平成27年2月定例会 一般質問 全文を掲載いたします。


 
 私は、これまでの一般質問の中で、いわきの復旧・復興の進み具合を知る1つの指針として、インフラ整備の状況について質問を続けさせていただいております。
 今回も、このような流れに沿って質問をしていきたいと思います。
 今般、本市における道路インフラの整備などは、国・県との連携のもと大きく進展しており、特に、今月1日の常磐自動車道全線開通のニュースは、本市はもとより本県浜通り地域の多くの皆様にとって、久々に明るい話題提供となりました。
 そこで最初の質問は、道路インフラなどと同様に、生活に欠かすことのできないインフラのひとつである水道事業について、東日本大震災後から現在までの実績を踏まえ、これからのいわき市水道事業の方向性を示す事業経営プランの内容について、質問をさせていただきます。

1 水道事業経営プラン「中期経営計画」について      
大きな質問の1番目は、水道事業経営プラン「中期経営計画」についてです。
本市水道事業に関わる職員の皆さんは、4年前の東日本大震災の発生以来、ふるさと「いわき」の1日も早い復興を思い描きながら、「オールいわき」で懸命に、職務を遂行されてこられたことと推察いたします。そのような中、この度、今後2年間の具体的な施策展開を示す「中期経営計画」が公表されました。復興の途上である現時点での、本市水道事業の方向性を示す非常に大切な計画であります。そこで、その内容について質問をさせていただきます。

 (1)1点目の質問として、「計画改定の趣旨について」伺います。
 本来、水道事業経営プラン「中期経営計画」は、具体的な施策展開を示すべく、4年に一度の改定をしており、これまでの計画が平成26年度までであったことから、平成27年度からの新たな「中期経営計画」を策定するのが、これまでの流れであったと思います。
 東日本大震災が、今回の計画改定に大きな影響を及ぼしていることは理解しておりますが、
1つ目として、今回、新たな「中期経営計画」ではなく、現計画の期間を2年間延長することとした経緯について、あらためて伺います。

【答弁】水道局長
 本市水道事業は、平成19年度から28年度までの10年間を計画期間とする「基本計画」と、基本計画をもとに4年間の具体的な施策を定めた「中期経営計画」の二つで構成する「いわき市水道事業経営プラン」に基づき、水道を健全な姿で次世代に引き継いでいくことを基本として運営しております。 
 このうち、中期経営計画につきましては、平成26年度が最終年度となっていたことから、今般、計画期間を2年間延長する改定を行ったところであります。本来であれば、平成27年度を計画初年度とする新たな中期経営計画を策定するところですが、震災の影響により繰り延べている事業を着実に実施する必要があることや、震災復興関連事業の継続実施が予定されていることなどから、現行の中期経営計画の計画期間を延長することとし、上位計画の計画終期にあわせて平成28年度までとする改定を行うこととしたものであります。

 
 それでは、今後2年間で、震災により繰り延べをしてきた事業や震災関連の事業を継続的に進めることが予定されているということですが、
2つ目として、その2年間の事業運営の方向性について伺います。

【答弁】水道局長
 平成28年度までの2年間の事業運営につきましては、給水収益の減少や施設の更新事業費の増大など水道事業の経営環境がさらに厳しくなることを見据えて、経営体質の強化、効果的な老朽施設更新事業の推進のほか、震災で繰り延べている事業や、震災の教訓を踏まえた災害対策事業などを引き続き推進していくこととしております。

 東日本大震災を経験し、水道事業を取り巻く環境も大きく変化している現在、その教訓を生かして、今後の人口減少社会にも即した事業経営が求められます。そこで3つ目として、2年間の重点事業についてはどのようなものになるのか伺います。

【答弁】水道局長
 主な重点事業としては、既存施設の更新を兼ねながら実施している基幹浄水場連絡管整備事業や、老朽水道管の敷設替えなどを行う第五次配水管整備事業を継続して行うほか、新規事業として、より安全な水道水の供給を行うための紫外線処理施設の整備などを予定しております。
 このうち、基幹浄水場連絡管整備事業は、基幹浄水場の間で水を相互に融通できるようにする事業であり、東日本大震災では南部地区の基幹管路に漏水が多発し、南部の浄水場から給水している中央台地区などの復旧が大幅に遅れてしまいましたが、来年度には平ポンプ場や平第二配水池が完成し、北部の浄水場からのバックアップが可能となることから、平成28年度以降は、災害時にも中央台や小名浜地区の安定給水が確保されることになります。

 平ポンプ場や平第二配水池などが来年度に整備されることにより、震災の影響が極めて大きかった中央台地区などへのバックアップが可能になることは、地域の皆様のライフライン確保の観点から大きな前進であります。震災での経験を糧に、専門家の細やかな目で、引き続き事業を進めていただきたいと思います。次は、昨年秋の「いわき市水道事業経営審議会」からの答申を踏まえて、今回公表された現行の料金水準維持という考え方の根拠について伺います。4つ目として、2年間の財政収支見通しをどのように捉えているか伺います。

【答弁】水道局長
 平成28年度までの計画期間内の財政収支見通しについてでありますが、まず、収入につきましては、現在、その根幹である給水収益が、震災前の水準近くまで回復を見せておりますが、依然として減少傾向は続いております。今後も同様の傾向は続くものと考えておりますが、一定程度の収入は確保できるものと見込んでおります。
 一方、支出につきましては、最優先に実施する復旧・復興関連事業や重点事業などを実施していくための経費を計上しているほか、財務体質の強化を目指し、企業債残高の縮減を進めるための経費などを見込んでおります。その結果、平成28年度までの2年間につきましては、財政収支の健全性は確保できる見通しとなっております。

 5つ目として、そのような考えのもと、今後2年間の水道料金はどのようになるか伺います。

【答弁】水道局長
 平成28年度までの水道料金につきましては、先にご答弁申し上げました今後2年間の財政収支見通しを踏まえたうえで、給水原価の推移や内部留保資金の状況、企業債残高の見込み、さらには将来必要となる資金の確保などについて検討を行い、現行通りの料金に据え置くこととしたところであります。なお、このことにつきましては、市水道事業経営審議会から「現行の料金体系を維持したままでの事業経営が可能な見通し」であり、計画の改定を妥当と判断する旨の答申をいただいております。

 2年間は現行の料金水準を維持しながらも、給水人口の減少そして景気動向など、将来の事業環境を視野に入れた堅実な事業運営をお願いして、次に移ります。

 (2) 2点目の質問は、「増大する施設更新需要への対応について」です。
今後、本市水道施設の健全性を維持していくためには、多額の更新需要が予想されるところです。限られた財源の中で効率的に施設の維持・更新を行うためには、正確な更新需要の判断と財政状況の把握を計画的に推し進めていかなければならないと考えます。
そこで、水道事業においても、資産管理の視点から費用対効果の高い計画的投資の実現に有効とされるアセットマネジメント導入は必要不可欠であると考えますが、1つ目として、本市の水道事業におけるアセットマネジメントの考え方を伺います。

【答弁】水道局長
 厚生労働省が策定・公表している「水道事業におけるアセットマネジメントに関する手引き」によりますと、アセットマネジメントの実践に当たっては、現有資産の状態や健全度を適切に診断・評価するとともに、財政収支見通しを踏まえた更新財源の確保策を講じるなどにより、事業の実行可能性を確保する必要があるとされています。
 本市では、平成25年2月にアセットマネジメントの簡易的手法により、施設の更新時期や更新量を算定し、その概算費用を試算したところですが、今後は、試算結果なども踏まえて既存の諸計画を整理し、水道施設の再構築・更新・耐震化などの計画として取りまとめてまいる考えであります。
 なお、アセットマネジメントにつきましては、経営戦略の手法として継続して実践していくことが必要とされておりますことから、今後も引き続き、同手法を活用し、その精度を高めながら持続可能な事業経営を目指していく考えであります。

 まずは、現在の施設状況を正確に把握することが重要であると思います。地方公営企業法で、水道の法定耐用年数が定められておりますが、状況を精査し管理することにより、健全に使用年数を伸ばすことが可能になるものと思われます。そこで2つ目として、水道施設における法定耐用年数と実年数に対する考え方について伺います。

【答弁】水道局長
 水道施設の法定耐用年数は、地方公営企業法で定められておりますが、これは、あくまでも会計上、減価償却費を算定するために用いられる年数であり、これを持ってただちに更新が必要となるものではありません。実際に使用可能な年数につきましては、法定耐用年数40年の水道管を例にとりますと、時代とともに技術が向上し、使用資材や施工方法に、改良や改善が図られておりますので、これを考慮しますと実際に使用可能な年数は、法定耐用年数の1.2倍から2倍程度になるものと考えております。構造物や機械電気設備につきましても、定期点検などにより適正に維持管理することで延命化を図り、更新費用の削減を図ってまいりたいと考えております。

 各種水道施設について、個別に基礎情報を整理して健全性を評価し、また、施設の予防保全的な補修を実施していく中でその健全性を保持したまま施設を延命化していくこと。難しい二つのバランスを適正に管理することにより適切な更新時期を定めることができると思います。
 そこで、3つ目として、本市の水道施設更新の基本的な考え方について伺います。

【答弁】水道事業管理者
 高度成長期に整備拡張した水道施設が、大量に更新時期を迎えるため、今後は、更新費用が大幅に増加する見通しであり、合わせて施設の耐震化も進める必要があることから、多額の事業費が必要となってまいります。一方、水需要の減少に伴い、今後、財政状況は大変厳しくなっていく見通しであり、このため、施設の行進に当たっては、現在の施設規模や能力を、そのまま維持していくのではなく、長期的な水需要の減少を踏まえ、需要に見合った施設規模になるよう、施設の統廃合やダウンサイジングを含めた水道施設全体の再構築を図って行くこととしております。併せて、施設の重要度や更新の優先順位を明確に設定したうえで効率的・効果的に更新や耐震化を進めていく考えであります。
 なお、現在進めている基幹浄水場連絡管整備事業は、浄水場間での水野相互融通が可能になるだけでなく、配水池やポンプ場など多くの施設の統廃合を可能とするものであり、更新費用や維持管理費の抑制につながる事業として、位置づけております。

 他自治体においては、水道施設の「健全性維持管理サイクル」を構築して事業を進めているところもあります。「健全性維持管理サイクル」とは、最初に、現在保有している施設データの整理をして機能評価を行い、次に財政収支の見通しを考慮の上、施設更新需要の予測をして整備更新計画を策定。その整備更新計画に基づき、蓄積された施設点検データから更新や見直しを行い、更なる施設データの充実を、継続して図っていくものです。これにより、更新や補修の必要性の評価精度が高まり、使用者である市民の皆様に対して、事業実施のための説明責任がしっかり果たせるものと思います。本市でも、この手法の本格的な導入を期待して、次に移ります。

(3) 3点目の質問は、「緊急時の応急給水について」です。
東日本大震災後の一般質問の中で、多くの先輩議員の皆様が、震災直後の応急給水対応についての質問をされております。4年が経過しようとしている今、今後の教訓とすべく質問をさせていただきます。
 1つ目として、あらためて東日本大震災における応急給水の課題について伺います。

【答弁】水道局長
 東日本大震災では、水道施設が甚大な被害を受けて、ほぼ、市内全域が断水する事態となり、復旧まで長期にわたり応急給水活動を実施することとなりました。課題としましては、未曽有の被害規模に加えて、原発事故の影響でほかの自治体からの応援が遅れ、運搬給水に従事する人員や車両が不足したことなどもあり、応急給水体制の確立に時間を要したことが挙げられます。
 また、震災前、すでに市内21か所に耐震性貯水槽を設置していたことから、震災直後の応急給水拠点として、大きな役割を果たしましたが、断水が非常に広範囲であったため、給水所となる耐震性貯水槽や応急給水施設の数および貯水量が不足したことも課題となりました。

 只今の答弁をお聞きしますと、広域そして長期にわたるという厳しい状況の中で、懸命な応急給水により、一定の緊急時体制が確立されたということは理解いたしました。しかし、未曽有の複合災害の中、いろいろな課題も明確化したと思います。既に、事業運営にしっかりと反映させているものとは思いますが、定期的にその進捗について検証し、さらに充実した体制作りがなされることを望みます。 
 次に、人命に係わる重要な施設への対応について伺います。震災直後、人工透析施設など大量給水を必要とした病院などでは、一刻を争う事態に病院職員が打開策を求めて奔走。個々の支援ルートを使って命をつないだことが語られています。
そこで、当時の経験を踏まえ、2つ目として病院等の重要施設に対する緊急時の対応について考え方を伺います。

【答弁】水道局長
 病院や避難所などの重要施設への緊急時の対応につきましては、それらの施設の機能確保や患者さんの生命維持の観点から、優先給水施設のリストを作成し、それら施設はもとより各関係機関とも連携を取りながら、最優先に給水活動を実施することとしております。また、それら施設に給水している管路につきましては、計画的に耐震化を図りたいと考えておりますが、当面の不測の事態に備え、迅速かつ効果的に応急給水が行えるよう、圧送式給水タンク車2台を追加し、計5台を配備したところであります。病院などには、震災などの緊急時に備え、日頃から飲料水や医療用水の備蓄をお願いしたいと思いますが、水道局といたしましても給水の要請があった場合には即応できるよう、体制をさらに強化してまいります。

 ぜひとも、行政と重要施設など関係団体相互が連携して、緊急時の対応について日頃から備えてほしいと思います。
 そこで3つ目として、震災の教訓を踏まえた応急給水体制のさらなる充実について伺います。

【答弁】水道局長
 東日本大震災の教訓を踏まえ、非常時の市民の飲料水につきましては、必要とされる一人一日3ℓ、3日分の水、約3,000㎥を確保することとし、復興交付金などを活用して、耐震性貯水槽の5基増設や、小中学校などの公共施設の受水槽を応急給水施設として活用するための改良工事、大口径の耐震管路を活用した応急給水施設の整備などを行ってきたところであります。
 また、震災を教訓に、より迅速性、実効性を高めることを基本に「水道局地震災害等対応マニュアル」を見直すとともに、災害時の応急給水の応援体制を充実、強化したところであります。
 しかし、大規模な災害時には、水道局や応援関係者だけでは対応が困難であり、今後は各地域における給水所の開設や運営などについて、地域の方々や自主防災組織などと連携して、実効性のある応急給水体制を構築していくことが大変重要と考えております。
 水道局は現在、地域の防災訓練への参加や出前講座を行い、地域活動に協力させていただいておりますが、今後とも、地域との連携に一層努力してまいりたいと考えております。

 只今の答弁の通り、日頃から水道局と地域の方々が連携して、災害時応急給水については、しっかりと役割分担しながら、市域の広い本市での実効性のある体制づくりを進めていただきたいと考えるところです。

(関連再質問)総括として、今後の本市水道事業運営に対して、三浦水道局長より所見を伺いたいと思います。

【答弁】水道局長  再質問のため、答弁書なし

 局長におかれましては、震災後の困難な復旧・復興期間を含めて長年にわたり水道事業に貢献され、今月末で一区切りを迎えられますが、さらなる水道事業進展のためのご支援そしてサポートを心よりお願いするところです。それでは、次に移ります。

2 地域おこし協力隊活動事業について            
 大きな質問の2番目は、「地域おこし協力隊活動事業について」であります。

 (1)1点目の質問は、「地域おこし協力隊活動事業の実施について」です。
 平成20年12月に、総務省から「自然との共生」を基本としてきた我が国の歴史・文化に基づき、豊かな自然環境を守りながら、活力ある地域社会を形成する目的で、「地域力創造プラン」が発表され、平成21年、その取り組みの1つとして「地域おこし協力隊」が位置づけられました。
 「地域おこし協力隊」は、地方自治体が、都市住民を受け入れ、隊員として委嘱し、一定期間以上、農林漁業の応援、水源保全監視活動、住民の生活支援など各種の地域協力活動に従事してもらいながら、当該地区への定住・定着を図る意欲的・積極的な取り組みを行うものとなっております。
 全国では約320自治体において、すでに活動しておるとのことですが、今回、本市で取り組みを始めることとなりましたので、その内容について質問させていただきます。
 まず、1つ目として、平成27年度から「地域おこし協力隊」を導入するに至った経緯について伺います。

【答弁】市長
 地域おこし協力隊制度につきましては、総務省が平成21年3月に創設した処であり、その内容は、地域の活性化に貢献すること、具体的には、地域おこし活動の支援や農林水産業の応援、住民の生活支援など「地域協力活動」に従事することにより、定住・定着を図ることとされております。
 このことから、市といたしましては、中山間地域の活性化を推進する観点から、本制度を積極的に活用することとしたものであります。

 2つ目として、この活動を行うことによる地域の活性化など、「地域おこし協力隊」導入により期待される効果について伺います。

【答弁】市長
 国が策定した地域おこし協力隊推進要綱によりますと、地域おこし協力隊制度は、三大都市圏をはじめとする都市地域から過疎、山村、離島、半島などの地域に生活の拠点を移すことで、地域振興に寄与するとともに、地域おこし協力隊員の定住・定着を図ることにより、地域力の維持・強化に資するなど、地域の活性化につながるものとして、大変有効なものと考えております。
 

 本事業の取り組みは、かなり広い分野にわたっております。先ほども一部お話ししましたが、他にも不法投棄パトロールや道路清掃、通院・買い物の移動サポート。また、地域行事・伝統芸能などコミュニティ活動の応援や都市との交流・教育交流事業実施応援などの交流関連事業、地場産品の販売や地産地消の取り組み応援など、多種多様な地域活動事業が該当します。3つ目として、そのような中から本市が、遠野和紙の技術継承者養成を選んだ理由について伺います。

【答弁】市長
 遠野和紙の製作につきましては、いわゆる「いわき和紙製造技術」として、本市の無形文化財に指定しておりましたが、昨年6月に技術保持者として認定していた方が、亡くなられましたことから、現在、指定を解除している状況にあります。そのような中、昨年8月に遠野地区で開催しました「移動市長室」において、「磐城手業の会」の皆様から「早急に後継者を育成しなければ、遠野和紙は消滅してしまう」との意見が寄せられ、私といたしましても、積極的に支援することにより、この技術を将来世代に継承していかなければならないという思いを強くしたところであります。また、昨年10月には、日本の手漉和紙技術がユネスコ無形文化遺産に登録されるなど、和紙製造技術は、世界的に注目されているところでもあります。このようなことから、平成27年度より、国の地域おこし協力隊制度を活用し、遠野和紙の製造技術を継承するとともに、地域活性化を図ることとしたものであります。

 本事業を通して、遠野和紙の製造技術が本市内で継承されて、地域の活性化につながっていくことを期待しつつ、4つ目の質問として、本市は「地域おこし協力隊」隊員の人数を2名としたとのことですが、その設定の理由について伺います。

【答弁】市民協働部長
 和紙の製造過程につきましては、原料となる楮の栽培、収穫後の皮はぎ、楮の繊維を柔らかくするための煮熟、紙漉きといった作業がありますが、それぞれの過程が手作業で、長時間に及び重労働となっております。また、国が策定した地域おこし協力隊推進要綱によりますと、活動が円滑に実施されるよう複数人の同時受入れが望ましいとされますことから、これらのことを総合的に勘案して、遠野和紙にかかる地域おこし協力隊につきましては、2名を配置することとしたところであります。

 それでは、そのことを踏まえながら、
(2)2点目の質問は、「地域おこし協力隊隊員募集の詳細について」です。
 本事業の導入にあたって、募集の詳細については、総務省からの要綱に沿って行うものと思いますが、まず1つ目として、協力隊員となるための、具体的要件はどのようになっているのか伺います。

【答弁】市民協働部長
 国が策定した地域おこし協力隊推進要綱によりますと、地域おこし協力隊員の要件としまして、1つとして、生活の拠点を三大都市圏をはじめとする都市地域などから過疎、山村、離島、半島などの地域に移し、住民票を移動すること、2つとして、地域協力活動を行う期間は、概ね、1年以上3年以下とすること、3つとして、この制度を活用する地方自治体から、地域協力活動に従事する旨の委嘱を受けるものであることとされており、そのほか、実施する地方自治体の責務として委嘱に当たり、地方自治体が対象者及び従事する地域協力活動の内容などを広報紙やホームページで公表することとされております。

 そのような内容のもと、2つ目、本市「地域おこし協力隊」隊員の募集方法は、具体的にどのようなものか伺います。

【答弁】市民協働部長
 本市が募集する地域おこし協力隊員につきましては、公募により選考することとしており、対象者については、三大都市圏に居住しており、和紙製作に関心がある方としていることから、対象者は、限定されるものと考えております。このことから、国、県が主催する三大都市圏で開催される地域おこし協力隊に関する合同説明会に参加するとともに、ユネスコ無形文化遺産に登録が決定された地域で研修生として活動している方などを対象に、適時適切に説明会を開催するなど、本事業を積極的にアピールしてまいりたいと考えております。また、これらの事業を実施する際においても、市ホームページなどを活用し、積極的に情報発信をして参りたいと考えております。

 それでは次に、3つ目として、本市協力隊隊員の具体的な決定方法について伺います。

【答弁】市民協働部長
地域おこし協力隊員の選定にあたりましては、和紙の製作に関心があり、さらには、地域での活動に意欲のある優秀な人材を採用したいことから、第1次選考として、国の要件に基づき書類審査を行い、第2次選考として、面接試験を実施することとし、最終的に2名を選考してまいりたいと考えております。

 決定した2名については、遠野和紙技術継承者となるこの活動がスムーズに行える環境づくりのために、いろいろな面から、サポートが必要だと考えます。そこで4つ目として、その基礎となる本市の協力隊員に対して賃金や活動経費などはどのようになっているのか伺います。

【答弁】市民協働部長
 地域おこし協力隊員の活動に要する経費につきましては、賃金などとして、年間1人当たり200万円、活動車両の借上げ経費及び研修に要する経費などの活動経費として、年間1人当たり200万円、合計400万円となっております。なお、これらの経費につきましては、特別交付税措置により対応されることとなっております。

 出来るだけ速やかに地域に溶け込み、技術を学びながら充実した毎日が送れるように、暖かいサポートをお願いして、次に移ります。

(3) 3点目の質問は、「地域おこし協力隊活動事業の内容について」です。
 それでは、活動事業の要点を具体的にお聞きしたいと思います。隊員決定後活動を始める前段として、隊員の役割や心構えなどの研修を行い、住民票をいわき市に移動。隊員委嘱の手続きを済ませて本市での活動事業が始まるものと思いますが、1つ目として、遠野和紙の技術継承者養成にあたっては、どのようなカリキュラムで進めていくのか伺います。

【答弁】市民協働部長
 遠野和紙の製作に当たりましては、原料となる楮の栽培、収穫後の皮はぎ、楮の繊維を柔らかくするための煮熟、紙漉きといった過程があり、これに対応したカリキュラムを作成する必要があると考えております。また、技術継承者として養成するとともに、将来の定住化に向けた取組みを進めるために、商品開発・販路の開拓などのいわゆる産業の6次化に向けた環境整備についても、意を用いて参りたいと考えております。

 次に、協力隊隊員が活動を行っていく際のルールについてお聞きします。2つ目として協力隊隊員の副業などの服務規程はどのようになっているのか伺います。

【答弁】市民協働部長
 地域おこし協力隊員につきましては、嘱託職員として雇用する予定であり、副業などの服務の取扱いは、いわき市職員服務規程に準じて対応することとしております。なお、これによりがたい場合につきましては、その他関係法令等に則り、適切に対応して参りたいと考えております。

 活動にあたっては、厳しい服務規程で縛ってしまうことにより隊員に必要以上の精神的負担がかからないような、バランスのとれたルールの適用をお願いしたいと思います。次は、地域の皆様との連携についてです。3つ目として本事業を実施していくうえで、地域との連携協力体制はどのようになるのか伺います。

【答弁】市民協働部長
 国が策定した地域おこし協力隊推進要綱によりますと、市町村の役割として、協力隊員が円滑に活動できるようにするために、必要な研修の実施、地域住民との交流機会の確保など、必要な配慮を行うことと位置付けされていることから、今後、地域との協議を進めながら、連携協力体制を適切に構築して参りたいと考えております。

 
 只今の答弁のとおり、本事業での重要ポイントとなるのは、協力隊員と地域との連携です。地域の皆様からの暖かい支援・協力がなければ、この活動事業の成功はありえないものと考えますので、しっかりとした体制づくりをお願いして、次に移ります。

(4)4点目は、「事業実施後のフォローアップについて」です。
「地域おこし協力隊」は、全国約320自治体ですでに活動しています。一定の成果が認められることから国は、協力隊員の数を今後3倍にするとの目標を掲げております。まず、はじめに、「地域おこし協力隊」活動事業における実施後の状況について伺います。1つ目として、他の自治体において、「地域おこし協力隊」隊員任期終了後の定住状況はどのようになっているか伺います。

【答弁】市民協働部長
 平成25年度に総務省が実施した全国の追跡調査によりますと、平成25年6月末までに任期が終了した隊員が、任期終了後においても、活動地と同一市町村等に定住している割合は、約6割となっております。

 定住割合が6割とのことですが、是非、本事業も成功させてください。それでは、そのことを踏まえて2つ目、本市として定住促進のために、技術習得後のサポート体制をどのように考えているのか伺います。

【答弁】市民協働部長
 地域おこし協力隊員が、任期後に地域に定住していくためには、和紙製作を生業として形成していくとともに、製作した和紙を遠野地区のブランドとして育成する必要があり、協力隊員、地域、さらには、関係機関との連携体制を構築する必要があると考えております。このことから、原料の栽培・収穫、和紙の製作から商品開発・販路の開拓など、産業の6次化を図る必要があることから、地域を巻き込んだ活動を展開して参りたいと考えております。

 また、今回の事業に続いて、いろいろな分野で「地域おこし協力隊」活動が行われることも期待をしておりますので、3つ目として、今後、他の分野においても本事業を展開していく予定があるのか伺います。

【答弁】市民協働部長
 地域おこし協力隊が行う事業の内容につきましては、地域おこしの支援、農林水産業への従事、住民の生活支援など、幅広い範囲に及んでおります。市としましては、まずは、今回の事業を着実に実施して行くことが重要であると考えているところであり、今回の事業をモデルケースとし、事業の効果などを検証するとともに、平成27年度から地域の特性を生かした事業の可能性等について検討をして参りたいと考えております。

 政府は、この総務省の「地域おこし協力隊」事業と農林水産省の「田舎で暮らし隊」事業のパフォーマンスを高く評価しており、2つの事業を発展的に統合して、若者などの「ふるさと回帰」をさらに促そうとする動きもあると、仄聞(そくぶん)しております。今回のいわき市の取組みが成功し、継続して実施されることとなれば、3大都市圏をはじめとする都市部からのI・Jターンを促し、本市への定住人口が増加することが期待されます。しかしながら一方で、この活動事業に参加した方々の将来を左右する、大きな責任を伴う事業でもあります。そのこともまた重く受け止めながら、事業を展開してほしいと思います。次に移ります。


 
3福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想について 
 大きな質問の3番目は、「福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想について」であります。
 福島県浜通り地域は、東日本大震災そして原発事故の影響により、産業基盤に大きな打撃を受け、地域本来の活力を取り戻すためにはまだ多くの時間が必要であり、復興の途上にある状況です。このような中、国は、昨年6月に「福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想」を取りまとめ、廃炉に向けた着実な推進及び廃炉やロボットの研究開発を通じた国際産学連携拠点の形成そして新たな産業集積など、浜通り地域の復興につながる主要なプロジェクトを位置づけたところであります。また、その成果は、政府の「骨太の方針」にも位置づけられたほか、構想内容の具現化に向け、国が設置する推進会議や個別検討会が立ち上がるなど、実現に向けた取り組みを着実に進めているところであります。そこで、

(1)1点目は、「イノベーション・コースト構想の進捗について」です。
このような中で、いわき市においても「いわき国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想研究会」を独自に設置し、本市の可能性などに向けた検討を進めておりますが、その進捗状況について質問いたします。
 まず1つ目として、国の構想を具現化するにあたり、本市の優位性をどのようにとらえているか伺います。

【答弁】行政経営部長
 本市の優位性は、首都圏と近接、双葉郡と隣接している、さらには、常磐自動車道磐越自動車道といった高速交通網の結節点であるといった地理的特性があることや、宿泊施設、商業施設、医療機関など、都市基盤が整っていること、市内に15の工業団地を有するなど、ものづくり産業が集積していること、「いわきロボット研究会」など、民間主導の活動も活発であること、人づくりの拠点となる高等教育機関が集積していることなどが挙げられるものと考えております。

 次に、「いわき国際研究産業都市構想研究会」では、どのような検討を行ってきたのか、2つ目として、「いわき国際研究産業都市構想研究会」の活動状況について伺います。

【答弁】行政経営部長
 市が独自に設置した、いわき国際研究産業都市構想研究会は、高等教育機関や、経済・産業界などの分野で活躍する15名の委員で構成しており、昨年4月24日に設置して以来、これまで5回の意見交換を行ってまいりました。主な活動内容といたしましては、国の研究会が構想をとりまとめるにあたり、本市の提案を取り入れていただくため、本市の優位性を活かし、浜通り地域の復興に向け、「ゲートウェイ」としての役割を担うという本市の基本的な考え方を整理していただきました。さらには、この基本な考え方に基づき、国に求める具体的な取り組みとして、「研究開発・人材育成拠点の整備」をはじめ「浮体式洋上ウィンドファームの福島沖での事業化などによる新たな産業創出への支援」などを挙げたところでありますが、国が昨年の6月に取りまとめた構想においてその内容が概ね反映されたものと受け止めております。

 研究会の活動状況を踏まえ、
(2)2点目の質問は、「「ゲートウェイ」としての役割を活かした関連産業の集積に関する取り組みなどについて」です。
 ただいま、本市の優位性などを考慮し、「「ゲートウェイ」としての役割を果たしていく」との答弁がありましたが、その優位性を活かした、関連産業の取り組みについて質問いたします。
 まず、1つ目として、本市の産業集積の方向性について、どのように考えているのか伺います。

【答弁】行政経営部長
 国のイノベーション・コースト構想には、常磐共同火力勿来発電所における高効率石炭火力発電、いわゆるIGCCに関連した産業の集積や、クリーンコール技術の国際拠点となる技術研修・研究センターの設置の検討が位置付けられているほか、新たなエネルギー産業の創出として、浮体式洋上風力発電の事業化と関連産業の集積に向けた検討が位置づけられておりますことから、市といたしましては、関係機関などに対し、事業の着実な推進を働きかけながら、これらの事業を核とし、市内製造業における取引の拡大や技術力の向上など、新たな産業集積の形成を目指してまいりたいと考えております。また、国が「ロボット研究・実証拠点整備」など3つの検討会を設置し、それぞれプロジェクトの実現に向けた調査・研究を行っているほか、県が設置する「農林水産分野検討分科会」において、木質バイオマス発電の導入や水産研究拠点の構築が検討されておりますことから、本市での展開及び産業集積の可能性について、調査検討して参りたいと考えております。

 次に、2つ目として、廃炉に関連する産業集積を進めていくための人材育成について、どのように取り組むのか伺います。

【答弁】行政経営部長
 本市では、昨年8月20日に、福島工業高等専門学校が実施する「廃炉に関する基盤研究を通じた人材育成プログラム」が文部科学省から採択され、現在、事業可能性調査を実施しており、来年度の本採択に向けた検討が進められているほか、廃炉を進めて行くうえでの司令塔ともいうべき独立行政法人日本原子力研究開発機構、いわゆるJAEAの事務機能が、本年4月に本市に移転する運びとなったところであります。これを契機として、さる2月9日には、市、いわき商工会議所及びJAEAの三者による東京電力福島第一原子力発電所の廃止措置及びいわき市における環境回復に向けた取組みに係る連携協力について合意が図られ、この中には、人材の育成に関する項目が位置付けられるなど、本市における廃炉に向けた人材育成の基盤が構築されつつあります。廃炉作業は、40年程度の期間がかかると言われており、それを支える人材を育成することが必要不可欠でありますことから、これらの関係機関と連携を図りながら、廃炉に関する人材育成に取り組んでまいりたいと考えております。

 本来、この構想に連動して、関連する市内企業が本事業に係り、市内産業がより活性化してプラスの経済効果を生む環境づくりが理想であると思います。また同様に、廃炉関連での専門性を有する企業を、いわき市外から誘致することも大変重要なことです。しかしながら、その受け皿となる市内15の工業団地については、すでに98パーセント。その大部分が埋まっている状態であると聞いております。そのような観点からも、企業誘致を積極的に図るために、新たな工業団地の造成が必要となります。
 まずは、廃炉関連企業のための工業団地候補地として、福島県が今般、復興団地としての拠点化を目指している「いわき四倉中核工業団地・第2期区域」を、本市も一緒に、連携しながら拡張造成していくことが最優先であると考えます。原子力発電所などへの交通アクセスの利便性なども考慮すれば、北部の産業拠点と大きな期待を持つところです。
 しかし、「いわき四倉中核工業団地・第2期区域」の造成後には、震災後、別の場所に避難をしていた双葉地区の事業所などが、地元に近い「四倉」に進出を考えることも予想されます。そのようなことも考えれば、今後、首都圏や小名浜港などからの、増大する物流の動向などを予測検討して、常磐自動車道磐越自動車道小名浜道路へのアクセスを考慮した、「四倉」に次ぐ新たな工業団地造成をも、視野に入れていかなければならないものと考えます。
 3つ目として、産業集積を図るための工業団地の確保についてはどのように考えているのか伺います。

【答弁】商工観光部長
 震災発生以降、本市の工業団地におきましては、仮設施設の設置や、企業による土地取得もあり、活用可能な用地は極めて少ない状況にあります。
 そのため、市といたしましては、市内の未利用地等の情報を収集し、問い合わせいただいた際に、適宜、情報提供するなどの対応を行うとともに、県が復興のために必要な産業基盤として整備を決定した、いわき四倉中核工業団地第2期区域の早期造成を強く要望してきたところであります。
 このような状況の中、今般、県は、平成27年度から当該団地の整備に着手する方針を示したところでありますが、分譲開始に向けて取り組むべき事項も多いことから、市といたしましては、まずは、当該団地の整備が着実に進展し、早期の分譲が開始されるよう、引き続き、県に対し、働きかけを行ってまいりたいと考えております。

 復興事業として常磐自動車道全線開通や国道6号久ノ浜バイパスの整備が進展し、産業集積の拠点としての「いわき四倉中核工業団地」が果たす役割は、イノベーション・コースト構想の観点からも大きな一歩となります。
 そこで、関連する基幹道路への交通アクセス整備も大変重要な問題です。四倉工業団地へ続く都市計画道路「栗木作・小山田線」などの整備も必要不可欠な事業です。この道路整備についても県としっかり協議を行い、市単独整備ではなく、県と市が応分の負担で事業を進めていただくことを要望します。次に移ります。

(3) 3点目の質問は、「研究開発機関などの誘致に関連する取り組みについて」です。
原子力の分野は特殊な知識や技能を有する分野であることから、専門の研究開発機関を誘致し、これらの機関と連携した事業の展開も必要ではないかと考えます。その意味では、去る1月6日にプレスリリースされた「独立行政法人日本原子力研究開発機構(JAEA)」が、本年4月から本市に事務所を開設することは、大変喜ばしいことだと思っております。そこで、廃炉に関連する人材育成など、1つ目、これからJAEAとどのような連携を図っていくのか伺います。

【答弁】行政経営部長
 先程申し上げた通り、いわき市、いわき商工会議所、及びJAEAの三者により、福島第一原発の廃止措置及び本市における環境回復に向けた取組みに係る連携協力について、合意が図られたところであります。今後におきましては、この連携協力に基づき、市や商工会議所などが主催するセミナーや市内教育機関などが実施するキャリア教育におけるJAEAの講師派遣や、市内企業に対するJAEAの研究開発成果の活用の促進など、三者が有する私的資源、人的資源、物的資源などを有効活用した人材育成、産学官連携などを行うことにより、福島第一原発の廃止措置及び本市における環境回復に向けた活動を、より一層、加速して参りたいと考えております。

 次に、今後も本市に企業や研究開発機関などを誘致してくるためには、市内はもとより市外へのさらなるアクセス性向上といった交通基盤の充実が必要になると思います。2つ目として交通基盤に関する取り組みについて伺います。

【答弁】土木部長
 交通基盤に関する取り組みにつきましては、現在、常磐自動車道や国道6号常磐バイパスおよび久之浜バイパス、さらには、小名浜港の物流拠点などとしての機能を高めるための小名浜道路の整備が進められておりますが、去る3月1日には、常磐自動車道が全線開通を迎え、国道6号久之浜バイパスにおきましても、平成27年度の供用が予定されるなど、順調に進展しているものと考えております。今後におきましても、引き続き、主要都市とのアクセスを強化するため、常磐自動車道の4車線化や小名浜道路の早期整備、国道6号勿来バイパスの新規事業化など、交通基盤の核となる主要幹線道路の事業促進について、国や県などの関係機関に対して、鋭意働きかけをして参りたいと考えております。

 今後、さらなる物流や流入人口増加を図るためにも、常磐自動車道の4車線化を推進させることや、国内・外から、多くのエネルギー関連資材や物資が入ることが予想される、拠点港湾小名浜港を最大限に活用するため、小名浜道路の早期完成を実現させることによって、本市への産業集積が一層前に進むものと思います。引き続きのご努力をお願いして、次に移ります。

(4) 4点目の質問は、「本構想のうち、廃炉関連の機能配置における双葉郡8町村との連携について」です。
 本構想に位置付けられた廃炉に関する国際産学連携拠点の形成には、双葉郡8町村と連携を図りながら、本市の優位性も考慮した、廃炉関連施設の配置が重要になると考えます。そこで、すでにモックアップセンター施設の立地が決まっている楢葉町(ならはまち)などをはじめ、
 本市と隣接する双葉郡8町村と今後、廃炉関連の機能配置について本市としてどのように連携を図っていくのか伺います。

【答弁】市長
 JAEAでは、廃炉に関する技術基盤を確立するため、遠隔操作機器・装置の実証試験を行う「モックアップセンター」を楢葉町に、放射性物質の分析・研究を行う施設を福島第一原子力発電所の近傍に整備することとしております。また、JAEAが行う福島地区における諸活動の、より効果的な推進を図るとともに、茨城地区や今後整備される施設との連絡の利便性を勘案し、東京に設置しているJAEAの事務機能が、本年4月に移転する運びとなったところであります。このようなことから、市といたしましては、基本的な考え方として、廃炉に直接関連する機能については福島第一原子力発電所の近傍地に、それを支える人材育成や研究開発に関連する機能については、地理的特性や都市基盤が整っている「ゲートウェイ」の本市が担うことになるものと認識しております。加えて、国の構想の具現化に向けては、本市と双葉郡8町村が連携し、役割分担をしながら浜通り全体としての発展を目指していくことが肝要であると考えております。

 すべての機能配置について、双葉郡8町村と一斉に手を挙げて競い合う関係ではなく、それぞれの自治体が持つ特徴を、うまく活かす調整して、役割分担をしていただきたいと思います。関係する自治体が、持ち味を生かしながら連携をして、国に対し、個別具体なプレゼンテーションを仕掛けていくことが大切です。
この構想を、時間の経過とともに風化させることなく、浜通り全体の復興をさらに加速させるためにも、重要プロジェクトである「イノベーション・コースト構想」の早期実現へ、引き続きのご努力をお願いするところです。

 それでは、丁寧な答弁に心より感謝し、私の質問を終わらせていただきます。ご静聴ありがとうございました。