を軽減することにより、利便性の向上や安全性の確保に努めているところであります。
一方で、市民の皆様に密着したサービスの提供が求められる基礎自治体として、複雑・多様化する市民ニーズに対し、各部署が迅速かつ的確に対処するためには、特定の管理区域を除き、市民の皆様の立ち入りを制限することは、市民サービスの面から、難しいものと考えております。

                                  
 行政サービスを受けるべき地域の皆様が、本庁内1階から7階まで、目的の部署間を自らが広範囲に動くのではなく、例えば、他の支所のように、本庁1階など特定のフロアに平支所市民課窓口を設置し、地域の課題・要望について、市民相談担当や地域振興担当員等がワンストップで対応するようなシステムは構築できないか。市長が言うところの優秀な人材が直接窓口で市民の意見が聞けることにもなります。
 きめ細かな市民サービスの提供と市民の安全確保、より効率的な業務執行を考え、3つ目として、
ウ.平支所を本庁機能と区別して再設置することについて、どのように考えているのか伺います。
【答弁】8
平支所の設置につきましては、現在の支所が担っている機能のうち、まちづくり活動支援機能の配置によって、地域の実情を踏まえた、よりきめ細かい対応が期待できるなど、一定の効果が見込まれる面があるものと考えております。しかしながら、市民窓口機能及び事業執行機能につきましては、専門性を有する本庁機関が対応することにより、これまでも質の高いサービスを効率的に提供してきているところであります。
このようなことから、平地区を対象とした機能配置のあり方につきましては、引き続き、調査・研究して参りたいと考えております。

                                   
 これまでの質問については、多くの先輩議員の皆様方も折に触れ、当局の考えを質してこられました。前にも述べた行政機能機構の効率的集約化と市民サービス提供拠点である支所の充実という相反する難題について、その時々の背景により、様々な方向性が示されました。
 しかし、5年前に発生した東日本大震災によって本市として進むべき方向性に、変更などが生じたのか。

まとめとして、
(4) 4点目の質問は、「住民サービス提供の今後の方向性について」です。
 今日、市民の皆様の価値観や生活スタイルの多様化により、行政に対するニーズが複雑になっています。市内一律の行政サービスと限られた財源の中で、市民ニーズにきめ細かく的確に応えることは難しいものになりつつあると考えます。本市のような合併による広域都市構造においては、地域拠点を核とし、そこで生活する住民によって築きあげられた個性を尊重しながら、地域力を一層強化することが必須であります。
 そこで、まとめとして支所機能のさらなる重要性について質問をいたします。
1つ目として、
ア.市民生活に密着したサービスを提供する機関として、支所機能の充実を図る必要があると考えますが、どのように認識しているか伺います。
【答弁】9 
広域である本市におきましては、地域に密着し、市民に身近な場所でサービスを提供している支所の果たす役割は、重要なものであると考えております。今後におきましても、少子高齢化の進行など、社会経済情勢の変化を踏まえながら、それぞれの地域における市民ニーズに的確に対応していくことが必要であり、そのための支所機能を確保していくことが重要であると認識しております。
 
                                  
 人口減少社会の進行とともに、市内の地域格差も進んでしまう恐れがあります。同時に、人口減少の進行によって従来通りのサービス提供機能配置が効率性の面で維持できるのかという懸念もあります。その不安を払拭するために、リアルタイムで住民の声を行政に届ける仕組みや、一定の裁量により地域で決定できるシステムの構築を進め、地域内分権を形成していくことは非常に重要であると考えます。そこで、2つ目として、
イ.きめ細かなサービス機能の配置が求められる一方で、人口減少に対応した支所配置のあり方について、どのように考えているか伺います。
【答弁】10
支所につきましては、市民の皆様に最も身近な地域行政の拠点として、市民生活に密着したサービスの提供を行ってきており、今後の少子高齢化の進行などに伴い、こうしたきめ細かなサービス提供機能の重要性は、より高まっていくものと考えております。
その一方で、今後、人口減少の進行が予測される中、地域における市民の皆様の利便性を確保するためには、効率的にサービスを提供できる持続可能な機能配置が求められるほか、複数の機能の複合化も視野に入れた施設のあり方についても、課題になるものと考えられます。
したがいまして、今後の支所配置のあり方につきましては、このような様々な考え方を十分に踏まえながら、調査・研究して参りたいと考えております。
           
      
 いわき市誕生から10年後、昭和51年3月定例会のやり取りで、行政機構改革のなかの「支所制度と支所機能ブロック制採用」についての質問が行われておりました。「抜本的改革の必要性を今後に要請しながら、現実的もろもろの要素を考慮し、漸進的な改善にとどめざるを得ない。」また、「支所制度と支所機能ブロック制の採用等については、時期尚早として見送る。」が当時の見解でした。
 また、いわき市誕生から32年後の平成10年には、当時、市議会議員であった清水市長が、支所の老朽化などにスポットを当てながら、「全庁的な支所機能を見直す時期ではないか」と市当局に質問されています。答弁は、「支所整備調査費を計上し、実態調査の結果を踏まえて、計画的に支所整備を進めたい。」と前向きでありました。
 今回、市制施行50年の区切りに、合併都市いわきの地域拠点である支所について、市民サービス機能配置の視点から検証をしたところです。さらなる行政機能機構充実への施策推進に期待をいたします。


                     
2 新・いわき市総合計画「ふるさと・いわき21プラン」について         
 
 大きな質問の2番目は、「新・いわき市総合計画「ふるさと・いわき21プラン」について」であります。
 先ほどの質問と関連いたしますが、本市は、50年前に14市町村が合併し誕生したまちであり、広域多核の都市構造を有しております。この広域多核性は、教育、福祉、環境、都市整備など様々な分野における施策を進めるうえでの大前提条件となっております。
 これまでの50年においても、広域多核のマイナス点をいかに小さくし、そのメリットをいかに引き出すかについて、多くの努力をしてこられ、また、これからのまちづくりを進めるうえでも避けては通れないものと、認識しております。
 今般、本市のまちづくりのマスタープランとなる新・いわき市総合計画「ふるさと・いわき21プラン」後期基本計画が改定されましたが、人口減少・少子高齢化が進行していくなかで、今後、本市の広域多核性を踏まえたまちづくりをどのように展開していくのか質問をいたします。

(1)1点目の質問は、「基本構想における本市の広域多核性について」です。
 「上位計画である基本構想において、広域多核性を踏まえたまちづくりをどのように進めることとしているのか」伺います。
【答弁】11
基本構想におきましては、まちづくりの市政として「生活者起点のまちづくり」、「将来世代に責任の持てるまちづくり」を掲げ、一人ひとりが豊かさを実感できるまちを作り、そして、誇りを持てる「いわき」を将来に伝えていくことが必要であるとしております。
そのうち、「生活者起点のまちづくり」におきましては、日々の生活を、まちづくりの軸にしっかりと置いていくという、生活者の立場に立ったまちづくりを進めるとともに、本市の持つ広域多核性をとらえて、海や山、温暖な気候、バランスの取れた産業に加え、いわきを愛する人など様々な恵まれた資源を生かしながら、住みよさを、さらに伸ばしていくことを目指しております。
そのためには、主人公である生活者の意志や行動が、まちづくりの大きな力になることから、「いわきに住む人が、いわきに住む人のために」の精神で、自らの意思に基づいて、協働してまちづくりを進めることにより、いわきの魅力をさらに高めていく必要があるものとしております。

                                  
(2)2点目の質問は、「基本構想に基づくこれまでの取り組みについて」です。「上位計画である基本構想の考え方に基づいて、これまで、主な取り組みとして、どのようなことを進めてきたのか」伺います。
【答弁】12
市といたしましては、これまで基本構想に基づき、地域特性を生かして、市街地の再生整備を図る観点から、都市計画マスタープランの地区別計画として、小名浜、勿来、常磐、内郷及び四倉の5地区において、地区まちづくり計画を策定してまいりました。
また、震災後にあっては、地域が持つ資源や環境を最大限に活用し、地域コミュニティの情勢や魅力の創出を図る観点から、被災した沿岸部の3地区において、復興グランドデザインを策定してきたところであり、いずれも、ワークショップを開催するなど、地区の皆様との協働により、策定を進めてきたものであります。
加えて、魅力ある地域づくりを実現するため、中山間地域も含めた計10地区において、地区の皆様が主体となって、地域づくり構想が策定されております。
地域づくり構想の策定に当たっては、市といたしましても、地域振興担当員を通し、企画・運営への参画を行うとともに、まち・未来創造支援事業などにより、経費の一部を助成するなど、地区の取り組みを幅広く支援してきたところであります。
今後も引き続き、基本構想に掲げる、目指していく「いわき」の姿の実現に向け、市民の皆様との協働により、魅力あふれる地域づくりに取り組んでまいりたいと考えております。
 
                                 
(3)3点目の質問は、「めざしていくいわきの姿の実現に向けてについて」です。
 今回の改定後期計画においては、基本構想に掲げる「めざしていくいわきの姿」の実現に向けて、「コンパクトとネットワーク」そして「活動人口を増やす」という考え方を打ち出しました。そこで1つ目として、
ア.「コンパクトとネットワーク」という考え方を打ち出した狙いについて伺います。
【答弁】13
「コンパクトとネットワーク」につきましては、市街地や中山間地域、沿岸域など、それぞれの地域が持つ特性を踏まえながら、行政や教育、医療、福祉、産業、防災など、様々な分野の機能を集約化・複合化することにより、暮らしの利便性を向上させるとともに、交通網・通信網のネットワークを整備することにより地域間の連携を強め、各地域が相互に機能を補完・分担しあいながら、まち全体としての拠点性・生産性が高まることで、人口減少が進行する中にあっても、持続可能で、かつ暮らしやすいまちづくりを目指してまいりたいと考えたものであります。
                                  
 それを踏まえ、2つ目として、
イ.「コンパクトとネットワーク」という考えのもと、想定されている取組はどのようなものか伺います。
【答弁】14
現時点で想定している取組といたしましては、日常生活に不可欠な機能を一定の範囲に集約する「小さな拠点」の形成を目指すほか、都市機能や住居機能を都市の中心部などに誘導し、再整備を図ってまいりたいと考えております。
加えて、これらの地域間を結ぶネットワークの構築を図りながら、周辺の市町村も含めた、連携の強化に取り組んでまいりたいと考えております。
                  
 次に、3つ目として、
ウ.「活動人口を増やす」という考え方を打ち出した狙いについて伺います。
【答弁】15
総人口が減少するにあたっても、様々な社会活動に参加する活動人口が増えていくことが、まちの活力の維持につながっていくものと考えておりますことから、何よりもまず、市民の皆様、一人ひとりに、いわきへの愛着と誇りを感じていただけるよう、行政や民間事業者、NPOなど地域団体が一体となって、気運の醸成や、地域にかかわる機会の創出に取り組むことをはじめ、様々な主体の連携を促進させる枠組み作りを進めてまいりたいと考えております。
加えて、本市の魅力を積極的に発信することにより、いわきに観光や合宿などで訪れる方々を呼び込みながら、交流人口も含めた活動人口の増加を、まちの活力の維持につなげてまいりたいと考えております。
                                  
 4つ目として、
エ.「活動人口を増やす」という考えのもと、想定されている取組はどのようなものか伺います。
【答弁】16
現時点で想定している取組といたしましては、共創・共有に向けて、市民や企業、大学、行政など、それぞれの主体が果たしていく役割を定め、社会全体で共有していく公民連携の枠組みづくりを進めるほか、地域づくりなど様々な社会活動を始めるきっかけづくりにつなげるため、事例集の作成などにより、市内で活動する様々な団体の情報を広くお知らせしてまいりたいと考えております。

                                   
(4)4点目の質問は、「広域多核都市いわきのまちづくりについて」です。
 これまで述べてきたように、わたしたちのふるさと「いわき」は、広域多核の都市構造を有し、各地域の特性に応じたそれぞれの地域にあったまちづくりを進めなければなりません。市街地においては、人口減少や少子高齢化が進む中、無秩序な拡散を抑制し、機能集約を図る必要があります。
また、中山間地や津波被害を受けた沿岸地域は、「地域の核となる身近な拠点づくり」を積極的に推し進め、元気になることが大変重要です。
 住民サービス拠点、住民の見守り・目配り拠点、地域内交流拠点など、地域においての生きがいを高め、市内それぞれの地域で暮らす「魅力ある拠点づくり」を地域と行政が一緒になって構築していかなければならないと思います。

 いわきのコンパクトについては、それぞれの地域のコミュニティが維持できるような拠点づくりの整備。ネットワークについては、隣接コミュニティなど拠点ゾーン間ネットワークをどのように構築していくのか。公共交通ネットワークとともに、本市の重要課題である中山間地などの未整備地域における通信ネットワーク環境の整備についても、いかに早くいわき市内を一律「光回線」レベルにしていくのかなど、本市独自の課題も見えてくると思います。
 そこで、「人口減少・少子高齢化が急速に進む中において、震災からの復興を進めながら、いわきの宿命である広域多核のまちづくりについてどのような姿勢で、基本構想最後の5年間に臨むのか」所見を伺います。
【答弁】17
震災からの復興の歩みも、防災集団移転促進事業の住宅団地引き渡しが概ね完了し、また、災害公営住宅は今月末までに、1513戸全ての住宅が入居可能になるなど、ハード面での基盤は着実に整備されつつあります。今後も引き続き、震災復興土地区画整理事業の着実な進展や、原子力災害への適切な対応などにより、市民の早期再建に最優先で取り組むほか、市民の暮らしの基盤であり、都市の活力の源である地域経済の復興にも力を注ぐなど、復興の総仕上げに向けて取り組んでまいります。
また、一方では、今般策定いたしました改定後期基本計画における人口ビジョンでお示ししましたとおり、今後も、人口減少・少子高齢化は進行するものと見込んでおり、今後は、復興の先を見据えた取り組みが重要となってまいります。
このような中、今後のまちづくりにあたりましては、人口減少に歯止めをかけるけるとともに、将来にわたり地域の活力を持続していくため、広域多核型のいわきの創生に向けて、個性溢れる地域づくりを進めるとともに、地域間交流を促しながら、市全体としての多彩な魅力の創造につなげるべく、いわき創生総合戦略に掲げる「ひとづくり」、「まちづくり」、「しごとづくり」の各種の取り組みを重点的に進める所存であります。

                                  
 市政施行50年。先人の残した有形無形の多くの財産に対し、畏敬の念を表すとともに、50年の間に培われた経験を礎に、次の50年に向けた「いわき」の様々な施策展開に大いに期待し次の質問に移ります。

3 イノベーション・コースト構想について 
                   
大きな質問の3番目は、「イノベーション・コースト構想について」であります。

 はじめに、イノベーション・コースト構想について改めて整理をさせていただきますと、この構想は、浜通りを中心とする地域の経済復興のため、オリンピック・パラリンピックが開催され、世界がこの地域の再生に注目する機会となる、2020年を当面の目標として、廃炉の研究拠点、ロボットの研究・実証拠点などの、新たな研究・産業拠点を整備することで、世界に誇れる新技術や新産業を創出し、イノベーションによる産業基盤の再構築を図り、魅力あふれる地域再生を大胆に実現していくことを目指すものです。
 そのために、政府と県・市町村などが構想の実現に向けて連携する推進会議が昨年6月に発足し、その会議の中で、これまでの議論の整理も行われてきています。
 また、構想の具体化に向けた検討体制では、プロジェクトごとに中央省庁幹部が集まり、拠点整備に向けた課題などについて精査する「政府検討会」と、県や市町村など地元の意見を構想に反映させる「県・市町村検討会議」が、既に動き出しており、構想実現に向けた体制づくりは一層前に進んでいると認識しております。
 そこで、構想に係る国、県の新年度予算案の概要及び拠点施設に係る整備・運営の方向性も固まってきたとのことから質問をいたします。

(1)1点目は、「本市としての戦略について」です。
まず、1つ目として、
ア.イノベーション・コースト構想に係る今後の展開について、その概要を伺います。
【答弁】18
イノベーション・コースト構想におきましては、構想推進の拠点的な施設の整備が位置付けられているところであり、楢葉町の「遠隔技術開発センター」については、昨年10月に開所され一部供用開始となったほか、「放射線部室分析・研究施設」については、平成29年度の運用開始を目指し、大熊町に整備が決定されたところであります。
この他、国の来年度予算案によりますと、ロボットの実証実験を行う施設である「ロボットテストフィールド」と「国際産学官共同利用施設」の整備事業費が計上され、両施設の設備要件や具体的な活用方法を検討するため、有識者による「活用検討委員会」が設置されることとなっております。
また、本市を含む浜通り15市町村を対象地域として、ロボット技術やエネルギーなどイノベーション・コースト構想の重点分野について、地元企業との連携による地域復興に資する実用化開発費用を補助する「地域復興実用化開発等促進事業」が新規に事業化されているところであります。
    
                               
 構想実現に向けた体制の進展に伴い、国、県の新年度予算案においても、本市に関わりのある事業が位置付けられているほか、拠点施設についても新たな運営の形が示され、今後、具体化に向けて進んでいくとのことですが、浜通り地域の中核的都市として本市の果たす役割は大きいものと思います。
そこで国・県の新年度事業、及び拠点施設の活用に対して、2つ目として、
イ.本市としてどのように構想に関わっていく考えか伺います。
【答弁】19
市といたしましては、「遠隔技術開発センター」及び「放射線部室分析・研究施設」の運営主体である独立行政法人日本原子力研究開発機構、いわゆるJAEAとの連携協力のもと廃炉人材育成に向けた取り組みに着手したところであり、今後も引き続き、関係機関との連携を密にしながら、人材育成の基盤を強化してまいります。
また、「ロボットテストフィールド」と「国際産学官共同利用施設」の具体的な活用方法を検討する「活用検討委員会」については、本市企業を中心に構成される「いわきロボット研究会」の代表者が委員となっておりますことから、こうした企業などと連携し、本市としての効果的な施設活用の方策を検討してまいりたいと考えております。
さらに、本市においては、再生可能エネルギーや環境分野など、イノベーション・コースト構想の重点分野に関わる技術開発などに取り組む企業が集積しておりますことから、国、県の資金活用を視野に入れながら、これら企業集積を生かした産官学連携の取り組みを進めていくことにより、地域経済の復興・再生につなげてまいりたいと考えております。
 
                                 
 昨年の市長年頭所感で、いわき市は本構想において「ゲートウエー」の役割を果たすと本市スタンスについて言及しておりました。
首都圏と双葉郡をつなぐ高速交通網の結節点に位置し、都市基盤やものづくり産業が集積しており、さらには、高等教育機関も集まっていることから、浜通り地域の中核的都市として、構想の推進を支える重要な役割を積極的に果たしていくとの考え方は、本来の意味である「ネットワーク接続を行う中継システム機能」としての、本市の存在感を示す大いに期待できる答弁と受け止めております。
 本年の市長年頭所感において、新たに「ベースキャンプ」という言葉が登場しました。そこで3つ目として、
ウ.構想に係る市のスタンスとして、市長が年頭所感で述べた「ベースキャンプ」とはどのような考えか伺います。
【答弁】20
イノベーション・コースト構想におきましては、廃炉に直接関連する拠点的な機能については福島第一原子力発電所の近傍地に整備されることとなっており、本市は、それらを支える人材育成や研究開発に関連する機能について、浜通り地域の中核的都市として、その地理的特性や都市基盤の集積を最大限に活用しながら、構想の推進を支える重要な役割を積極的に果たしていくべものとの認識を、従前は「ゲートウェイ」と表現していたものであります。
その基本的な考え方は変わるものではありませんが、その後、本市に移転したJAEAとの具体的な事業連携が進み、市内企業に向けた人材育成の取り組みが開始されたこと、福島工業高等専門学校において、文部科学省の「廃炉に関する基盤研究を通じた創造的人材育成プログラム」が事業採択となったこと、さらには、本年4月に本市において「第1回福島第一廃炉国際フォーラム」が開催されることが決定するなど、国内外の研究者が集結する本市の拠点的役割が明確になってきたことから、今般「ベースキャンプ」との表現を用いたものであります。
本市といたしましては、引き続き双葉郡8町村との連携を密にし、適切な役割分担を行いながら、浜通り全体としての発展を目指してまいりたいと考えております。

                                   
(2)2点目の質問は、「構想に対する本市のサポート体制について」であります。
 次に、本市が構想に沿って進めている事業の進捗について質問をしたいと思います。現在、本市には国立研究開発法人日本原子力研究開発機構いわゆるJAEAの事務機能があり、廃炉を進めていくための司令塔として様々な取り組みを行っているものと推察するところです。
 そこで1つ目として、本市は商工会議所やJAEAとの連携協定に基づき
ア.具体的にどのような取り組みを行っているのか伺います。
【答弁】21
昨年4月の本市への移転を契機としてJAEAと市、いわき商工会議所の三者における連携協力の合意に基づき、平成27年度から市内企業に向けた廃炉人材育成事業を進めているところであります。
その内容といたしましては、市、いわき商工会議所及び公益社団法人いわき産学官ネットワーク協会が共同で実施している人材育成事業「いわきものづくり塾」のプログラムの一環として「廃炉コース」を新設し、JAEA職員の講師派遣による講義や、楢葉町の「遠隔技術開発センター」の視察見学会などを実施しているところであります。
                                  
 廃炉技術研究に対する人材育成という視点から、本構想の実現には、高等教育機関との連携も大変重要です。その意味において、国立福島工業高等専門学校の取組みには、大変期待し注目するところです。今般、文部科学省の「廃炉に関する基盤研究を通じた創造的人材育成プログラム」の採択を受け、取り組みを進めているところであると聞いております。
 そこで2つ目として、
イ.福島高専廃炉人材育成の取り組みについて、その内容を伺います。
【答弁】22
福島工業高等専門学校の「廃炉に関する基盤研究を通じた創造的人材育成プログラム」は、昨年度、事業化可能性調査事業として採択され、本年度、文部科学省から事業採択を受けたものであります。
その事業概要といたしましては、福島工業高等専門学校が中心となり、同校を含む全国27の高専が連携し、各校の研究者が分野横断的に協力することにより高専間ネットワークを構築し、民間企業だけでは着手しづらい、原子力発電所の廃止措置に向けた中長期的な基礎・基盤研究を行うほか、イノベーション・コースト構想に基づき設置される拠点施設を利用した研究、教育、訓練の実施などの人材育成を行うものであります.
なお、先月25日には、この取り組みの一環として、福島工業高等専門学校と米国の「キュリオン社」との間で連携協力の覚書を締結し、同社に学生のインターンシップ派遣を行うなど、廃炉に関する最先端の技術や知見をグローバルに学ぶ機会を、さらに充実する取り組みに着手したところであります。
 

                                
(3)3点目の質問は、「今後の本市の取り組みについて」であります。
 国の平成28年イノベーション・コースト構想関連予算において、ロボットテストフィールド・研究開発拠点整備やロボット技術開発関連共同利用施設などに予算が計上され、ロボット分野における産業集積の環境づくりが本格化しています。そこで、本市も廃炉技術やロボット関連産業における人材育成により一層スピード感を持って対応しなければならないものと考えます。1つ目として、廃炉・ロボット関連産業の人材育成について、
ア.市として、どのように取り組んでいく考えなのか伺います。
【答弁】23
イノベーション・コースト構想におきましては、廃炉・ロボット関連の人材育成についても盛り込まれているところであり、本市といたしましても、長期間にわたる廃炉作業を支えるための人材や、地域における関連産業の担い手を育成することは、必要不可欠であると認識しております。
こうした考えに立ち、今後におきましても、国、県及びJAEAをはじめとした関係機関、並びに福島工業高等専門学校などとの連携をさらに強化するとともに、今後、構想に基づき展開される様々な拠点施設や、これらが有する知的・人的・物的資源などを有効に活用した人材育成に、さらに力を注いでまいりたいと考えております。
                                  
 この2月には、新・いわき市総合計画「ふるさと・いわき21プラン」改定後期計画が示され、重点戦略である「いわき創生総合戦略」の中において、「イノベーション・コースト構想」に対応した廃炉・ロボット関連産業の人材育成への取組みについても組み込んだとのことですが、2つ目として、
イ.「いわき創生総合戦略」における取り組みはどのようなものか伺います。
【答弁】24
いわき創生総合戦略におきましては、廃炉・ロボット関連の人材育成に取り組む政策パッケージとして、「廃炉・ロボット イノベーション プロジェクト」を位置づけたところであります。
このプロジェクトは、イノベーション・コースト構想に基づき本市周辺に展開される拠点施設などを活用した実践的教育プログラムを構築することにより、首都圏などで関連分野の研究を行っている学生等を呼び込み、地域で人材を育成するものであります。
市といたしましては、今後、廃炉・ロボット関連分野の研究に取り組む首都圏などの大学や地元の福島高専のほか、国の関係省庁や廃炉工程の中核的機能を担うJAEA、県内の廃炉・ロボット関連産業研究を行っている福島県ハイテクプラザ、関連企業など、市内外の産学官連携体制を構築し、福島第一原子力発電所廃炉に向けたニーズに対応する、実践的で効果的なプログラムの構築と事業展開に取り組んで参りたいと考えております。
                                  
本市が、「イノベーション・コースト構想」実現の中心的役割を果たし、原発被災12市町村と連携しながら浜通り全体の復興に大いに寄与すべく、廃炉技術やロボット関連産業の人材育成の「ベースキャンプ」となることを心から願うところです。
 50年前、「新産業都市いわき」という国内の工業先進地を目指して始まったいわき市の歴史は、5年前の東日本大震災及び原発事故で、その歩みをスローダウンさせました。しかし今、浜通り全体の復興を通して、本市の未来にも大きく影響する「イノベーション・コースト構想」の実現に向けた動きは、着実に前に進んでおります。
 いわき市は、工業先進地の誇りを持ち、浜通り地域のリーダーとして、国・県に「イノベーション・コースト構想」関連拠点施設の誘致などについて、自ら手を挙げ、行動を起こすべきと考えます。さらなる本構想への積極的な関わりを要望したいと思います。

4 浜通りの復興を支える本市の産業振興について 
                 
 大きな質問の4番目は、「浜通りの復興を支える本市の産業振興について」であります。
浜通り復興の原動力としての産業集積拠点の一つと想定される「いわき四倉中核工業団地」第2期区域の造成も開始され、「イノベーション・コースト構想」の早期実現に向け、新たな企業の立地に対する補助金インパクトは大変大きいものであります。
 現在、本市は、「ふくしま産業復興企業立地補助金」や「津波原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金」を活用し、企業立地推進のための様々な施策を実施しているとのことですので、産業振興に対する考え方について質問をいたします。

(1)1点目は、「企業立地促進の現況について」です。
震災復興を促進する目的で、県の「ふくしま産業復興企業立地補助金」と国の「津波原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金」の2通りの補助金制度がありますが、その現況について、
 まず1つ目として、
ア.本市における「ふくしま産業復興企業立地補助金」の実績を伺います。
【答弁】25
ふくしま産業復興企業立地補助金は、県内で工場などの新設・増設を予定する事業者に対し、投資金額や雇用人数に応じて、最大2分の1を補助する制度として、平成24年1月に県が創設したものでありますが、県によりますと、同補助金のこれまでの本市における指定件数は85件で、県内自治体において、最多となっております。
                              2つ目として、
イ.本市における「津波原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金」の実績を伺います。
【答弁】26
津波原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金は、青森、岩手、宮城、福島、茨城各県の津波被災地と、原子力災害に見舞われた福島県全域を対象に、主に工場などの新設に対し、投資金額や雇用人数に応じて、最大2分の1を補助する制度として、平成25年度に国が創設したものであります。
国によりますと、同補助金のこれまでの本市における採択件数は53件で、対象自治体において、最多となっております。
                                  
 このような状況の中、従来の「津波原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金」の申請期間については、本年度末までとなっておりましたが、来年度以降も、制度の大枠は維持される見込みとなりました。そこで、

(2)2点目の質問は、「国の企業立地補助金について」です。
 まず1つ目として、ア.本市は、国の「津波原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金」について、どのように継続に向けて対応してきたのか伺います。
【答弁】27
津波原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金は、本市への工場などの新設などを促進し、地域産業の高度化や新産業の創出、雇用確保につながるなど、産業復興に対する効果がきわめて高いにもかかわらず、資材高騰、人材不足などを背景に、本市の補助金採択企業のうち、事業に着手している企業が約3割にとどまっており、平成30年3月末の補助事業終了までに、支援策を十分に活用しきれていないといった懸念が生じておりました。
また、双葉郡から多くの避難者や工場などを受け入れている本市に、企業立地を促進することは、双葉郡の復興や住民帰還にもつながることから、市といたしましては、県とも連携を図りながら、本市を含む浜通り地方において、当該補助制度を継続するとともに、十分な予算を確保するよう、様々な機会をとらえ、国に要望してまいりました。その結果、平成30年度末まで、当該制度を継続する方向性が示されたところであります。
                                   
 その一方、被災者の働く場を確保し雇用を生み出すことで住民の帰還と生活再建を後押しする目的で、国が新たに創設するとした「自立・帰還支援雇用創出企業立地補助金」について、本市はその対象外となりました。2つ目として 
イ.本市が「自立・帰還支援雇用創出企業立地補助金」の対象に含まれなかった理由について、どのように把握しているのか伺います。
【答弁】28
国が平成28年度から制度化する、自立・帰還支援雇用創出企業立地補助金の対象に、本市が含まれなかった理由についてでありますが、報道などによれば、本制度の趣旨が、原子力発電所事故の被害が特に大きく、避難区域が設定された12市町村の自立と帰還を支援するものであり、また、本市を対象とした場合、他県の津波被災自治体からも同様の支援を求められ、膨大な予算が必要となってしまうためとのことです。
一方、国は、新年度予算案にイノベーション・コースト構想の重点分野について、「地域復興実用化開発等促進事業」を新たに創設し、本市を含む浜通り15市町村を対象として、支援する考えを示しております。
                                   
 今回、新たな補助金の対象から外れたことにより、今般の資材高騰や作業員不足などを背景に、本市への企業進出にマイナスの影響が出ないような対応も必要と考えますが、              
(3) 3点目の質問は、「津波被災地域への企業立地に対する奨励金について」です。
 国の動向に対応して、本市が独自に津波被災地域への企業立地を進めていくための施策について、
 1つ目として、
ア.本市の「企業等立地奨励金制度」創設の背景について伺います。
【答弁】29
東日本大震災から間もなく5年が経過し、特に甚大な被害を受けた震災復興土地区画整理事業区域や防災集団移転促進事業の移転先において、土地の引き渡しや住宅建築が可能となった状況などを踏まえ、「復興事業の総仕上げ」として、それぞれの津波被災地域に事業所を立地する事業者に奨励金を交付し、両地域の経済的、社会的基盤や生業の再生を図ることで、復興を加速させることが本制度創設の背景であります。

                                   
企業などの立地促進を、積極的に支援していくという趣旨には、思いを同じくするところです。
 それでは2つ目として、
イ.新たな「企業等立地奨励金制度」の概要について伺います。
【答弁】30
本制度は、震災復興土地区画整理事業区域及び防災集団移転促進事業の移転元地に、事業所を立地した事業者に対し、中小企業などの場合は、建物・設備の投下固定資産総額の5%を、大企業の場合は3%の額を、5億円を限度に交付するものです。
なお、一部業種を除き、住宅の身近に立地する商業やサービス業などの生活関連産業なども支援対象とするなど、可能な限り幅広く支援を行うこととしております。
                                    
 本制度が、津波被災地域の早期復興に寄与するように、その対象を幅広く設定し、多くの事業者に活用されることを望むと同時に、より効果が発揮できるような支援を要望したいと思います。そのような観点から3つ目として、
ウ.新たな「企業等立地奨励金制度」の今後の利用見込みについては、どのように想定しているのか伺います。
【答弁】31
それぞれの津波被災地域における、震災前の事業所数や業種形態を参考とし、最大限に近い形で試算した場合の「超概算」で申し上げますと、約200件程度の事業者に、本制度を利用していただけるものと見込んでおります。
                                  
 従来の補助金制度を補完するこの本市独自の奨励金制度を、より多くの市民の皆様が有効に活用できるよう、「いわき市津波被災地域企業等立地奨励金」制度の周知を図っていく必要があると思います。最後に4つ目として、
エ.新たな「企業等立地奨励金制度」を、どのように市民の皆様にお知らせしていくのか、その周知方法について伺います。
【答弁】32
本制度につきましては、平成28年度から、速やかに、商工団体や税理士などと連携し、久之浜地区をはじめ、地域ごとの説明会の開催や相談窓口の設置などを含め、わかりやすい説明資料を配布しながら、幅広く広報周知を行い、できる限り多くの方々に本制度をご利用いただけるよう取り組む考えです。
                                  
 
本市独自のこの制度は、従来から支援している製造業に加え、津波被災地域に暮らす皆様方の身近に寄り添い、安定した暮らしを支える観点から、商業やサービス業などの生活関連産業事業者について、可能な限り幅広く支援するということでありますので、その成果についても、大いに期待したいと思います。

以上で、私の質問を終わらせていただきます。
ご静聴ありがとうございました。