10月24日水曜日
早いもので、活動報告の発行も16号を迎えました。
市議会の定例会は基本的に年4回開催され、
私は毎年2月と9月に登壇を予定しております。
今回は、9月定例会の一般質問での内容について、
また、地域で進んでいるインフラ整備の情報などを
地域の皆様に、市議会議員の説明責任として
ご報告をさせていただいております。
まだまだ、やらなければならないことはたくさんありますが、
ひとつひとつ誠意をもって、着実に進めていこうと思っています。
平成30年9月定例会 一般質問開始です。 1番目で登壇いたしました。
初めに、6日未明、「平成30年北海道胆振東部地震」により、道内において甚大な被害が発生いたしました。お亡くなりになられた方々に対し、衷心よりお悔やみを申し上げます。
また、被災された方々にお見舞い申し上げ、一日も早い復旧・復興を心よりお祈り申し上げます
通告順に従いまして、市政一般について質問をいたします。
1新たな市総合計画策定の考え方について
大きな質問の1番目は、「新たな市総合計画策定の考え方について」であります。
2000年の4月、乗組員36万人のいわき市民を載せた「いわき丸」は、「創りたい ゆたかな明日、伝えたい 誇れるいわき」というキャッチフレーズの下、新・いわき市総合計画「ふるさと・いわき21プラン」という航海図を胸に、20年の長い旅に出ました。その間、東日本大震災など想定を超える出来事に遭遇しながらも、力強く「めざすべき島」に向かって航海を続けております。
そして20年の旅も残り1年余りとなった現在、第6次となる「新たな市総合計画」を策定する準備を既に進めているものと思います。
そこで、これまでの現行計画を検証し、より良い「第6次市総合計画」が実行できるよう、本市の考え方について質問していきたいと思います。
(1)1点目は、「現行計画(第5次総合計画)策定時の考え方について」です。
現行計画の新・いわき市総合計画「ふるさと・いわき21プラン」は、市総合計画審議会委員、市議会、市民代表、庁内ワーキングメンバーなど、多くの皆様がひとつひとつ意見を積み上げながら、20年間を確実に運営していくために、約2年にわたって綿密に練り上げた計画でありました。
現行計画策定当時の四家啓助市長は、挨拶文で、20年という長い時間のなか、地域を経営する視点に立ちながら、市民の皆様「ひとりひとりが主役」となり、「地域を舞台」に生き生きと活動できるための「自治」の仕組みづくりや「成果」を重視した行財政運営を進めるとともに、「いわきに生まれ、育っていく人々のライフステージ」をテーマに「重点戦略プログラム」を設定して、市民の皆様の健康で充実した日々の暮らしの確保に向け、市民の皆様と情報を共有するとともに、しっかりとした説明責任を果たしながら、各種の施策を効率的かつ効果的に実施していきたいと書いておられます。
さらに、当時の時代を反映した多岐にわたる施策が提示されておりますことから、1つ目として、
2000年に発表されたア.現行計画策定当時の背景について伺います。
【答弁】総合政策部長 現行の第5次市総合計画は、平成10年度から平成12年度まで、その策定作業に取組んだところであり、当時は、21世紀を迎えようとする時期に、社会経済の様々な分野において、従来の制度や仕組みの大胆な改革、価値観の転換が求められていた状況にありました。
特に、本市を取り巻く社会経済情勢については、低成長経済の到来、少子・高齢化の急速な進展、地球規模での環境問題の進行などに加え、中核市への移行、中心市街地の空洞化など、第4次市総合計画を策定した平成4年度の状況と比較して著しい変化が生じ、これに伴い、様々な分野において、新たな対応が求められていたものととらえております。
そのような背景のもとで現行計画は進められましたが、
2つ目としてイ.現行計画における基本的な考え方について伺います。
【答弁】総合政策部長 現行計画におきましては、只今ご答弁申し上げた時代背景等を踏まえまして、市を取り巻く情勢の変化が著しく、先行きが不透明な状況の中で、時代が変わっても市民一人一人が豊かさを実感できるまちをつくること、さらには、自然や歴史を磨き上げ、将来の世代へと引き継ぐことをまちづくりの底流に置くべき姿勢として掲げたところであります。
また、このような「生活者起点」、「将来世代への責任」という姿勢を大切にしたまちづくりを進めることにより、「循環を基調とした、持続可能なまち」、「誰もが安全に、安心して暮らせるまち」、「活力に満ち、創造力あふれるまち」という、3つの「いわき」の姿を目指していくこととしたところであります。
あらためて、目指してきた目標が分かりました。
次に、(2) 2点目は、「現行計画策定後の状況変化について」です。
現行計画実施中の2011年3月に東日本大震災が発災するなど20年の間にいろいろな状況の変化はあったものと思いますので、そこで1つ目として、
ア.現行計画策定後の総合計画を取り巻く状況の変化について伺います。
【答弁】総合政策部長 現行総合計画策定後の状況の変化につきましては、大きく4点ほどあるものと認識しております。
まず、1つとして、平成23年3月に東日本大震災が発生し、甚大な被害が発生したことや、双葉郡等から多くの方々が本市に避難されてきたことが挙げられます。
2つとして、平成23年の地方自治法改正に伴い、総合計画基本構想の策定を義務付ける条文が削除されたことが挙げられます。
3つとして、本格的な人口減少時代の到来などを背景とした国の動向等を踏まえ、平成27年度に「いわき創生総合戦略」を策定し、また、平成28年度に「市公共施設総合管理計画」を策定いたしましたが、総合計画以外に、このような市の政策広範にわたる計画が必要とされてきたことなどが挙げられます。
さらには、4つとして、平成29年3月に、「市以和貴まちづくり基本条例」を制定し、総合計画の中で位置づけていたまちづくりの仕組みに関して、共創のまちづくりといった基本原則を条例で明らかにしたことが挙げられるところであります。
只今の状況変化を踏まえ、総合計画と関連する各種計画の実施により、全体の進路は大きく舵を切ることなく前に進んでいるものと考えますが、
2つ目として、イ.状況変化を踏まえた現時点での現行計画の総括について本市の考えを伺います。
【答弁】総合政策部長 現行計画の「基本構想」に掲げる、目指していく3つの「いわき」の姿などを具現化するための施策等を位置付けた「基本計画」については、5年ごとに見直ししてきたほか、「基本計画」の施策等に即した事業等を位置づけた「実施計画」については、毎年度、見直し作業を行いながら、東日本大震災の影響や社会経済情勢の変化などにも適切に対応してきたところであります。
具体的には、「基本計画」の重点戦略に「復興」や「いわき創生総合戦略」の内容を位置づけ、併せて、関連事業についても適宜、「実施計画」に反映させながら、被災者の生活再建をはじめとした復旧・復興を最優先に取り組んできたことや、人口減少の進行に歯止めをかけ、将来にわたるまちの活力の維持に努めてきていることなど、これまで、さまざまな状況の変化に柔軟に対応し、現行総合計画の推進に、意を用いてきたところであります。
復旧・復興を最優先に進めることで、東日本大震災からの影響や社会経済情勢の変化にも十分対応することができたものと思います。
(3) 3点目は、「次期総合計画策定に向けた取組みについて」です。
さて、2020年からの「新たな市総合計画」では、これまでと大きく異なり、地方自治法が改正されたことにより、総合計画基本構想の策定義務が削除されました。それにより必ずしも総合計画を作らなくてもよいとされ、その選択は地方自治体に任されることとなりました。これは今後のいわき市のかじ取りにとっても、大変大きな変更点であります。そこでこのことについて、どのように考えているのか、1つ目、ア.地方自治法改正後における総合計画の意義について本市の見解を伺います。
【答弁】総合政策部長 地方自治法改正により、総合計画基本構想の策定義務が削除されたことにつきましては、地方分権改革の仕組みの中で、国から地方への義務付けの見直しの一環として行われたものであり、市町村の自主性が尊重されるという意義があるものと受け止めております。
一方、これまでの総合計画に位置付けられていた、将来の「いわき」の姿や基本的なまちづくりの姿勢など、長期的な視点に立った目標や方向性は、さまざまな分野の施策領域を横断的につなぐ役割を果たすとともに、部門別計画等の内容や規模・時期答を、事業効果や必要性、緊急性などの観点から調整する役割を果たしているものと認識しております。
また、長期的な目標や方向性を市民の皆様と共有することが、まさに共創のまちづくりの推進につながることから、市といたしましては、総合計画基本構想の策定義務はなくなったものの、現時点では、同様の役割を担う枠組みは引き続き必要であると考えております。
市総合計画は、基本構想・基本計画・実施計画の3層建ての構造になっています。引き続き、現行の総合計画の流れを継承しながら進めて行く場合、状況変化によって、これまでに進められている計画との連携を保つ必要があるものと考えます。
震災後には、総合計画策定当初に想定していなかったような対応が求められることもありましたが、2つ目として、イ.すでに進んでいる各種計画との整合性についてはどのように考えているのか伺います。
【答弁】総合政策部長 次期総合計画は、本市を取り巻く課題を様々な角度から分析して策定する考えでありますが、人口減少や少子高齢化の流れが続いており、その対策などが極めて重要な課題になるものと認識しております。
一方、「いわき創生総合戦略」や、現在策定中の「市都市計画マスタープラン」につきましては、人口減少や少子高齢化への対応を主眼としてとらえているものであることから、その根底に置くべき基本的な考え方や方向性等については、次期総合計画と共通するものと認識しております。
3つ目として、ウ.次期計画策定にあたっての現時点における策定のポイントについて伺います。
【答弁】市長 次期総合計画の策定にあたりましては、「いわき創生総合戦略」や「市公共施設等総合管理計画」、「市以和貴まちづくり基本条例」など、市の政策広範にわたる既存の計画や条例などの内容・枠組みを尊重し、長期的な視点に立った目標や方向性を整理して参りたいと考えております。
一方、こうした長期的な目標等を踏まえながらも、環境変化が著しい中で、市民ニーズやまちづくりの諸課題に対し、緊急性・重要性等を踏まえながら、機動的に政策効果の高い事業推進が図れるよう、柔軟な計画の構成等を検討して参りたいと考えております。
また、今後、市民の皆様と市がまちづくりの諸課題について認識を共有し、ともに地域課題の解決と創造に取り組むという「共創のまちづくり」の視点がより重要性を増すと認識していることから、目標や進捗状況などを市民の皆様と相互に共有しながら、計画を推進して参りたいと考えております。
人口増加の基調にあった、第4次以前の総合計画においては、人口の数値目標の設定をして計画の進捗を数値化し、はっきりとした形で表したこともありました。次期総合計画の策定にあたっては、どのような構成・段取りで進めて行くのか、4つ目としてエ.次期総合計画策定のスケジュールについて伺います。
【答弁】市長 次期総合計画策定のスケジュールにつきましては、今年度は、計画の期間や構成などを整理するとともに、各界各層の市民の皆様から構成される市総合計画審議会を設置し、現行計画の総括や重要課題の抽出を行う予定であります。
また、次年度となる2019年度からは、具体的な詳細検討を行い、現行計画の期限である2020年度までには、次期総合計画を決定することを目指し、鋭意、策定作業を進めて参りたいと考えております。
より多くの意見を積み重ねながら、次期総合計画の策定に努めていただきたいと思います。そのためには、市民の皆様と市がこれからの課題について共通の認識を持つことが大切であり、市民の皆様の代弁者である市議会との連携も大切と考えます。そこで5つ目は、オ. 市民の皆様からの意見・提言についてはどのように総合計画に反映させていくのか伺います。
【答弁】市長 次期総合計画の策定にあたりましては、様々な機会を捉え、多様な手法を用いて、市民の皆様の幅広い参画を得ながら策定作業を進めて参りたいと考えております。
具体的には、市総合計画審議会における審議や、市民の皆様を対象としたまちづくりに関する意識調査を実施して参りたいと考えております。
また、次世代を担う若年層をはじめとして様々な年代の方々や各種活動を行っている団体へのヒアリングのほか、広報紙や市公式ホームページ、SNS等、多様な媒体を通じた意見募集などにより、広く市民の皆様のご意見を伺うとともに、市議会の皆様とも意見交換を行いながら、市内の多様な主体が次期総合計画の策定作業に参画できるよう、意を用いて参りたいと考えております。
現行計画についての検証をしっかりと行い、総括することで次期総合計画がより現実的なものとなると考えます。
野村総研が昨年発表したランキングによる都市の持つ「成長可能性」の可視化では、いわき市を含む100都市を分析しランキングを出しています。その評価の基準として、「風土」・「基盤(インフラ)」・「環境」という、3つの大項目があり、「風土」では、多様性を受け入れることや創業・イノベーションを促す取組みなど、「基盤」では、多様な産業が根付く基盤や人材の充実・多様性。「環境」では、都市の暮らしやすさや都市の持つ魅力などがランキングの評価項目となっています。残念ながらいわき市はどの項目においてもランクインしておらず、ぜひ、次の総合計画を実施する中で、ランクインを目指していくべきであると考えます。 本市最上位と位置付けられている総合計画は、「いわき丸」の進むべき航路について、この方向にこの方法で進んでいこうという強いメッセージが込められていなければならないと私は思います。市民の皆様に対して、到達目標の数値化や中間目標の設定など、理解と共感が得られるような計画づくりをお願いいたします。多くの皆様の知恵と汗を結集し、より良い「いわき市」が実現できるよう一層のご尽力をお願いいたします。
2 水稲の放射性物質の吸収抑制対策について
大きな質問の2番目は、「水稲の放射性物質の吸収抑制対策について」であります。
新聞などの報道によりますと、福島県では、食品衛生管理の国際基準HACCP(ハサップ)に、放射性物質対策の視点を組み込んだ「福島県版ハサップ」を作り、次年度から運用を始めるとのことであります。
既に、昨年度から実施しております、福島県独自の農産物の安全認証制度である「ふくしま県GAP(FGAP)」の取組み項目につきましても、放射性物質対策が盛り込まれていることから、いわき産を含む福島県産農作物の安全性を広く取引先や消費者の皆様に伝える重要な取組みと認識をしているところです。この放射性物質対策の一つとして、本市では、平成24年度より、放射性物質の吸収を抑制する「水稲の放射性物質の吸収抑制対策」を実施しておりますが、
(1)1点目は、「吸収抑制対策事業の実績について」です。
初めに、吸収抑制対策事業のこれまでの実績について何点か伺います。
まず1つ目は、ア.放射性物質の吸収抑制対策事業の目的について伺います。
【答弁】農林水産部長 本事業は、東京電力福島第一原子力発電所の事故により、土壌に蓄積した放射性物質の水稲への移行を低減させるため、福島県農業総合センター等における試験研究により明らかとなりました、塩化カリ及び粒状パームアッシュエム等のカリ質肥料をほ場に施用することにより、土壌に蓄積した放射性セシウムの水稲への吸収を抑制することを目的としております。
次に、2つ目として、イ.直近3か年の実績はどのようなものか伺います。
【答弁】農林水産部長 直近3か年の実績につきまして、対象農家数、20㎏入りカリ質肥料配布数、施用面積の順に申し上げますと、平成27年度が5,620戸、41,766袋、4,147ha。平成28年度が5,367戸、39,710袋、4,083ha。平成29年度が5,135戸、42,754袋、4,107haとなっております。
いわき市産のお米の安全・安心そして、信頼回復を図るために、7年もの長期にわたり、吸収抑制対策事業を地道に実施している生産者の皆様には、本当に頭の下がる思いをいたします。このように毎年、継続して放射性物質の吸収抑制対策を実施しておりますが、この事業実施の効果について検証を行う必要があると考えます。
そこで、(2)2点目は、「事業実施の効果について」であります。
まず1つ目として、ア.カリ質肥料の施用効果について伺います。
【答弁】農林水産部長 県内におきましては、平成24年度からのカリ質肥料の施用後、全量全袋検査による基準超過件数は年々減少し、27年3産米以降、これまで3年連続で発生していないことから、その施用効果は高いものと考えております。
本市ではカリ質肥料を施用したことにより、市内の平成29年産米の全量全袋検査では、食品中の放射性セシウムの基準値(100ベクレル/kg)を超える米はなく、すべてが測定の下限値未満であったと聞いております。平成24年からの経過を見ますと、米のセシウム濃度は確実に低減しております。
その様な結果を受け、今年度については、塩化カリ施用を控えた場合と引き続き塩化カリを施用した場合の吸収抑制効果の比較について調査するカリ卒試験を実施するとのことでありますが、
2つ目として今年度行うとした、イ.カリ卒試験の実施内容について伺います。
【答弁】農林水産部長 福島県営農再開支援事業効果の検証、いわゆる「カリ卒試験」の実施内容につきましては、平成29年産米の全量全袋検査において、本市の全ての米が測定下限値未満であったことから、今年度、福島県営農再開支援事業実施要綱に基づき、カリ卒試験を受検することとなりました。
カリ卒試験は、市内の北部、南部及び山間部の3か所に、カリ質肥料を施用したほ場と施用しないほ場を隣接して設置し、水稲の放射性濃度をそれぞれ測定することにより事業効果を検証するものですが、当該ほ場の玄米及び全量全袋検査による全ての本市産米が測定下限値未満であった場合に、次年度以降は、放射性物質の吸収抑制対策としてのカリ質肥料の施用が不要となるものです。
生産者の皆様そして消費者の皆様にとっても、その結果が待たれるところであると思います。
(3)3点目は、「今後の方向性について」であります。
今年度、カリ卒試験を実施中とのことであり、カリ卒試験で全ての本市産米が測定下限値未満、いわゆるカリ卒試験合格となれば、カリ質肥料の施用が不要となることがわかりました。そこで万が一、カリ卒試験不合格の場合、本市としては今後どのように対応していくのか気になるところです。その方向性について、1つ目として、ア.カリ卒試験後の本市対応について伺います。
【答弁】農林水産部長 カリ卒試験後の本市対応につきましては、当該試験により、測定下限値である1㎏当たり25㏃を超過した米があった場合、いわゆるカリ卒試験に不合格だった場合には、次年度以降、引き続き、カリ質肥料の施用による放射性物質の吸収抑制対策を実施することとなります。
次に2つ目として、いわき市産米の安全性の確保と消費者の信頼確保を図るために実施しているイ.米の全量全袋検査について考え方を伺います。
【答弁】農林水産部長 米の全量全袋検査につきましては、県主導のもと、本市におきましては、いわき地域の恵み安全対策協議会が主体となり、平成24年度から市内で生産された全ての米を対象に、スクリーニング検査を実施してきたところであります。
県内では、平成27年度産米から3年間、基準値を超えた米が出ていないことから、県におきましては避難指示のあった区域を除き、「通算5年間、基準値超過がない時点を目途に、抽出によるモニタリング検査に移行する」としており、最短で、平成32年度から抽出検査へ移行することとなります。 市といたしましても、県の考え方を踏まえ、関係機関や団体、そして生産者の方々と連携を図りながら、安全かつ安心な米の生産に努めてまいりたいと考えております。
次に、カリ卒試験による卒業、米の全量全袋検査から抽出検査へ移行する場合、市民の皆様に対し、情報の発信をして理解をいただくことは、非常に重要であると認識しているところであります。そこで3つ目として、ウ.市民の皆様への周知方法について伺います。
【答弁】農林水産部長 カリ質肥料の施用終了及び全量全袋検査から抽出モニタリング検査への移行に関する情報につきましては、会議の開催や農事組合の回覧などにより、生産者等に対する周知を図るとともに、消費者に対しましても、今後の検査結果に応じて、随時、チラシやポスター、広報誌やインターネット等の媒体を活用し、周知を図って参りたいと考えております。
市といたしましては、県や生産者をはじめ、関係機関や団体との連携を図りながら、特に消費者の皆様に対し、セミナーの開催などを通じ、安全性のPRも踏まえたいわき産米に関する丁寧かつ正確な情報発信に努めて参りたいと考えております。
これらの取組みにつきましては、様々な情報媒体を通じて周知することにより、市民の皆様に対し、理解を深めていただき、併せて風評払拭に向け、これまで以上に、精力的に努力していただくようお願いいたします。
3 震災後の道路維持管理事業について
3番目の質問は、「震災後の道路維持管理事業について」であります。
まず、(1)1点目は、「震災復興・生活道路再生事業について」です。
私は、平成28年7月定例会の一般質問において、震災から5年を経過した中で、新規事業として震災復興・生活道路再生事業が実施されることを受け、その実施内容等について質問させていただきました。
震災復興・生活道路再生事業の目的は、地域に密着した生活道路である市道が、東日本大震災の影響は勿論、復興や除染に関連した工事関係車両等による交通量の増加に伴って、路面舗装の破損や凸凹などが著しく、緊急な対策が必要な市道について、歩行者や通行車両が安全・安心に通行できるように実施するものと伺いました。
平成28年度から平成30年度までの3年の間に、既存の舗装面の上に新たな舗装の層を重ねる工法である「オーバーレイ工法」や舗装部分が破損した路面を全部または一部取り除き新しく舗装を施工する「打換え工法」等の舗装補修工事や、側溝等の小規模な道路構造物の維持補修工事が、重点的かつ集中的に実施されております。しかし、本年度が本事業の区切りとなりますことから、実績等についてあらためて質問をしていきたいと思います。
1つ目として、ア.平成28年度からの施工の実績について伺います。
【答弁】土木部長 本事業につきましては、平成28年度から30年度までの3か年、年間6億円の予算で、舗装補修工事等を実施しており、その実績につきましては、施工延長で、平成28年度は60路線 8,934m、平成29年度は57路線 8,509mとなっております。
なお、本年度は55路線 約8,000mの補修工事等を予定しております。
本市市道の管理については、通常道路パトロールによって日常的にチェックを行っており、さらに、市民の皆様からの情報提供も大変重要であることから、路面や側溝の不具合を直接報告できる道路通報サービスも、平成28年度より開始いたしました。
しかしながら、市道の総延長が約3,620キロメートルもあり、54ある中核市の中でも5番目の総延長となっており、進捗の状況は、市民の皆様の目に留まりにくいところであると考えます。
そこで2つ目として、イ.事業を実施しての課題について伺います。
【答弁】土木部長 課題につきましては、事業期間中、生活道路などの市道について、重点的かつ集中的に舗装補修工事等を実施したことにより、一定の成果が表れてきたところでありますが、労務単価や資材価格の上昇の影響により、当初計画の内未施工となった箇所があること、また、その後の路面等の経年劣化や復旧・復興事業に伴う大型車両の増加による、新たな路面破損個所が発生したことなどであります。
本事業を実施し、課題が2点出たとのことですが、
そこで3つ目として、ウ.課題解消に向けた今後の考え方を伺います。
【答弁】土木部長 当該事業は本年度で終了予定でありますが、道路交通の安全確保と円滑化を図り、将来に渡る快適な道路空間を維持するため、今後につきましても、舗装補修工事等を実施する維持補修予算の継続的な確保に努めて参りたいと考えております。
本市は、この事業に対する予算を毎年、舗装補修工事分約4億7000万円、維持補修工事分として約1億3000万円の合計6億円を計上しておりますが、課題解消に向けて取り組んで行くためには、この3年で完全に完了とすることは非常に難しいと考えます。
私たちの地域においては、地区要望書の中に必ず、生活に密着した市道の道路補修・修繕関連の要望が入ってきます。これからも市内各地域から要望は続くものと予測できるところですので、この事業自体は今年度で完了となりますが、引続き、同規模の生活道路補修関係事業を実施していただくことを強く要望いたします。 また、震災復興・生活道路再生事業については、全体の土木関連予算の中からこの事業に割り振られていますことから、その分、別の土木事業に影響が出る可能性もあります。ぜひ、道路補修関係事業に対しては、別建てでの独立した予算の確保を重ねて要望したいと思います。
次に、(2)2点目は、「道路ストック総点検事業について」であります。
我が国の国民経済全体の基盤として、毎年の公共投資によって作られてきた「道路,港湾,下水道,公園,通信,空港,ダム」など、社会的間接資本の蓄積であります社会資本ストックは、高度経済成長期と言われた1950年代の半ば頃から集中的に整備がなされてきました。しかし、当時建設された各種インフラ施設は、50年以上経過した現在、経年劣化が進んでおり、今後急速に老朽化することが懸念されています。
インフラ施設の老朽化が原因と思われる事象としては、2012年12月に起きた中央自動車道笹子トンネルの天井板崩落事故があります。トンネル内の天井と鋼板を繋ぐつり金具のアンカーボルトの脱落や緩みなどの不具合が事故後の検査で確認されたとのことでありました。
さらに先月14日には、イタリアのジェノバで1967年完成の高架橋崩落事故が発生し、テレビ画面に崩落の瞬間が映し出されて大変衝撃を受けたところです。
このように、生活に直結するインフラの損傷は人命にかかわる重要な問題でありますことから早急な対応が求められております。
そこで、本年度実施されます「道路ストック総点検事業」の内容について、伺っていきたいと思います。
まず1つ目として、本市のア.道路ストック総点検の目的について伺います。
【答弁】土木部長 本市におきましては、高度経済成長期前後に整備された道路施設の老朽化が急速に進行していくなか、トンネル等からの部材落下や、道路照明などの倒壊等の事故を未然に防止するため、道路施設の損傷状況を把握することを目的に、当該点検を行うものであります。
次に、具体的に点検を行う施設にはどのような道路構造物があるのか
2つ目として、イ.点検の対象となる施設について伺います。
【答弁】土木部長 点検対象施設につきましては、トンネル、立体横断施設等の重要構造物や、コンクリート擁壁、道路照明などの小規模付属物であります。
なお、道路橋につきましては、これらに先駆け、平成20年度から点検に着手しているところでございます。
対象施設の中には、劣化や損傷の状態が不明な施設があることも予想しなければならないと思います。さらには道路構造物それぞれが、現在までの利用状況など、経過が違っており、早急なインフラ状態の確実な把握が求められます。そこで3つ目として、ウ.本年度、点検をする施設について伺います。
【答弁】土木部長 本年度行う点検施設につきましては、対象施設のうち、重要構造物の全てとなる小名浜下神白地内の「三崎トンネル」ほか8箇所のトンネル、中央台飯野地内の「飯野1号歩道橋」ほか8橋の横断歩道、内郷高坂町地内の「高坂こ道橋」ほか3箇所の大型カルバート、及び旧国道49号「御台境交差点 門型標識」ほか11基の門型標識を予定しております。
特に人命にかかわると思われる施設については、最優先で点検を実施することをお願いいたします。
次に4つ目として、エ.対象となる施設に対しての点検方法について伺います。
【答弁】土木部長 点検方法につきましては、国が定めた「道路トンネル定期点検要領」など道路施設ごとの点検要領に基づき、近接目視を基本とし、点検対象箇所の状況に応じて、打音検査や地中レーダ等の機器を用いた点検により、コンクリートのひび割れ状況や、鋼製部材の腐食等の異常の有無を確認し、点検記録のデータベース化を行うこととしております。
近接目視・打音検査等の方法によって点検が実施されるとのことですが、本市の対象施設は大変多いと思われます。今後も継続されますので、安定的な予算確保のために、ドローン等のロボット技術を活用した点検方法が確立した場合には、積極的に導入を図りながら、現場コストの縮減・省力化も視野に入れてほしいと考えます。そこで5つ目として、
オ.今後の道路ストック総点検事業の進め方について伺います。
【答弁】土木部長 今後の事業の進め方につきましては、平成31年度に、本年度点検のトンネル等の重要構造物について、長寿命化修繕計画の策定を行うこととしております。
平成32年度以降は、国の補助制度を活用し、当該計画に基づいた補修工事を実施するとともに、5年間を1サイクルとして、重要構造物、小規模付属物の点検を4年間で実施し、5年目に当該計画の更新を行うことを継続することにより、将来にわたる道路交通ネットワークの安全性と信頼性の確保に努めて参りたいと考えております。
市民の皆様が、安心して道路インフラを利用し続けることができるように、総点検事業を通して適切な点検を行うこと。そして点検結果を基に優先順位を定めて、補修工事を実施するよう要望して、次に移ります。
4 小・中学校の安全な教育環境整備について
大きな質問の4番目は、「小・中学校の安全な教育環境整備について」であります。
まず、(1)1点目は、「熱中症の対策について」です。
今年の夏の暑さは、気象庁が「命に危険を及ぼすレベルで災害」との認識を示すほどの、猛暑・酷暑でありました。児童・生徒が熱中症にならないように屋外・屋内の活動を制限させる動きも広がりました。埼玉県の戸田市教育委員会では、夏季休業中、市内の最高気温が35度以上と予想された場合に、小・中学校での屋外活動を全面禁止することを決めました。気温が基準を下回った場合においても、注意しながら活動するよう求め、体調を崩した児童生徒が「大丈夫」と言っても休ませるなど、慎重に対応することを呼びかけました。熱中症のリスクがある時は、活動を望む声がある場合においても、「勇気を持って活動中止」してほしいとの考えを示しました。
このような高気温傾向は、今後数年間にわたり世界的規模で起こりうるとの予測が示されているところであり、本市においても、これまでにも増して安全な教育環境の充実のためにあらゆる対策を講じていく必要があるものと考えます。
そのような中、菅官房長官は、7月24日の記者会見で、全国各地で記録的な猛暑が続いていることを受け、「小・中学校に関する暑さ対策の1つとして、夏休み期間の延長と児童・生徒の安全・健康を守るための猛暑対策は喫緊の課題であり、学校へのクーラー設置を支援していく必要は当然ある」と話し、財源に関しては、「来年のこの時期に間に合うように対処したい」との考えを示しました。
さらに政府は、来年夏までにすべての公立小・中学校にクーラーを設置するため、秋の臨時国会への平成30年度補正予算案の提出を想定して、予算措置を図る方針を固めたとの新聞報道がありました。
このような流れの中、本市においては、小・中学校が105校あることや、市域が広いことで、教室内の温度に差が出ることも予測されるため、国からの支援が決まれば、導入に向けての計画的な判断が必要となっていくものと考えます。そこで、エアコン設置について、本市の基本的な考えについて伺っていきたいと思います。
まず1つ目として、市内小・中学校に対するエアコンの設置については、これまで定例会等の中で取り上げられることもありましたが、
ア.エアコン設置に関するこれまでの本市の考え方について伺います。
【答弁】教育部長 市教育委員会といたしましては、これまで、すべての公立小・中学校の保健室にエアコンを設置し、その活用状況を注視してきたところであります。
また、熱中症対策としましては、各学校におきまして、日ごろから窓の開放や、各教室に設置された扇風機の活用により、室内の風通しを良くするとともに、児童・生徒に水筒等を持参させ、適宜、水分補給を行わせるなどの対応をしてきたところであります。
現状では、本市独自で全105校にエアコンを設置するということは、困難であることは理解をしているところであります。
福島県内においても、それぞれの自治体により公立小・中学校の数や立地の条件等によって、設置状況は変わってくるものと思いますので、県内各市の状況はどのようになっているのか、2つ目として、
イ.小・中学校における普通教室のエアコン設置の現状を伺います。
【答弁】教育部長 県内13市の中で、公立小・中学校の普通教室にエアコンを設置及び計画している市は、現在のところ、10市となっておりますが、エアコンが設置されていない市は、本市のほか、会津若松市、喜多方市の3市となっております。
本市のエアコン整備費用について相当の額になることが予想され、市内105校の全教室にエアコンを設置することは、大変困難と考えます。
そこで3つ目として、授業等で通常使われている普通教室と職員室に設置する場合、ウ.本市は設置の費用をどれくらいと試算しているのか伺います。
【答弁】教育部長 すべての公立小・中学校におきまして、特別教室や空き教室を除く普通教室等にエアコンを設置する費用といたしまして、すでに導入している他の自治体の例を参考に試算いたしますと、設計費、電源改修費、エアコン設置費等を合わせ、現時点の概算でございますが、約69億円と見込んでおります。
そのような状況での官房長官の国が支援をしていきたいとする言葉は、エアコン設置実現を大いに期待させるものです。そこで4つ目として、設置を前提とした場合、エ.整備の課題としてどのようなものがあるのか伺います。
【答弁】教育部長 エアコンの整備に当たりましては、エアコンの消費電力に対応した電源設備の改修が必要となり、費用の増加が見込まれること、また、全学校への設置には期間を要するため、段階的な整備を検討する必要があること。さらには、工事による授業への影響が懸念されることなどの課題があると認識しております。
整備をする場合の課題が何点か出されましたが、保護者の皆様のなかで、市内の小・中学校にエアコンがすぐに設置されるとの期待が高まっているとも聞いています。しかしながら事前に、市内各校の室温や立地条件、学校規模など、様々な条件を勘案しながら事前調査を進め、整備設計や各種電気工事が終わらないと、エアコンの稼働とはなりません。
そこで5つ目として、確定した場合、どのように順序建てて進めて行くのか、オ.エアコンの設置順序について本市の考えを伺います。
【答弁】教育部長 エアコンを設置する場合には、すべての学校で同時に工事を行うことが難しいと判断されるため、基本的には段階的に整備を行う必要があると認識しております。
具体的には、室温の高い学校から整備を行う手法や小学校から整備を行う手法などが考えられるところでございます。
今後整備を進めるに当たりましては、十分な検討を行い、対応する考えであります。
また、設置した場合、月々の電気料などの維持管理費も当然考慮しなければなりません。小・中学校それぞれが負担をしていくのか、一括して教育委員会で支払うのか。維持経費については、学校関係者やPTAの皆さんにとって大変気になるところだと思います。そこで6つ目として、
カ.エアコン設置後の維持管理等の費用負担について考え方を伺います。
【答弁】教育部長 エアコン整備に当たりましては、国の補助制度が活用できますが、エアコン設置後の維持管理費用につきましては、各市町村の負担とされております。 今後、エアコンを設置した場合には、必要となる維持管理費用を賄うため、全体経費の削減等に努めながら、適切に対応して参る考えであります。
今後も厳しい夏が続くと予測される中、エアコン設置の流れは、当然のことと思います。しかしながら、国からの支援内容によっては、設置の有無の判断を迫られる場合もあるかもしれません。また、設置可能と判断した場合でも整備工事を単年度で完了させることは大変厳しく,それだけに事前の財源確保に向けた情報収集と整備工程マニュアルの策定が重要と考えます。
7つ目、キ.エアコン整備に向けた本市の見解について伺います。
【答弁】教育長 今般の猛暑は、これまで経験したことのない、まさに、健康にも影響を及ぼしかねない状況が続いたものと認識しております。
また、今後も夏季の高温が継続することが想定されているところです。
このような状況を踏まえ、空調設備のない中では、これまでの対策だけで、学校における児童・生徒の適切な生活、学習環境を確保するのは難しいものと判断しており、また、整備には多額の費用が見込まれるため、財源確保に努めながら、今後、小・中学校へのエアコン整備に向けた検討を進めて参りたいと考えております。
今後は、国の動向を注視しながら、エアコン設置の具体的な支援策が示された場合には、本市においても、整備に向けた速やかな検討、そして設置工事の実施をお願いいたします。
(2)2点目は、「学校敷地内のブロック塀について」であります。
7年前の東日本大震災の発災時、いわき市の小・中学校敷地内ブロック塀に関する被害の報告は、幸いにもなかったとのことでした。しかし、本年6月に発生した大阪府北部地震では、高槻市の小学校のブロック塀が倒れ、通学途中の児童が犠牲となる痛ましい事故が発生してしまいました。
そこで、今回のブロック塀倒壊事故を受け、1つ目として、ア.大阪府北部地震発生後の市教育委員会の初期対応はどのようなものだったのか伺います。
【答弁】教育部長 大阪府北部を震源とする地震が発生しました当日、公立小・中学校に対し、学校敷地内で道路に面し設置されている高さ1.2mを超えるブロック塀の有無を早急に報告するよう指示したところであります。
報告を踏まえ、該当する学校につきましては、緊急の点検を、地震発生翌日から翌々日にかけ実施いたしました。
その結果、8校で現行の基準に適合しないブロック塀の存在を確認したところであります。
当日に調査を指示し、さらに緊急点検を実施したとのことですが、2つ目として、イ.点検結果を受け、どのように対応したか内容について伺います。
【答弁】教育部長 現行の基準に適合していないことが確認されました8校のうち、緊急に対応が必要と判断しました2箇所につきましては、6月末までに、塀の高さを基準以下とする対策工事を実施したところであります。
その他の箇所につきましても、2学期の早い段階で対策工事が完了し、これにより、緊急点検で確認されました8箇所の対策工事はすべて終了する予定でございます。
夏休みが終了した現在、点検等で確認された事象については、適切に対応されているとのことですが、学校敷地内のブロック塀以外の構造物等にも対応していかなければならないものと思いますが、そのようなことも含め、
3つ目として、ウ.今後の本市の対応について伺います。
【答弁】教育部長 学校敷地内におきましては、ゴミ置き場として活用しているスペースや、運動などで利用している的当ての壁など、道路に面したブロック塀とは異なる構造物もありますが、これらの改修等につきましては、国の動向を注視しながら、今後、適切に検討を行い、対応して参りたいと考えております。
本市では、今回の事故を受け、迅速な対応がなされたということですので評価をするところです。
「天災は忘れたころにやってくる」。
予想外の出来事が起きてしまうこの頃であります。
万が一の出来事が、未来ある子どもたちの人生を狂わせてしまうことこそ不幸なことはないと考えています。
家庭・地域・そして学校がしっかりと連携を取りながら、いわきの将来を担う子どもたちの安全・安心の確保のために「オールいわき」で、引き続き、取組んで行かれますことをお願いして、
以上で、私の質問を終わらせていただきます。
ご静聴ありがとうございました
平成30年2月定例会 11回目の一般質問です。
14番 いわき市議会 志帥会 西山一美です
通告順に従いまして、市政一般について質問をいたします。
1原子力災害時における広域避難について
大きな質問の1番目は、「原子力災害時における広域避難について」であります。
「いわき市原子力災害広域避難計画」は、いわき市地域防災計画(原子力災害対策編)及び福島県原子力災害広域避難計画に基づき、福島第一原子力発電所そして福島第二原子力発電所において、原子力災害対策特別措置法に定める新たに原子力災害が発生、もしくは発生する恐れがある場合に、市域(しいき)を越えた住民避難等の応急対策を迅速に実施する目的で、平成27年度に策定されました。
策定当時は、南方面の茨城県内を避難先と定め、西方面の避難先については調整中とのことでありました。しかし、平成28年度に西方面の県内21市町村プラス新潟県24市町村が先に、避難先として選定(せんてい)されたことで、2方面が対象となる広域(こういき)避難(ひなん)計画(けいかく)が整(ととの)いました。
今回は、茨城県を対象避難先とした南方面について、新たに協定が締結(ていけつ)されたとのことですので、この広域避難が、市民の皆様のご理解とご協力のもと、万全の態勢で実施できるよう本市の考え方について伺っていきたいと思います。
(1)1点目は、「茨城県内市町村との協定について」です。
まず1つ目として、平成27年度策定の「いわき市原子力災害広域(こういき)避難(ひなん)計画」において、ア.本市として想定する原子力災害の状況について伺います。
【答弁】市原子力災害広域避難計画の上位計画にあたる市地域防災計画原子力災害対策編におきまして、福島第一及び第二原子力発電所において重大な事故等が発生し、そのことに伴う放射性物質又は放射線の放出により生じる原子力災害を想定しております。
次に、2つ目として、今回の協定により締結された広域避難先について
イ.茨城県内の35市町村を選定地区とした理由を伺います。
【答弁】南方面、いわゆる茨城方面における避難先市町村につきましては、平成27年度から福島県、茨城県及び本市の調整により、茨城県内の各市町村における受け入れ可能人数や、本市の地区単位におけるコミュニティの維持等を考慮した協議をさせていただいたところでありますが、最終的に、茨城県において県内44市町村中の35市町村を避難先市町村として決定いただいたところであります。
仮に原子力災害が発生、もしくは発生の恐れが生じて、郡山市以西(いせい)か茨城県内の市町村のどちらかに避難しなければならない場合、どのような条件で避難先を決定するのか、
3つ目として、ウ.避難先選定の判断基準について考え方を伺います。
【答弁】万が一、放射性物質の飛散により、市内の空間放射線量率が上昇し、市外へ避難を判断しなければならなくなった場合には、本市周辺各地の空間放射線量率及び被災の状況、ならびに降雪等の気象状況を勘案しながら、国及び県と協議し、避難先を決定することとしております。
判断基準については、理解をいたしましたが、原子力災害による避難時間が迫った状況では、市民の皆様は不安な状態で時間を送ることとなるわけですので、国・県との協議に臨むにあっては、一刻でも早く、避難開始決定ができる本市独自の判断基準を設けることが必要ではないでしょうか。
そこで、再質問いたしますが、本市独自の判断基準を設けることについて伺います。 (答弁 本市独自の判断基準につきましては、防災計画に定めることで判断いたしますが、気象条件などを踏まえ、現在、基準は考えておりますが、定めたものにはなっておりません。)
それでは、次に、お配りいたしました資料の茨城県内の避難先市町村マップをご覧ください。これを見ますと、たとえば表中の黄色で表示してあります勿来地区は、近傍(きんぼう)である日立市と常陸太田(ひたちおおた)市が避難先となっており、避難距離および移動時間は少なくて済む設定となっています。しかし、久之浜・大久地区や小川・川前地区さらに三和地区などは、茨城県内最南部(さいなんぶ)まで避難することとなり、勿来地区に比べますと、移動距離や時間は何倍にもなっています。
いわき市内13地区の市民の皆様が自家用自動車を利用して、移動を開始すれば、国道や県道など通行する道路は限定されることが予想できます。
そこで、避難を開始した多くの市民の皆様が、同じルートをたどって移動することが想定され、交通渋滞の発生が心配されます。
そこで4つ目として、エ.避難先への移動距離等の不均衡(ふきんこう)について伺います。
【答弁】万が一、原子力災害が発生し、市外へ避難が必要となっる場合には、福島第一及び第二発電所により近い本市北部地区から先に避難となる可能性が高いと想定しており、その後の渋滞発生による避難の遅延を抑制するため、当該地区については、より遠方である茨城県南部に避難していただくこととしております。
その他にも、厳冬期(げんとうき)に郡山市以西(いせい)地域に避難する場合、降雪(こうせつ)や凍結(とうけつ)などの問題が生じ、日頃、雪に慣れていない市民の皆様には大きな問題となる可能性があります。また、南方面についても、福島第一原子力発電所と同じく原子力災害発生の可能性がある東海第二原子力発電所が立地しており、この地域を越えてさらに南下(なんか)しなければならない地区がでることなど、移動の際のリスクについて、最悪の状況をも想定しておかなければならないと考えます。
そこで、安全を確保しながら確実に避難を実施するため、5つ目として、
オ.避難誘導の手順についての考え方を伺います。
【答弁】原子力災害が発生した場合、まずは災害時における市民の皆様の放射線による被ばく量を少なくするため、放射線を遮蔽する効果のある自宅等の屋内に避難する「屋内避難」を指示するとともに、その後、万が一、市内の空間放射線量率が上昇し、避難しなければならなくなった場合には、周辺各地の状況を勘案しながら、国及び県との協議を踏まえ、市災害対策本部として西方面または南方面への避難を決定し、空間放射線量率の高い地区の市民の皆様から順次、市外への避難を指示することとしております。避難の手順といたしましては、原則、自家用車による避難となりますが、自家用車による避難が困難な方につきましては、あらかじめ定めた一次集合場所へ、市の誘導のもと集合いただき、市や県が手配したバス等で避難し、その後、福島県が指定するスクリーニング場において放射性物質が付着しているかどうか検査を受けたうえ、避難先市町村において本市が指定したランドマークとなる避難施設へ避難していただくことになります。
7年前の東日本大震災を原因とした原子力発電所事故を教訓に、35万人の市民の皆様の大切な命を、安全・安心に避難させるという大変難しい計画をここまで進めてこられたことは大いに評価されるものと考えます。
しかし、市民の皆様の広域避難を、より確実に実施するためには、隣接自治体との連携をこれまで以上に強化し、お互いの自治体が支援・協力してこそ万全の体制がとれるものと考えます。そこで、
(2) 2点目は、「広域避難時における「常磐三市」協力体制について」です。
今回の茨城県内35市町村への広域避難については、県が主導(しゅどう)して茨城県と調整したと聞いております。しかしながら、実施(じっし)主体はいわき市であります。
今回の広域避難の協定には、日頃より固い絆(きずな)のもと、いろいろな面で連携をさせていただいている茨城県北茨城市と高萩市の両市は、避難先として含まれておらず、両市には協定締結に関して何の説明もなかったと伺っております。
「県が決めたことだから」ということだけで済まされるのか大変疑問です。私は、「常磐三市」として連携している北茨城市及び高萩市に対して、広域避難の協定締結に至る状況の説明そして避難時における支援と協力のお願いをすることは必要だったと考えます。そこで1つ目として、これまでに
ア.「常磐三市」で締結されている協定の内容について伺います。
【答弁】茨城県北茨城市、高萩市及び本市のいわゆる「常磐三市」で締結されている協定につきましては、三市の区域において災害が発生した場合、応急対策及び復旧対策を円滑に遂行するために、食糧、飲料水、生活必需品及び資材・機材の供給や職員の派遣などを行うことを目的とした「災害時における相互応援協定」がございます。また、協定に基づくものではございませんが、一般国道6号勿来バイパスの新規事業化に関する要望をはじめとした共通する政策課題などについて円滑な施行と促進を図ることを目的とした「常磐三市長・議長会議」や、広域的な観光誘客を推進するため、三市観光行政の連絡調整と観光の振興に寄与することを目的とした「いわき市・北茨城市・高萩市広域観光行政連絡協議会」などを通して、三市による連携を図っているところでございます。
平成10年に「常磐三市」の間において、「災害時における相互(そうご)応援(おうえん)協定(きょうてい)」が結ばれています。その内容は、被災(ひさい)時の応急(おうきゅう)対策(たいさく)と復旧対策を円滑(えんかつ)に行うためにお互いが協力するというものであると聞いております。
そこで、先の東日本大震災(だいしんさい)の時は、両市ともに被災(ひさい)しながらも、多くのいわき市民を受け入れ、支援をしていただいたものと記憶しています。
そのような経緯(けいい)からも、今回の広域避難協定について、「常磐三市」の間で何かしらの協議が必要だったのではないかと考えますが、2つ目として、
イ.今回の広域避難に係る避難協力に対する考え方について伺います。
【答弁】本市は、福島県原子力災害広域避難計画において、福島第一及び第二発電所での原子力災害発生時に、県域を超える広域避難をすることが定められましたことから、福島県、茨城県及び本市の調整により、本市の避難先となる茨城県内35市町村と協議を進めてきたところであり、それ以外の市町村とは、具体的な協議等は行っていないところであります。
いわき市と北茨城市の間には、津波浸水(しんすい)区間(くかん)を回避(かいひ)し、災害時の避難・救援(きゅうえん)活動を支援するネットワーク道路として勿来バイパスの建設が進んでいます。
勿来バイパスが完成すれば、通過する交通量の分散(ぶんさん)が図られ国道6号の渋滞が緩和(かんわ)されます。
医療施設への搬送(はんそう)時間の短縮など、地域の皆様の命を守る救急医療活動を支援し、さらには円滑な移動を実現することで、魅力ある観光地の再生をも支援する大変重要な道路に位置づけられています。
この勿来バイパスは、平成27年の事業着手(ちゃくしゅ)からおおよそ10年で完成を目指すとされていますが、復興・創生期間中に充分な予算を確保し、一日も早い完成の前倒(まえだお)しに向け、両市間のさらなる協力関係の構築(こうちく)が不可欠(ふかけつ)であると考えます。そのような状況下で、両市の連携に水を差すことの無いような最大限の気配りが必要ではなかったでしょうか。3つ目として、
ウ. 今後の「常磐三市」協力体制について本市の考え方を伺います。
【答弁】本市は、北茨城市及び高萩市との間で、これまでも災害の備えとして、「災害時における相互応援協定」を締結しているほか、様々な分野で相互に連携・協力を行ってきたところから、今後も引き続き、防災体制を含む様々な分野で、情報共有を密にしながら、連携・協力を行い、常磐地区の発展を共に推進して参りたいと考えております。
今後とも変わらぬ協力関係の維持(いじ)、さらには、より一層の強化のために細心(さいしん)の注意を払い、しっかりとした対応をするよう強く要望して、次の質問に移ります。
2 除染事業について
大きな質問の2番目は、「除(じょ)染(せん)事業について」であります。
7年前の福島第一原子力発電所事故よる放射性物質の拡散(かくさん)により、本市は物流や医療の停滞(ていたい)などが起こり、結果として被災(ひさい)された多くの市民の皆様に対する支援や、水道をはじめとする各種インフラの復旧(ふっきゅう)に大きな影響を与え、さらに多方面(たほうめん)で風評(ふうひょう)被害(ひがい)が発生するなど、産業面においても極めて深刻な影響が生(しょう)じました。
その様な状況のなか、原発災害の一刻も早い収束(しゅうそく)に加え、防災(ぼうさい)体制(たいせい)の確立やモニタリングの拡大・充実と併(あわ)せ、除(じょ)染(せん)に向けた各種取組みを推進することで、市民の皆様の不安を解消するとの目的のもと、平成23 年12 月「いわき市除(じょ)染(せん)実施(じっし)計画(けいかく)」が策定されました。
実施計画に基づいた除(じょ)染(せん)事業(じぎょう)は着実に実行され、その進捗率(しんちょくりつ)が当初の計画通り、平成29年11月末時点(じてん)で100%になったということでありますので、その内容について、質問をしていきたいと思います。
除(じょ)染(せん)実施(じっし)計画(けいかく)では、放射線の影響を受けやすい子どもの生活環境である教育施設、保育施設、公園等を優先的(ゆうせんてき)に除染することとし実施をしてきました。
そこで(1)1点目として、「子どもの生活環境における現場保管(ほかん)中の除(じょ)染(せん)土壌(どじょう)等の仮置場への搬出(はんしゅつ)計画(けいかく)について」です。
1つ目として、今回の仮置場への搬出計画において、
ア. 小・中学校からの搬出の見通しについて伺います。
【答弁】除染土壌等について、小・中学校からの搬出は、平成28年度より、市北部地区から順次実施しているところであります。平成30年度は平地区および遠野地区、平成31年度は小名浜地区および常磐地区、平成31年度は勿来地区について事業を実施する予定であり、平成32年度末までの搬出完了を目指してまいりたいと考えております。
只今の答弁によりますと、現場(げんば)保管(ほかん)していた除去土壌等については、平成30年度、平(たいら)及び遠野地区。31年度、小名浜及び常磐地区。平成32年度勿来地区の小・中学校で作業が実施され、32年度末までには仮置場への搬出がすべて完了されることがわかりました。
次に、現場保管中の除染土壌等をどのように搬出するのか、搬出時の安全(あんぜん)確保(かくほ)については、保護者の皆さんはもちろん、地域の皆さんも大変関心が高いところです。そこで2つ目として、
イ.小・中学校からの搬出に係る児童・生徒への安全対策について伺います。
【答弁】小・中学校の児童・生徒の安全確保は、最優先事項であると考えております。具体的には、トラックによる搬出の際には、登下校の時間帯を避けるようにしていること、また、作業現場において、児童・生徒が近づかないように囲いを設置することなど、様々な安全対策を講じているところであります。今後におきましても、学校現場との連携を密にしながら、児童・生徒の安全対策につきましては、万全を尽くしてまいりたいと考えております。
より影響を受けやすいとされる小さな子どもたちに対しては、どのようなスケジュールで搬出をするのか、
ウ.幼稚園・保育施設からの搬出の見通しについて伺います。
【答弁】公立・私立を含め幼稚園・保育所からの除染土壌等の搬出につきましては、平成28年度より、北部地区や平地区の一部から順次実施している処であります。今後につきましては、平成30年度に平、常磐および遠野地区、平成31年度小名浜及び勿来地区において、事業を実施する予定であり、平成31年度末までの搬出完了を目指してまいりたいと考えております。
4つ目として、搬出時、子どもたちに影響が及ばない対策については、どのように考えているのか、エ.その安全対策について伺います。
【答弁】幼稚園・保育所の園児の安全確保につきましては、搬出作業に一定の期間を要することから、作業エリアと園児の活動エリアを分離するため、仮囲いを設置するほか、運搬作業時には、交通誘導員の設置を行うなど、送迎時の園児の安全対策にも努めているところであります。今後におきましても、各施設との連携を密にし、園児の安全対策に、万全を尽くしてまいりたいと考えております。
5つ目として、不特定(ふとくてい)多数の市民の皆様が利用している
オ.公園からの搬出の見通しについて伺います。
【答弁】公園につきましては、平成28年度より搬出に着手しており、平成29年3月に久之浜、四倉地区を終了し、来月末までには平、内郷及び好間地区の搬出を終了するところであります。残る小名浜、勿来および常磐地区につきましては、平成30年度に搬出を予定しており、平成31年度3月末までにすべての公園の搬出を完了する予定であります。
6つ目は、
カ.公園からの搬出に係る利用者への安全対策について伺います。
【答弁】公園につきましては、利用者が誤って作業区域に立ち入らないよう、仮囲いを設置しているほか、誘導員を配置し、運搬車両等が出入りする際に利用者や歩行者を安全に誘導するなど、事故防止に努めております。また、着手する前には、地元区長等に業務内容を説明いたしまして、その内容を記載した回覧板を配布して周知するとともに、立ち入り禁止等の注意喚起看板を設置するなど、安全対策を行っているところであります。
学校敷地等で現場(げんば)保管(ほかん)していた除去土壌等は、フレコンバックに詰めて地中保管してあるものと思います。フレコンバックの耐用年数はおおよそ3年ほどと聞いております。当然、劣化(れっか)が予想され、新しいものに詰(つ)め替えてから搬出作業をするものと思います。搬出作業の際は、除去土壌等の飛散(ひさん)防止に対する万全の対策等、最大限の注意を払って作業を実施することをお願いします。
このようなことも踏まえ、搬出作業全般について、環境省(かんきょうしょう)や福島県と連携(れんけい)の下(もと)、モニタリングや市民の皆様とのリスクコミュニケーションを丁寧(ていねい)に進め、きめ細(こま)やかな対応をしていただくことを重ねてお願いいたします。
次に、仮置場に集約された除染土壌等については、適正(てきせい)管理のもと、早期に中間貯蔵施設への搬出が求められますが、
(2)2点目は、「本市における仮置場から中間貯蔵施設への搬出(はんしゅつ)見通(みとお)しについて」であります。
先ほど質問した、学校等施設からの除染土壌等。そしてそれ以外の施設から搬出された除染土壌等は、今後、仮置場に集約され管理されるとのことですが、早い時期に、その全てを中間貯蔵施設に搬出できることが理想です。しかし、環境省(かんきょうしょう)による輸送(ゆそう)調整(ちょうせい)会議で搬出量などが示(しめ)されるため、それを受けた形で本市からの搬出量や搬出スケジュールについても決定されるものと思います。そこで、
1つ目として、ア.平成30年度における見通しについて伺います。
【答弁】平成30年度における仮置場から中間貯蔵施設への搬出見通しにつきましては、昨年12月5日に開催された「第8回輸送連絡調整会議」において、環境省より、平成30年度の本市の輸送可能量として、通常輸送分が22,200立方メートル、学校等輸送分が7,800立方メートルの合計30,000立方メートルが示されております。市といたしましては、各地区の仮置場から、搬出する内訳といたしまして、通常輸送分は、久之浜、大久地区から10,500立方メートル、川前地区から5,600立方メートル、小川地区から2,800立方メートル、四倉地区から3,000立方メートル、田人地区から100立方メートル、調整量200立方メートルの合計22,200立方メートルを予定しております。また、学校輸送分として、小川地区から600立方メートル、田人地区から700立方メートル、三和地区から6,500立方メートルの合計7,800立方メートルを予定しているところであります。
今後の本市仮置場からの除染土壌等の搬出(はんしゅつ)スケジュールについては、中間貯蔵施設(しせつ)用地(ようち)の取得(しゅとく)状況(じょうきょう)によっても変わってくると思いますが、
2つ目、現在の進捗(しんちょく)状況(じょうきょう)からイ.全量(ぜんりょう)搬出完了の見通しについて伺います。
【答弁】本市における仮置場から中間貯蔵施設への全量搬出完了の見通しにつきましては、環境省が、平成28年3月に公表した中間貯蔵施設に係る「当面5年間の見通し」から本市の輸送量を推計しますと、平成30年度までには四倉、田人の2地区、平成32年度までには小川地区、平成33年度までには久之浜・大久、川前、三和の3地区の仮置場からの搬出を予定しており、これにより、市内のすべての仮置場からの搬出の完了を見込んでいるところであります。今後につきましては、環境省に対し、引き続き中間貯蔵施設への早期搬出について、求めてまいりたいと考えております。
子どもたちが多くの時間を過ごす環境(かんきょう)においては、細心(さいしん)の注意を払(はら)って作業(さぎょう)していただくこと。さらに、中間貯蔵施設に計画通り搬出できるよう、国・県に対し、施設の早期完成と搬出の加速化について、引き続き、要望(ようぼう)するようお願いをしたいと思います。
本市における除染土壌等の全量(ぜんりょう)搬出(はんしゅつ)が、一日も早く実現することを願って、次の質問に移ります。
3 農業振興地域整備計画策定再編事業について
次に、大きな質問の3番目は、「農業振興(しんこう)地域(ちいき)整備計画策定再編(さいへん)事業(じぎょう)について」です。
本市の農業を取り巻く環境は、東日本大震災以前からの課題である農業者の減少・高齢化や後継者不足、また、このようなことを原因として、耕作(こうさく)放棄地(ほうきち)の増(ぞう)大(だい)や生産量の減少など、現在、多くの課題を抱(かか)えております。
このような中、昭和48年度に計画が策定されて以来、平成18年度までの間に4回、総合見直しが行われていました。しかし、平成18年度に策定されてから、その後(ご)は見直しがなされておりません。
東日本大震災の影響があり、見直しの実施は困難であったろうと思いますが、本計画は、本市の農地の保全(ほぜん)及び集約等に大変重要であると認識しています。
今回、平成30年度からの農業振興(しんこう)地域(ちいき)整備(せいび)計画(けいかく)策定再編事業の基本的な概要(がいよう)については、我が会派の代表質問で大峯会長が質問をしておりますので、
皆様にお配りしました資料の2枚目、農業振興地域のイメージ図をご覧いただきながら、私からは事業の詳細についての質問をしていきたいと思います
まず、(1)1点目は、「基礎調査について」です。
法で定められ、5年ごとに実施する必要のある基礎調査を行い、必要となれば見直すこととなるこの調査について伺ってまいります。
1つ目として、どのような内容について調査するのか、
ア.基礎調査の項目について伺います。
【答弁】基礎調査の項目につきましては、「農業振興地域の整備に関する法律」において、農用地等の面積のほか、農業就業人口の規模、農業生産の基盤の整備状況、農用地等の保全及び利用の状況、農業の近代化のための施設の整備の状況など、13項目の調査を実施することが、定められております。
次に、2つ目として、調査にあたりましては、地域(ちいき)農業者(のうぎょうしゃ)の皆様の意見を取り入れることは重要であると思いますが、どのような方法で調査を行うのか、
イ.その調査の方法について伺います。
【答弁】調査の方法といたしましては、農林業センサス等の国や市が実施する調査結果の資料の収集のほか、農業委員会、土地改良区など関係機関の有する資料を収集し、必要に応じ現地調査を実施いたします。さらには、意向調査として、調査の各段階において、集落単位の説明会またはアンケート調査を実施することにより、地域農業者の意見を十分に取り入れる方法で、実施して参りたいと考えております。
基礎調査を実施して必要があれば、見直しを実施するとありますが、
3つ目として、ウ、現時点における計画を見直す必要性について伺います。
【答弁】現計画についての見直しの必要性につきましては、東日本大震災に伴う、復興事業による区画整理事業や農山漁村地域復興基盤総合整備事業の実施など、震災前と比較し、営農状況が大きく変化していることに加え、国の「農業振興地域制度に関するガイドライン」の見直しや、本市復興整備計画など本市における各種計画との整合性を図る必要性があることから、見直しを実施するものであります。
震災により、農地を取り巻く環境が大きく変化してきていること、また、現計画の策定時から国のガイドラインが変わってきていることなど、「いわき市農業振興地域整備計画」も見直すべき時期が来ているものと考えられます。
計画の見直しに当たっては、地域の農業者の皆様の意向(いこう)を取り入れることが大変重要であると考えますので、地域の実情(じつじょう)などを十分に把握(はあく)し、さらには、農業の近代化をめざし、イノベーション・コースト構想の先端(せんたん)技術(ぎじゅつ)を取り入れるなど、今後、いわき市の農業発展に寄与(きよ)する計画の策定に期待をいたします。
次に、(2)2点目は、「基盤(きばん)整備(せいび)実施地区などにおける農用地区域の整理について」であります。
農業の近代化を進めるためには、農地の大区画化等の整備は欠かせないものとなっており、今回見直しが実施される農業振興地域整備計画にも基盤整備事業が位置付けられるものと考えます。
そこで、基盤整備事業実施地区などにおける農用地区域の整理について伺います。
【答弁】基盤整備事業など、国の補助事業を活用する場合におきましては、「いわき市農業振興地域整備計画」に、新たな基盤整理事業として位置付けるとともに、当該地区を農用地区域として設定する必要があります。このことから、集落単位の説明会を開催するなど、地域の要望を十分に取り入れながら、農用地の整理を行ってまいりたいと考えております。
農業とそれ以外の土地利用の調整を図り、その地域の整備を計画的・集中的に行うことで健全な農業の発展を目指す「農業(のうぎょう)振興(しんこう)地域制度」の目的にそって、設計主体であるいわき市が、今回「いわき市農業振興地域整備計画」の中で、地域の農業関係者の意見を聞きながら、基盤整備事業の前提となる農用地区域の見直しや整理について、適切に事業を進めていただきたいと思います。
次に、(3)3点目は、「本市のほ場整備の現状について」であります。
これまでお話ししてきたように、農業生産基盤である農地の整備が求められているところですが、本市においても、基盤整備事業に位置付けられた多くの地区で、ほ場整備事業が実施されてきました。
ほ場整備事業は、農地の大区画化を図(はか)ることで、大型農業機械導入(どうにゅう)が可能となり、農作業(のうさぎょう)の効率化、農道や用排水路の一体的な整備により、施設の維持管理の省略化が図れるなど、有効な手法であると認識しています。
さらには、東日本大震災以降の本県沿岸部(えんがんぶ)において、農地や農業用施設の復旧(ふっきゅう)とほ場整備事業に取組み、大区画化など機能向上が図られた水田において、ICTやロボット技術等を活用した水稲(すいとう)の超省力(ちょうしょうりょく)大規模生産の開発・実証(じっしょう)を行い、生産コストの低減(ていげん)と安定した収益(しゅうえき)が確保できる新たな農業のモデルを構築(こうちく)するとの目的で、福島イノベーション・コースト構想「先端技術等の導入による新しい農業の推進」の柱としても組入れられています。
ほ場整備事業につきましては、事業主体が福島県であること。また、田や畑を集積する受益面積の規模と事業完了後の担い手への農地集積率(しゅうせきりつ)が事業の採択(さいたく)に関係するものであるということは理解をしていますが、
そこで1つ目として、
ア.ほ場整備事業の採択要件はどのようなものか伺います。
【答弁】ほ場整備事業は、国庫補助事業により実施されており、補助事業として採決されるための主な要件としましては、田及び畑の受益面積の合計がおおむね20ha以上であることと、事業完了時において、担い手への農地集積率が50%以上になることが要件となっております。
つぎに、2つ目として、イ.本市の実施予定地区について伺います。
【答弁】本市における今後の実施予定地区といたしましては、平成32年度からの着手を目指し、現在調査設計を実施している、平の「神谷第1地区」面積49.7ha、勿来の「山田地区」面積約49.1haと、平成34年度からの事業着手を目指し、現在調整を行っている平の「神谷第2地区」面積約85.8haの3地区が予定されております。
3地区とも受益面積の規模等、条件的には要件を満たしているものと思います。ここに至たるまでの過程において、ほ場整備には多額の工事費がかかるのではないか。換地(かんち)により自分の田んぼがどこになるのかわからなくなるのではないか。1区画に複数の地権者ができるので問題が起きないか。等々の意見があったことも聞いております。その中でも多かったのが、整備事業にかかる費用の問題でありました。
そこで3つ目、ウ.実施予定地区における受益者の負担について伺います。
【答弁】ほ場整備事業の事業費の負担割合につきましては、国が50%、県が27.5%、市が11.25%、受益者が11.25%、負担することとなっております。
受益者負担があることは、当然、理解をいたしますが、受益者の負担割合が事業費の11.25%と聞きますと高額な印象を受けます。
今後、本市において、整備事業を着実に進めていくためには何かしらの支援が必要と感じますが、
4つ目として、エ.実施予定地区への支援について伺います。
【答弁】実施予定地区への支援につきましては、国の支援事業として2つあり、事業完了後に中心経営体への農地集積率に応じて、総事業費に最大で12.5%を乗じた額の助成を行う促進費と、関係農家の意向調査及び担い手育成のための調整を図ることを目的とし、事業完了まで、毎年一定額の助成を行う推進費があります。
事業完了後の農地集積率(しゅうせきりつ)により支援する促進費(そくしんひ)と事業の進展とともに支援する推進費(すいしんひ)の2つの支援事業があることが分かりました。
このような支援により、ほ場整備事業が進めば、ハード面において、ほ場整備区域内にある県・市の道路や河川などの公共施設についても、地元からの要望のもと、施設管理者と調整し、非農用地を確保して整備事業と合わせながら実施区域内のインフラ整備を図ることも可能であると聞いております。
今後も、ほ場整備事業の目的を関係地権者の皆様に正確に理解していただき、本市においての農業イノベーションの進展に向け、新たな担い手の育成や農業技術の向上のための支援をお願いいたします。
採択に見合う農地集積が難しい地域に対する要件緩和策や、さらなる受益者負担の軽減策など、本市独自の支援方法についても早急に検討の上、推進していただくことを要望して、次の質問に移ります。
4 イノベーション・コースト構想について
次に、大きな質問の4番目は、「イノベーション・コースト構想について」です。
福島イノベーション・コースト構想は、「世界が注目する浜通りの再生を目指して」という目標のもと、本県浜通りを中心とする地域経済の復興のため、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年を当面の目標に、廃炉研究拠点、ロボット研究・実証拠点などの新たな研究産業拠点を整備することで、世界に誇(ほこ)れる新技術や新産業を創出し、イノベーションによる産業基盤の再構築(さいこうちく)を図り、避難を余儀(よぎ)なくされた住民の皆様の帰還に加え、新たな住民の皆様のコミュニティ参画を進めることにより、魅力あふれる地域再生を実現していくことを目指して、着実に構想は進んでおります。
本市関連で進められているものは、5つの構想の柱のうち「新たな産業集積」分野の「農林水産業プロジェクト」と「エネルギー関連産業の集積」です。
魚介類(ぎょかいるい)の安全性確保のための研究開発や資源の持続的利用・経営安定向上のための技術開発などを目的とした「水産研究拠点整備プロジェクト」。また、原子力に依存しない「新たなエネルギーの創出」により復興の加速化を進めることを目的としている「高効率石炭火力発電プロジェクト」の2つとなっています。
そこで、(1)1点目は、「本市関連の構想進捗状況について」であります。
まず1つ目として、福島県が主体となって小名浜地区でプロジェクトを進めている、ア.水産試験研究拠点整備事業の進捗状況について伺います。
【答弁】イノベーション・コースト構想における水産試験研究拠点整備事業につきましては、昭和41年に完成した現在の水産試験場について、原子力災害に伴う魚介類の放射能汚染や安全確認に向けた新たな課題に対応するため、「放射能研究棟」及び「放射能飼育実験棟」などの機能を強化して、現在の所在地に再整備するものであります。なお、施設整備の進捗状況について、事業実施主体である福島県によれば、施設の実施設計は平成29年8月に完了し、現在は既存施設の解体工事中であり、施設の本体工事につきましては、平成30年4月に着手し、平成31年3月末の竣工予定と伺っております。
次に2つ目として、勿来地区において施設の建設工事が進んでいる
イ.石炭ガス化複合発電施設(IGCC)建設の進捗状況について伺います。
【答弁】石炭ガス化複合発電施設いわゆるIGCC建設につきましては、平成29年4月より本格着工し、地盤改良等の基礎工事を行ってきたところでありますが、本年1月からはタービン建屋等の建設工事に着手しており、平成32年9月からの運転開始に向け概ね計画通りに進捗しているとの事であります。
福島イノベーション・コースト構想に位置づけられた本市におけるハード面の拠点整備については、ただ今、質問いたしました水産試験研究拠点整備事業とIGCCの2つですが、一方で、必(かなら)ずしもハード面での拠点が本市に整備されない場合においても、福島イノベーション・コースト構想に基づく国や県の動きをしっかりと地域活性化につなげていくことは十分に可能であると考えます。
その一つに、福島イノベーション・コースト構想に位置づけられたエネルギー関連産業の取組みがあげられると思います。
昨年、11月定例会での私の質問に対し、県が陸上風車を整備するプロジェクトを進めていることなどを踏まえ、いわき市において風力のメンテナンス拠点を形成(けいせい)し、風力関連産業の集積に取組むといった方針が、市当局から示されましたが、こうした取組みは、原子力に替わる再生可能エネルギーを核として、また浜通り地域全体に波及効果をもたらすものとして、福島イノベーション・コースト構想の推進にもつながる、まさにタイムリーなものではないかと感じています。
そこで、(2)2点目は、「風力関連産業の振興について」であります。
まず、1つ目は、構想の取組みの一つとして、福島県が主導し、阿武隈山地を中心に多くの風力発電施設を整備する「風力発電拠点プロジェクト」を進めておりますがその、ア.県プロジェクトの目的はどのようなものか伺います。
【答弁】県におきましては、福島イノベーション・コースト構想や、福島新エネ社会構想に基づき、風況データの県有化や環境アセスメントへの県への参画、環境面や地域貢献の観点で優れた事業者を公募・選定する「風力発電拠点プロジェクト」を推進しております。その目的は、豊富な風力資源を活用した再生可能エネルギーの導入拡大と併せ、関連産業の振興を図り、浜通りの復興を牽引することとしております。
県のプロジェクトも関連産業の振興を、目的に掲げているとのことですが、
2つ目として、いわき市においては、こうした動向を受け、どのような形で、
イ.風力関連産業の振興に向けて取組んで行く考えなのか伺います。
【答弁】市といたしましては、浜通り地域に多くの風力発電施設が整備されることなどに伴う風力メンテナンス需要の増加をはじめ、世界規模で風力関連市場の拡大が見込まれること、風力発電施設が多くの電気・機械部品から構成され、本市のものづくり産業の技術を生かせる分野であることなどから、市内企業の風力関連産業参入に向け、積極的に取り組んでいるところであります。具体的には、部品交換をはじめとしたメンテナンス業務の経験を重ねながら、市内企業が付加価値の高い部品等を独自に加工できる技術力や人材力を培い、将来的には、県内に整備される風車にとどまらず、世界の風力発電関連産業への市内企業の参入を目指し、ステップを踏みながら、段階的な取り組みを進めて参る考えであります。
風車を建設する事業者ではなく、金属加工や機械組み立てなど、市内で事業活動を行っている事業者を支えるために、メンテナンス産業を柱に、ステップを踏んで関連産業に取組んで行くということが分かったわけですが、一方、メンテナンスや部品・製品において、「関係する企業間で統合的な物流システムを構築して取引を行う」いわゆる「サプライ・チェーン」については、すでに確立されたものがあり、市内企業が簡単に参入できるかどうかといった問題があります。そこで3つ目として、どのような形で、
ウ.市内企業の関連産業参入の可能性を高めていく考えか伺います。
【答弁】既存の取引関係、いわゆる「サプライチェーン」への市内企業の参入については、メンテナンスや国内外の風力産業に関して豊富な知見を有している中核的企業である株式会社北拓(ほくたく)などから、市内企業が部品交換や補修などの助言・発注を受けながら、技術力や人材力を高めていくことにより、関連産業への本格的な参入が可能になるものと考えております。
私は、昨年11月に行われた「いわき産業フェスタ」の記念講演会に出席し、「株式会社北拓(ほくたく)」副社長の「いわきのポテンシャルを活かした風力産業参入への可能性」というお話を聞かせていただきました。そのプランを伺う中で、日本における風力メンテナンスの中核的企業である「株式会社北拓」の熱い思いを感じたところです。メンテナンス産業を通して技術力を高めながら、その先には独自の部品作りなどにもつなげ、世界の風力関連産業のマーケットをターゲットに活動をしていきたいとのことでしたが、そのようなことも踏まえ、
4つ目として現時点で、エ.市内企業が、どのような付加価値の高い部品を開発・製造していくものと考えているのか伺います。
【答弁】風力発電施設につきましては、今後これまで以上に、収益性・事業性を高める観点から風車を安定的・効率的に稼働させる技術や、故障を未然に防ぐ予防保全型の維持管理技術が求められております。こうしたニーズに対応できる部品の例といたしましては、台風や落雷などの厳しい気象条件にも対応できる耐久性の高い部品や、最先端のセンサー技術や通信技術を組み込み、遠隔からでも状態確認ができる部品などが考えられます。本市においては、市内企業がメンテナンス業務や大学・研究機関との連携を通して得られた知見を活用していくことで、こうした部品を開発し、製品化していくことも十分に可能であると考えております。
それでは、これまで伺ってきたメンテナンス産業への参入や、新たな部品・製品の開発を行(おこな)おうとする企業に対して、
5つ目として本市は、オ.どのような支援を行う考えなのか伺います。
【答弁】市ではこれまで、風力関連産業の振興に向け、いわき商工会議所や、いわき経済同友会といった商工団体、産業支援機関であるいわき産学官ネットワーク協会とともに、「いわき風力産業推進協議会」を設置し、官民連携により、市内企業の技術力や人材力の向上につながる中核的企業の誘致などに取り組んで参りました。今後は、こうした官民連携組織に加え、風力関連産業の中核的企業や大学、学会などの専門機関との連携体制を構築し、市内企業との橋渡しを行うなどの取り組みも強化していく考えであります。さらに、国や県との意見交換を積極的に行い、その動向と歩調を合わせた取り組みを推進し、風力発電施設が整備される浜通り地域全体に、風力関連産業振興の効果が波及するよう、取り組んで参る考えであります。
市内企業が、風力関連産業に参入していくステップについて具体的なイメージ、そして、その取組みに対する支援についても伺うことができました。
こうした風力関連産業振興の取組みを、県をはじめ、様々な関係組織と連携して進めていくことが大変重要であると考えますが、
6つ目として、カ.関係組織との連携について本市の考え方を伺います。
【答弁】具体的な支援といたしましては、風力関連産業に関する中核的企業や専門機関とのネットワークを活用しながら、風力関連産業に関する情報の受発信や研究活動・人財育成に対する支援、発電事業者や風車メーカー等関連企業と市内企業とのマッチング支援等をこれまで以上に強化していく考えであります。また資金面におきましても、国や県における設備投資や研究開発を支える制度の活用を支援するほか、工場等立地奨励金や技術開発支援事業など、市独自の制度による支援も行ってまいります。
福島県は、現在開会中の2月定例会知事説明において、福島イノベーション・コースト構想のさらなる推進のため、福島復興再生特別措置法に基づく重点推進計画の策定を進めるとともに、推進体制を強化するため、本年4月から企画調整部内に「福島イノベーション・コースト構想推進室」を新設することを表明いたしました。このように、国や県においては、福島イノベーション・コースト構想を浜通り地域の復興・再生の核に位置づけ、また、福島新エネ社会構想においても、こうした取組みを支えていくこととしております。
今回、質問いたしました風力関連産業の取組みは、構想に位置づけられたハード面での拠点が本市に整備されるものではありませんが、浜通り全域に風力発電施設が整備されるプロジェクトを契機に、中核的な企業や専門的な大学、研究機関などの協力も得ながら、意欲ある地域の企業が世界に羽ばたこうとする挑戦を後押しし、関連産業の集積を実現していこうとするものであると理解するところです。
今回の取組みが実を結び、「風力関連産業といえばいわき市。そして、浜通り」といったブランドができ上がれば、いわき市の活性化はもとより、浜通り地域全体の復興・再生にもつながって、福島イノベーション・コースト構想の「世界が注目する浜通りの再生」も実現できます。
市や国、県といった行政だけではなく、市内外の産業界や学界、研究機関の力も借りながら、今回質問をいたしましたステップを、着実に推し進めていただくことを、心から期待して、
以上で、私の質問を終わらせていただきます。
ご静聴ありがとうございました。
平成29年11月定例会 一般質問です
14番 いわき市議会 志帥会 西山一美です
通告順に従いまして、市政一般について質問をいたします。
1 全国瞬時警報システム(Jアラート)からの情報伝達時の本市対応について
大きな質問の1番目は、「全国瞬時警報システム(Jアラート)からの情報伝達の本市対応について」であります。
北朝鮮は、今年に入り15回ものミサイルを発射しており、さらに9月3日には、6回目の核実験を実施して「大陸間弾道ミサイル装着用の水素爆弾の実験に完全に成功した」とする声明を発表しました。
この北朝鮮の再三の挑発行為に対し、安倍首相は「国際社会の一致した平和的解決への強い意志を踏みにじり、再び暴挙を行ったことは断じて容認できない。今こそ国際社会の団結が求められている。」と述べ、国連安全保障理事会では、北朝鮮に対するさらなる制裁決議を全会一致)で採決したところです。
本市においても、8月29日と9月15日の両日、福島県の上空をミサイルが通過する可能性があるとして、国から全国瞬時警報システム(Jアラート)でミサイル発射の情報が提供されたことは、記憶に新しいところであります。
私も、自宅で携帯メールそして、テレビなどで情報を取得いたしました。しかしながら、今回のミサイル発射の時間帯が早朝であったことにより、登校時間と重なり、避難時間の限界があるなか、保護者や児童・生徒の皆様方のなかには、瞬時にどのような行動をとってよいのか不安な状況となり、大変混乱いたしました。
そこで、日本を取り巻く国際情勢が緊迫している中、今回のように市民の皆様の生活に多大な影響を及ぼすミサイル発射事象に対して、国民・市民の皆様に情報を伝える役割を担う本市の考え方について伺っていきたいと思います。
(1)1点目は、「いわき市国民保護計画について」です。
まず1つ目として、平成19年3月に策定(さくてい)され、昨年(さくねん)最新版(さいしんばん)として更新された、ア.「市国民保護計画」の概要について伺います。
【答弁】市国民保護計画につきましては、国が定める基本方針に基づき、想定する武力攻撃などの類型を「着上陸侵攻」、「ゲリラや特殊部隊による攻撃」、「弾道ミサイル攻撃」、「航空攻撃」と定め、これら武力攻撃などから市民の生命、身体及び財産を保護するための措置を行う実施体制、住民の避難や救援などに関する事項、平素において備えておくべき物資や訓練などに関する事項などを定めたものであります。
本市の基本的な考え方として「非核平和都市宣言」を行っており、今後もこの方針に変わりがないことを明示して、この保護計画が策定されていることはあらためて理解をするところです。本市は、石油コンビナート特別防災区域が存在することや原子力発電所立地町に隣接(りんせつ)していることなど、独自の立地特性を踏まえた計画を作成しているとのことですが、2つ目として、今回のようなJアラートでの情報が伝達された場合を含む、
イ.「市国民保護計画」での本市の役割について伺います。
【答弁】市は、警報の伝達などの避難に関する措置、安否情報の収集・提供、避難住民の救援に関する措置及び避難の指示など武力攻撃災害への対処に関する措置などについて、国、県、関係機関と連携し、事態の緊急度に応じて段階的、かつ総合的に推進していく役割を担っております。
幸いにも8月・9月のミサイルは、日本の領海の外に落下いたしましたが、現在、日本を取り巻く国際情勢は、大変緊迫している状況にありますので、国そして県との連携をさらに密にし、しっかりした対応をお願いいたします。
(2) 2点目は、「市民の皆様への情報伝達について」です。
今回のようにミサイルが発射され、Jアラートによる情報伝達があった場合、市民の皆様へどのように情報を周知(しゅうち)させていくのかが、大切になってくると思います。
そこで、まず1つ目として、ア.全国瞬時警報システム「Jアラート」とはどのようなものかその概要について伺います。
【答弁】Jアラートとは、弾道ミサイル情報、津波情報、緊急地震情報など、対処に時間的余裕のない事態に関する情報を、国が市町村に直接送信し、受信した市町村が、防災行政無線などを活用し、国が発信する緊急情報を住民の皆様に対し、瞬時に伝達するシステムであります。
本市では東日本大震災後、災害発災時における情報伝達機能の多重化(たじゅうか)を整備してきていると理解していますが、2つ目として、イ.このJアラートと自動連動している伝達の方法について伺います。
【答弁】市が整備したJアラートと自動連動する伝達方法といたしましては、沿岸部を中心に整備した防災行政無線屋外拡張子局をはじめ、市内公共施設に配備した戸別受信機、自主防災組織の代表者及び民生・児童委員に配布している防災ラジオのほか、市ホームページへの掲載や、市防災メール登録者に対しメール配信されるシステムを構築しております。
防災行政無線につきましても自動連動しているとのことでした。現在設置してある地域においては十分に機能を果たしたものと推察いたしますが、私の住む神谷地区では、テレビなどで報道された防災行政無線からのサイレンの吹鳴は聞くことができませんでした。
そこで3つ目、ウ.現在の防災行政無線の設置状況について伺います。
【答弁】防災行政無線は、昭和58年5月に発生した日本海中部地震による津波災害を契機に、津波警報など情報を迅速にお知らせするため、沿岸部を中心に127基、また、内陸部につきましては、昭和63年8月末から10月初めにかけて発生した、好間町大利地区での大規模な地滑りを契機に、大利字井田木地内に2基、合計129基を設置しております。
震災後、台風や津波など自然災害に対する備えから、沿岸部に多く設置されていること。そして、好間町大利地区においては、主に地滑り災害に対する情報伝達を目的として設置されたことは改めてわかりました。
そこで4つ目として、今後、今回のような事態に備え、エ.内陸部にも防災行政無線を設置していく考えはあるのか伺います。
【答弁】本市の広域で起伏に富んだ地勢に置いて、市内全域に屋外拡張子局を設置することは、膨大な費用を要することから、市では平成26年度に戸別受信機を公共施設などに整備するとともに、平成26・27年度に防災ラジオを1,100台購入し、自主防災組織の代表者や民生・児童委員を対象に配布したところであり、災害時の情報を迅速に伝達しております。
確かに、防災行政無線をいわき市全域にわたって設置していくことについては困難なことはわかります。
今回の9月15日金曜日のミサイル発射事象は、平日の朝7時にJアラートからの情報伝達でした。私たちの地区では、集団登校の集合場所で保護者の皆様がスマートフォンなどで情報をとっている姿が見られました。しかし、自転車で通学している中学生の生徒さんは、スマホなどを持っていないためJアラートが鳴っているのかどうかも分かりませんでした。そこで5つ目として、
オ.登下校時の生徒・児童に対する周知方法について伺います。
【答弁】市内の小・中学校の児童・生徒への周知につきましては、9月7日付けで、Jアラートによるミサイル発射や通過などの情報伝達があった場合における対応について、市立小・中学校へ通知するとともに、同月8日付けで、同様の内容を私立保育所および幼稚園に通知しております。また、同月26日付けで、市立小・中学校に対し、登下校時の児童・生徒に対する情報の課題を解決する取り組みとして、「子ども避難の家」を一時的な屋内退避所として活用すること、及び「子ども見守り隊」からの情報の伝達について、協力を依頼するよう通知したところであります。
大変難しいこととは思いますが、喫緊の課題ですので、教育委員会など、関係部局間の連携を密にして、より良い周知方法が確立されますようお願いいたします。さて、今回のミサイル発射に係るJアラートによる情報伝達は、本市でもJアラート設備を整備した後で初めてのことでしたので、只今質問しました登下校時の情報周知の方法など様々な課題があるように思います。
そこで、(3) 3点目は、「今後の課題解消に向けた本市の取組みについて」です。
まず、1つ目として、Jアラートの伝達文では「ミサイルが発射された模様です。建物の中または地下に避難してください」とありました。しかし、残念ながら本市には今のところ地下街などはありません。
そこで本市の状況に即した、ア. 具体的な避難行動について伺います。【答弁】弾道ミサイル落下時の行動といたしましては、ミサイルが本市上空を通過する際には、落下物などが懸念されること、また、ミサイルの液体燃料にはジメチルヒドラジンを使用しているとされており、当該物質は発がん性を示す可能性があると評価されていることから、屋内退避が基本となります。その際、屋内ではできるだけ窓から離れ、できれば窓のない部屋に移動するよう周知し、また、屋外にいる場合には、近くの建物などに避難するよう周知しております。なお、Jアラート伝達時の行動については、今回の事象を受け、市民の皆様から問い合わせが寄せられたことから、市独自のQ&Aを作成し、市ホームページへ掲載したところであります。
防災行政無線を市内全域に設置することは困難とのことですが、小・中学校には、校内放送用の設備が整備されております。また、その他の公共施設にも館内用の放送設備があると思いますが、2つ目として、
イ. このような公共施設の放送設備の活用について伺います。【答弁】現在、学校を含む公共施設には、Jアラートと自動連動した戸別受信機を配布しており、有事の際には情報を受信できる体制を整備しているところでありますが、今回の事象を踏まえ、防災ラジオの自動起動装置の機能を活用し、学校の放送設備と連動できるかについて、調査しているところであります。
早急な取組みをお願いいたします。
次に、3つ目として、国民保護事象や大規模災害などが発生した場合、自動で起動して緊急情報を伝達する防災ラジオは、大変有用であると思いますが、今後、ウ.市民の皆様への防災ラジオ貸し出しについてはどのように考えているのか伺います。【答弁】防災ラジオにつきましては、購入した1,100基のうち、現在、1,022基を貸与しております。その内訳といたしましては、自主防災会に357基、民生・児童委員に641基、避難所などに24基であり、今後、これまでの活用実態などの調査などを踏まえ、市民への貸出などについて研究して参ります。
よろしくお願いします。
今回の事例では、ミサイル発射情報とミサイル通過情報については、Jアラートからの情報でありましたが、避難行動後、どのタイミングで通常の生活に戻ってよいのかどうかわからない状況でもありました。この緊急事態体制解除の判断は、ミサイルが1発で終わりか、それとも2発目、3発目があるのかなど不確定な状況での判断となるため非常に困難ということですが、市民目線から見ればやはり一定の基準が必要ではないかと思います。引き続き、より現実に即した対応について、国や県への働きかけをお願いいたします。
いろいろと質問をいたしましたが、市の国民保護計画では、「万が一、武力攻撃事態などが発生した場合においては、市の住民の生命、身体及び財産を保護する責務にかんがみ・・」と記載されています。
万が一はあってはならないものですが、市民の皆様は、安全・安心があってこそ普通の暮らしを営むことができるものでありますので、市としての責務を十分に果たしていかれますよう強く要望いたしまして、
次の質問に移ります。
2 地域産業の創出・振興について
大きな質問の2番目は、「地域産業の創出・振興について」であります。
平成29年 共に創る「共創」のまちづくり元年
〜さらなる50年に向けた魅力あふれるいわきの創生〜
これは、いわき市が歩んできたこれまでの50年を礎に、東日本大震災からの復旧・復興そして新たなまちづくりのため、昨年2月に、地域課題の解決を目指し、市民参画及び連携のもとで相互の知恵と資源を結集し、新たな価値を創出する「共創」をコンセプトに掲げて「将来のまちづくりの指針」が策定されました。さらに、3月に制定された「以和貴まちづくり基本条例」において、地域課題の解決とみらいにつなぐ「ひと・まち・しごと」を創る。そのための地域人財の育成(ひとづくり)、地域価値の向上(まちづくり)、地域産業の振興(しごとづくり)と3つの具体的な取組みにより今後の道筋が示されました。そこで、本市の地域産業創出・振興の考え方について商工・観光・農林水産の区分ごとに質問をしていきたいと思います。
(1)1点目は、「商工分野での取組みについて」です。
昨年、国は福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想の関連予算として、ロボットテストフィールドやロボット技術開発関連の共同利用施設などの事業費を計上し、ロボット分野における産業集積の環境づくりが本格化いたしました。
本県浜通り地域の産業復興に向けて、地元企業の技術開発のための取組みもすでに開始をしていることから、私たちの住むいわき市は、東北有数のものづくり産業が集積し、高等教育機関などの都市基盤も整備されている優位性を十分に生かしながら、構想に関連する企業や研究拠点で活動する人材を育てる「ベースキャンプ」として、構想推進を支える役割をしっかりと果たしていくべきと考えます。
そこで1つ目は、商工分野での取組みとして、国や県のプロジェクトが確実に進む中、地域で成長が期待できる産業分野の振興に取組んできたと思いますが、ア.再生可能エネルギー関連産業振興への取組み状況について伺います。【答弁】市といたしましては、再生可能エネルギー関連産業振興に向け、産学官連携による推進体制を構築するとともに、技術開発、研究活動への支援などを行い、市内企業の関連産業への参入を積極的に支援してまいりました。加えて、先月末、エア・ウォーター株式会社と中国電力株式会社が共同で、本市において大規模なバイオマス発電事業を行う計画が発表されるなど、再生可能エネルギーに関連する企業の立地も進んでいる状況です。また、風力関連産業につきましては、国が行う浮体式洋上ウィンドファーム実証研究事業を契機に、市内企業による研究会や、官民連携による推進組織が設立され、風力発電の主要部品の製造に市内企業が参入する事例が生まれてきたところであります。こうした取り組みに加え、県が浜通り地域に、多くの陸上風車を整備するプロジェクトを進めていることから、市といたしましても、風力メンテナンス産業を中心とした関連産業の集積を図ってまいります。
県においては、浜通り地域に風力発電施設を数多く整備して、原子力に代わるエネルギーの導入を進めるとともに、地域の雇用が確保されることで、「福島イノベーション・コースト構想」や「福島新エネ社会構想」などのプロジェクトをさらに推し進めるとのことであります。
特に、風力関連産業は今後、ますます需要の高まる可能性を秘めた将来性のある分野であり、すでに地元事業者の風力関連産業への参入も聞き及んでいるところですが、「風力ならいわき」というようなインパクトのある風力関連産業への取組みに大いに期待をするところです。
さらに、風力関連産業のうち風力発電のメンテナンス分野は、メンテナンス技術者を養成する人材育成をはじめ、関連部品の開発・製造。風車を動かしての環境対策の実証研究。さらには地域独自での風車製造など、多岐にわたっていることから、大変魅力のある分野です。そこで2つ目として、イ.本市における風力メンテナンス分野振興への考え方について伺います。【答弁】風力メンテナンス産業につきましては、国内の陸上風車の大量導入が計画されていることや、既存風車の経年劣化が進んでいること、本年4月に風車の定期的な安全管理検査が義務化されたことなどから、メンテナンスに必要な人材の確保や国内における部品供給体制の構築、新たなメンテナンス技術の開発が求められております。そのため、市といたしましては、メンテナンス人材の育成、市内企業の技術力強化、産学官連携による実証研究などを一体的に推進できるメンテナンス拠点を形成し、風力関連産業の集積につなげていくため、関連企業の誘致や関係事業者との連携強化に注力してまいりたいと考えております。
国内の有力な風力メンテナンス企業を本市に招致して、メンテナンス産業を地域に根付かせていくことは大変重要だと考えます。前向きな情報もあるようですので、さらに情報収集を進めながら企業誘致の活動につきましても積極的にお願いをいたします。
原子力災害を受けた本市において、新たなエネルギー社会を支える技術・産業をいわき市に集積させ、これらを活用しながら原子力に代わる新たなエネルギーを確保していくことは大変意義のあることです。只今触れました風力産業とともに、本市が独自に取り組んでいるバッテリー産業の集積とバッテリーの利用の先進都市を目指す「いわきバッテリーバレー構想」には期待をし、その進捗が大変気になるところです。そこで3つ目として、
ウ.バッテリー関連産業振興の取組み状況について伺います。【答弁】市といたしましては、バッテリー関連産業の振興を、いわき創生総合戦略に位置付け、重点的に取り組んで参りました。具体的には、いわきバッテリーバレー構想に基づき、バッテリーを使用した製品の普及や利用促進に向けたイベント・補助事業を実施したほか、市内企業のバッテリー産業参入に向けたセミナーの開催、人材育成や技術開発支援事業の実施、さらには、バッテリー関連企業の誘致に向けた市外企業へのヒアリングなどを行ってまいりました。また、事業の実施に当たっては、本市のバッテリー産業振興に向けた推進組織である一般社団法人いわきバッテリーバレー推進機構をはじめ、国や県、商工団体、関係企業などと連携し、情報共有を図りながら、官民が一体となって取り組んできたところであります。
4つ目として、エ.バッテリー関連企業の集積状況について伺います。【答弁】市内のバッテリー関連企業の集積につきましては、バッテリーを製造する企業や必要部材を製造する企業、性能評価装置を製造する企業など、従来から、関連企業の集積が見られる状況となっておりました。その後、「いわきバッテリーバレー構想」の推進を契機として、超小型電気自動車など、バッテリーを使用した製品を営業などの事業活動に積極的に利用する企業や、バッテリー使用製品の部品供給に参入する企業、新たなバッテリー使用製品の開発に取り組む企業の事例などが市内で見られるようになってきております。また、市外のバッテリー関連企業からも、本市の取り組みについて関心が寄せられていることから、今後も、関連企業の誘致や市内企業の技術力強化に努めてまいりたいと考えております。
産業振興をより推し進めるために、国内・外の有力企業誘致や地元企業を巻き込んだ様々な技術開発の活発化そして専門技術の集積化に積極的に取組んでいくことで、新たな成長産業分野が生まれる可能性があると思いますが、
5つ目として、オ.成長産業分野の振興にどのように取組む考えか伺います。【答弁】新たな成長産業分野の振興につきましては、中核的な企業の誘致に加え、既存の市内企業が、技術力を高めるなど、新分野に対応できる環境を整備していくことが重要であると認識しております。そのため、IoT、「モノのインターネット化」やAI、「人工知能」などの新たな技術の進展や、国・県の産業施策動向などを、これまで以上に注視しながら、地域特性を最大限に活用できるよう、時代に対応した支援を適時適切に実施して参りたいと考えております。
よろしくお願いいたします。
(2)2点目は、「観光振興の取組みについて」であります。
新聞報道によれば、8月下旬に県が発表した昨年の観光客の入込数は、福島県全体が一昨年より4.9%増え、震災の前年の92.3%まで回復したのに対して、いわき市は逆に4.7%減少し、本市が独自に調査している観光施設利用者にスポーツ・文化行事の参加者、またビジネス客も加えた観光交流人口でも、昨年は前年より1.2%減となりました。
本市は新たな試みとして、いわき市全域を会場に見立て自然や文化などを知ってもらう目的で、「いわきサンシャイン博」を開催いたしました。イベント会場が市内全域にわたるという大規模な試みに期待を大きくしたところであります。このようなことも踏まえながら、本市の観光振興の考え方について質問をしたいと思います。
まず1つ目として、先ほども触れましたが、昨年の観光交流人口が全体として一昨年よりもわずかに減少しましたが、ア.その要因について伺います。
【答弁】平成28年の観光交流人口が減少した要因といたしましては、東日本大震災から5年が経過し、復興支援を目的とした旅行客が減少したこと、また、平成27年に開催された大型観光キャンペーン「ふくしまデスティネーションキャンペーン」の終了に伴う旅行客の源などが挙げられます。とりわけ、スパリゾートハワイアンズやいわき湯本温泉など、市内宿泊者数が減少しておりますが、これは、官公庁が公表しました宿泊観光統計調査においても、昨年は、国内全体の旅行需要が減少しており、その要因として、ゴールデンウィークやシルバーウィークの日並びが悪かったことなどが挙げられていることから、本市においても同様の傾向があったものと考えております。
次に2つ目として、昨年はいわきサンシャイン博、今年はいわきアフターサンシャイン博を実施いたしましたが、イ.その成果について伺います。【答弁】いわきサンシャイン博及びいわきアフターサンシャイン博は、市全域を博覧会会場に見立て、既存の観光資源やイベントなどを組み合わせながら、「観る」「学ぶ」「交流する」をテーマに各種事業を展開し、震災後停滞する観光交流人口の拡大、市民の皆様へのいわきを知る機会の提供などを目的に実施して参りました。具体的には、市内の周遊ツアーの再興や各種テーマに基づく知的学講座などの実施、イベントの開催などを通じ、これまで、延べ20万人を超える方々にご参加いただいたところであります。このことにより、観光客や市民の皆様に、本市の魅力を改めて感じていただけるものと考えており、また、各地域のまちづくり団体におきましても、主催した事業を通じ地域間のネットワークが広がるなど、団体そのものの活性化が図られており、観光まちづくりの推進に向けて、一定の成果が得られているものと考えております。
皆様もご存じのとおり、観光振興の取組みにおいてインバウンドに対する対応も大変重要です。
古くから観光のまちとして有名な鹿児島市では、インバウンド対応の強化プロジェクトとして、鹿児島空港から直行便のある東南アジア地域への積極的な観光誘致などメインターゲットの拡大に力を入れること。姉妹都市や鹿児島市関連の海外進出企業そして大使館など幅広いネットワークを活用して鹿児島の認知度をさらに向上させる幅広い視点による誘致活動を実施すること。そして特徴的なのは、多様なニーズに合わせた外国人目線での二次交通の充実や噴火の危険を伴う桜島観光における「防災おもてなし」の推進など、安心して観光できる受入環境の整備に力を入れているとのことです。
本市においても、外国人の皆様に対して「防災おもてなし」のような対応で安全で安心に市内観光をしていただき、本当にいわきに来てよかった。また訪れたいと思っていただいて、本市観光リピーターになっていただくことが大変重要だと考えますが、
そこで3つ目として、ウ.本市のインバウンド施策について伺います。
【答弁】インバウンド推進のためには、受け入れ環境の整備及び広報宣伝活動が重要であると考えております。これまで、観光情報サイトの多言語化、市内宿泊施設又は観光誘客施設の事業者などが行う無線LAN環境整備への補助などにより受け入れ環境の整備を図ってまいりました。また、商工会議所及び市国際交流協会と連携し、昨年度実施いたしました、「いわき在住の外国人から見たいわきの観光について」の調査の結果、観光地の場所が分かりにくいという意見が多数寄せられたことを踏まえ、観光パンフレットの多言語化を進めるとともに、今後は、新設・更新する観光地の看板などの多言語化にも取り組んで参りたいと考えております。さらに、今年度は県と連携し、ターゲットを絞った上で、海外の旅行事業者などを招へいする、いわゆるファムトリップの実施やモデルコースの設定を行うほか、国際旅行は区での広報宣伝活動などを展開し、外国人旅行者の誘客に努めてまいりたいと考えております。
4つ目として、観光交流人口の回復そして拡大を図るうえで具体的には、エ.今後、どのような取組みを進めていく考えか伺います。【答弁】市といたしましては、本市における観光まちづくりのかじ取り役であり、DMO候補法人である「一般社団法人いわき観光まちづくりビューロー」を中心に、市内観光事業者や、地域まちづくり団体、市内経済団体、行政などが一体となった観光まちづくりを推進して参りたいと考えております。ぐたいてきには、「いわきサンシャイン博」の成果を踏まえた持続可能な着地型観光の実施に向けた取り組みや、県と連携した外国人観光客の誘致促進、被災地の復興状況を学んでいただくホープツーリズムなどに取り組みながら、主要業績評価指標、いわゆるKPIを設定した上で、観光地経営の視点に立ったPDCAサイクルに基づく戦略的な施策展開を図り、観光業の再生と、観光交流人口の回復・拡大を図ってまいりたいと考えております。
まもなく、JR常磐線が全線で再開され交通環境は震災前の状況に戻ります。震災前、いわき市は首都圏から約2時間圏内と、交通の便が良くなりすぎて、「観光においては、宿泊地から通過地点になってしまった」との声も聞かれました。
新たな観光資源の掘り起こしとともに、鹿児島市のような特色あるソフト開発も、宿泊してゆっくりと市内観光していただける魅力あるまちづくりには不可欠だと考えますので、引き続きよろしくお願いいたします。
(3)3点目は、「農林水産分野の取組みについて」であります。
本市の農林水産業は、福島第一原子力発電所事故により、農産物の出荷制限や、漁業の操業停止など大きなダメージを受けました。事故から6年8か月が経過した現在においては、「風評」という形で、その影響はいまだ継続しているところであり、農林水産分野における新たな事業の創出や、さらなる振興を図る上で、風評の払拭は大きな課題であると認識しております。
そこで1つ目として、ア.本市におけるこれまでの風評払拭に対する取組み状況について伺います。【答弁】本市農林水産業の風評払拭に向けた取組みにつきましては、声高に安全・安心を訴えるのではなく、ありのままの現状をお伝えすることで、消費者自身に、安全・安心を判断していただくため、農林水産物の検査所や生産現場などを訪問する「見せる課バスツアー」の開催、おいしさなどの魅力を消費者の目線から発信していただく「いわき野菜アンバサダー」制度の創設、さらには本市水産業の地域ブランド「常磐もの」をキーワードに、おいしさや品質といった本市水産物の魅力を発信するプロモーション事業の展開をしてまいりました。さらに今年度は「いわき野菜6秒CMチャレンジ」の実施や対象を海外にも広げ、ベトナムへ「サンシャインいわき梨」を輸出するなど、国内外における風評対策を総合的に取り組んできたところであります。
次に、木質バイオマスエネルギーの可能性調査についてです。
木質バイオマスエネルギーについては、近年、再生可能エネルギーの活用による持続可能で環境負荷の少ないまちづくりが求められている中、各地で発電施設などの計画が進展しており、今後さらなる需要の拡大が見込まれるものと聞いております。
本市の森林面積は市の面積の約7割を占めており、この豊かな森林資源を活用できれば、持続可能で環境負荷の少ないまちづくりが実現できるとともに、本市の林業・木材産業の振興にもつながるものと考えております。
そこで2つ目として、イ.本年度から新たに実施している木質バイオマスエネルギーの活用可能性調査事業の取組み状況について伺います。【答弁】再生可能エネルギーの一つである木質バイオマスエネルギーにつきましては、間伐に伴う小径木や枝葉などの林地残材を有効活用することにより、資源の収集運搬やエネルギー施設の管理運営など、新しい産業と雇用が作られ、中山間地域の活性化につながるものと期待されていることから、本市におきましては、今年度から新たに、「木質バイオマスエネルギー活用可能性調査」に取り組んでおります。主な取り組み内容としましては、公益社団法人いわき産学官ネットワーク協会を代表とする市内外の5つの関連事業者で構成する団体と連携し、市内の森林資源の供給可能量や、本市林業の現状を調査するとともに、同エネルギーを活用した発電施設などの情報収集を行い、課題などの整理や解決策の調査・研究を行うこととしております。
木質バイオマスエネルギーの活用に当たっては、林業者から製造業者などの多くの関連事業者の総意のもと、地域が一体となって取組むことが重要であると考えておりますので、本市の林業振興のためにも、実現に向けて取り組みを進めていただきたいと思います。
3つ目として、農林水産分野におけるこれまでの取組み状況を踏まえた、ウ.本市における今後の取組みについて伺います。【答弁】農林水産分野の今後の取り組みにつきましては、引き続き、風評の早期払拭に向け、農林水産業関係者の皆様のご意見などをいただきながら、本市農林水産物の安全性に対する消費者や流通関係者などの理解促進を図るため、各種プロモーション事業を展開して参りたいと考えております。また、6次化産業化などによる新商品開発や農産物についてはGAPの認証、水産物については「海のエコラベル」などの認証の取得について、支援して参りたいと考えております。これらに取り組むことにより、「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」への農林水産物の提供や、海外輸出の促進につながり、農林水産業の創出・振興に寄与するものと考えております。
引き続き、本市の地域産業の振興にご尽力いただきますようお願いいたしまして、次の質問に移ります。
3 将来を見据えた総合交通対策について
大きな質問の3番目は、「将来を見据えた総合交通対策について」であります。
いわき市は、昭和41年の合併により広域多核都市という特性を持ちました。本市の交通対策につきましては、広域多核都市となったことにより生じたデメリットに対して、バス、タクシー、JR常磐線、JR磐越東線などの公共交通を有効に活用しながら、市民の皆様の足を守る総合的な交通対策を実施するために、多くの先輩方が議論を交わしながら、今日に至ったものと認識しています。しかし、近年、さらに自家用自動車の普及や少子化による人口減少によって、公共交通の利用者がますます減少傾向となり、維持・確保も大変厳しい状況となっています。
あらためて公共交通への総合的な対応が必要と思われますことから、将来を見据えた対策について伺っていきたいと思います。
まず、公共交通のうちJR常磐線の利用についてです。
先月23日、東日本大震災により不通になっていたJR常磐線のうち楢葉町竜田(たつた)駅から富岡町富岡駅までの間、約6.9キロが6年7ヶ月ぶりに運行を再開いたしました。残りの不通区間は富岡駅から浪江駅間の約20.8キロとなり、仙台駅までの全面再開に向けさらに一歩前進し、JR東日本によれば、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年3月末までに全面再開を目指すとのことであります。
震災以前、JR常磐線下り方面の特急列車は、いわき・仙台間で1日4往復運行しておりました。JR常磐線の全面再開と同時に、仙台への特急列車再運行にも大いに期待をするところです。
本県浜通りを南北に貫く大動脈があらためて機能することにより、人やモノの動きが活性化して、本市にもたらされる経済的効果に期待をふくらませております。
また、関東方面へのJR常磐線特急列車の利用促進につきましては、市長自ら、前回選挙時にはミニ新幹線の実現。今回は、スピードアップ化に向けた取組みについて,市民の皆様と約束をしておりました。
JR常磐線関連の公約については、期待をしておられる市民の皆様も多いと思います。
そこで、(1)1点目は、「JR常磐線特急列車のスピードアップ化に向けた取組みについて」です。
まず1つ目として、ア.JR常磐線の利用促進に向けたこれまでの取組みについて伺います。【答弁】JR常磐線の利用促進に向けましては、「いわき市鉄道交通を応援する会」が主体となり、本年8月に、茨城県や茨城県内の常磐線沿線自治体と連携し、いわき駅、湯本駅、泉駅におきまして、ポケットティッシュとチラシを配布し、JR常磐線の利用促進を呼びかける街頭啓発活動を実施したところであります。また、10月8日には、いわき駅におきまして、東日本旅客鉄道株式会社が主催する磐越東線全線開通100周年記念イベントにあわせ、鉄道交通への関心や理解を深めることを目的とする「いわき親子鉄道フェスタ2017」を同時開催し、大勢の方にご来場いただいたところであります。さらには、市といたしましても、東日本旅客鉄道株式会社が企画する「駅からハイキング」への協力や、駅と観光施設を結ぶ期間限定の無料シャトルバスを運行するなど、JR常磐線を、より多くの人に利用していただけるよう、気運の醸成を図っているところでございます。
私は、以前からJR常磐線特急列車のいろいろな課題解消のカギは、まず市民の皆様へのより具体的な乗車率向上の対策提示であるとお話しをさせていただいております。
JR常磐線特急列車を使って首都圏へ通勤をしている方から、このようなお話を聞きました。現在、平日朝の通勤の場合、いわき駅始発6時14分の特急列車を利用しても、会社の始業時間に間に合わないため、車で茨城県の高萩駅に向い、高萩駅始発5時45分発の特急列車を利用しているとのことでした。また帰りは、午後9時上野発がいわき最終の特急列車で、高萩駅止まりは上野駅午後10時発車となります。この1時間遅い高萩駅止まりの特急列車をなんとかいわき駅まで運行することはできないかとのことでした。
当事者以外の方から見れば小さなことかもしれませんが、この特急列車をいわき駅まで運行できることだけで、朝と夜の往復分約1時間30分も時間を有効に使えることになります。通勤の方はもちろん、観光やビジネスで利用される皆様にとっても大変効果の高い対策だと思います。そこで、このようなことも踏まえ、2つ目として、イ.通勤・通学などにおけるJR常磐線特急列車の利便性向上に向けた取組みについて伺います。【答弁】JR常磐線特急列車につきましては、いわき駅〜品川駅間の始発及び最終列車の運行時間を見直すことにより、首都圏への通勤、通学などの利用が可能になることや、日帰り出張などのエリアが拡大されることから、さらなる利便性の向上と利用促進につながるものと考えております。このため、東日本旅客鉄道株式会社に対し、高萩駅発着の特急列車について上り始発及び下り最終列車の運行区間を、それぞれいわき駅まで延伸するよう、これまで要望活動を継続してきたところであり、今後におきましても、「福島県鉄道活性化対策協議会」をはじめ、「常磐線活性化対策協議会」や「いわき市鉄道交通を応援する会」および、茨城県内の期成同盟会との合同による東日本旅客鉄道株式会社への要望活動を実施する予定となっておりますことから、当該列車の運行区間のいわき駅までの延伸について、引き続き、積極的に要望してまいりたいと考えております。
それでは3つ目、ウ.JR常磐線特急列車のスピードアップ化に向けた今後の取組みについて伺います。【答弁】JR常磐線特急列車のスピードアップ化につきましては、これまでも、通勤、通学、日帰り出張エリアの拡大などによる利便性の向上を目的に、東日本旅客鉄道株式会社に対し、継続して要望活動を行ってきたところであり、これまで、上野東京ラインが開通し、現在では、常磐線のほとんどの特急列車が品川駅に乗り入れるなど、利便性の向上につながる成果が得られております。また、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会やラグビーワールドカップ2019の開催に向けた本市のイメージアップによる交流人口の拡大や、浜通り地区の復興の加速化などにも大きく寄与するものであることから、本年6月には、「福島県鉄道活性化対策協議会」による東日本旅客鉄道株式会社本社への要望活動に参加し、上野駅〜いわき駅間を2時間未満で結ぶ特急列車の運行について強く要望してまいったところであります。今後におきましても、通勤・通学などにおけるJR常磐線特急列車の利便性向上に向けた取り組みと同様に、JR常磐線特急列車のスピードアップ化について、様々な機会をとらえ、引き続き積極的に要望してまいりたいと考えております。
高速バス料金のお手軽さをとるか、JR常磐線特急列車の到着時間の正確さをとるか。市民の皆様は、敏感に状況を判断されて前者を選択されている方のほうが多いのかと思います。JR常磐線の利用促進を支援するためには、さらに、スピードアップ化に向けた取組みを進めるとともにJR東日本と連携し、駅近くの市営駐車場を、残念ながら10月末で廃止となった「パーク&ライド」方式の駐車場に一部切替えて使用してみることや、JR東日本タイアップの企画として、以前販売されて好評だった「週末とうきょうキップ」のようなお得感のあるチケットの販促を支援することなども、再度検討していただければと思います>。この項のまとめとなりますが、2020年に予定されているJR常磐線の全面再開は、国においても被災地である福島・宮城両県沿岸地域の交通インフラ復興総仕上げのシンボリックな出来事になると思います。
全線再開後のJR常磐線のスピードアップ化そして利用促進事業については、国策として国が責任を持って取組むこと。また関連事業にも手厚く支援をしていただけるよう、国に対し本市として強く要望していっていただきたいと思います。
(2)2点目は、「バス路線の維持・確保に向けた取組みについて」であります。
1年間の生活バス路線利用者について調べてみますと、昭和から平成に移った、平成元年度は1,549万9千人でしたが、2年前の平成27年度は359万4千人と約4分の1まで減少してしまいました。それに比べ自家用自動車は、増加傾向をたどっており、依存度が高まることで、排気ガスによる環境負荷や交通事故そして交通渋滞などの増加も懸念されるところです。
このようなことから本市におけるバス路線の維持・確保の施策について伺います。まず1つ目として本市が行っている、
ア.バス路線の維持・確保に向けた支援策について伺います。【答弁】市といたしましては、平成17年度に「いわき市生活バス路線維持対策事業費補助金制度」を創設いたしまして、採算性の確保が困難となっている路線に対し助成を行い、バス路線の維持・確保に努めて来たところであり、今年度は、市内を運行する生活バス路線123系統のうち31系統を対象に、運行にかかる経費の45%を上限とした補助を行うこととしているところであります。
当然のことですが、バス路線の維持・確保には多くの市民の皆様のバス利用が欠かせませんが、2つ目として、
イ.バス利用促進に向けた具体的な取組みについて伺います。【答弁】バスの利用促進に向けましては、乗車率の低いバス路線沿線の地区においては、説明会や回覧板などによる路線バス利用促進の呼びかけを行うとともに、児童・生徒や高齢者を対象に、乗車マナーを含めたバスの利用方法を体験・学習する「バスの乗り方教室」を乗り合いバス事業者と共同で開催しております。また、公民館や郵便局、商業施設などにおいて、バスなどの公共交通の利用促進を呼び掛けるチラシ・ポスターを掲示するなど、様々な取り組みを行っているところです。
市民の皆様の身近な足である路線バスの利用促進につきましては、多くの皆様の知恵をさらに結集させ、早急な対応をお願い申し上げるところです。
さて、市長就任インタビューの中で、高齢者バス利用券の発行について「来年度予算でなんとかして、早ければ来年の10月ごろの実施を。」とのコメントがありました。しかしながら、バスが走らない地域では何の意味もないと考えます。また、タクシーや電車などにも利用できる共通利用券という形になれば、予算的に膨らんでしまうという問題も出てくると考えます。
そこで3つ目として、
ウ.高齢者バス利用券に対する考え方を伺います。
【答弁】高齢者に対する移動支援策を検討する上では、公共交通機関の利用可否や、地域や親族における支援の有無、外出の目的やその頻度などにより、必要な支援の方策や程度が異なるものと考えております。このため、「いわき市地域交通検討プロジェクト会議」において、公共交通機関の利用が困難である中山間地に居住される方や、外出に関しての利便性が低減されることとなる、運転免許証を自主返納される方に対しての検討を進めているところであり、高齢者の方への生活支援や社会参加の促進としての移動支援策については、広域多核都市である本市特性などにあった他市の情報の収集などに努め、有効な方策のあり方について検討してまいりたいと考えております。
市内全域の高齢者の皆様が、等しくサービスを受けられる施策の実行に期待をしたいと思います。
(3)3点目は、「中山間地域における移動手段の確保について」であります。
バスやタクシーなど公共交通が利用しにくい地域において、一般ドライバーが自家用自動車で住民を運ぶ「ライドシェア(相乗り)」の活用が広がっています。高齢ドライバーの事故が増え、免許返納が問題化する中、生活の足として機能するのか注目されていますが、安全性や規制の壁があることから手探りの取組みが続いている状況とのことです。今までは、一般のドライバーが有償で自家用自動車にお客様を乗せて運ぶことは「白タク」行為として禁じられてきました。しかし、2006年に道路運送法の一部が改正され、一定の地域で自治体やNPOが管理する場合に認められるようになりました。
そこで、中山間地域において有効な手段になるのではないかとの観点から、全国でのこのような動きに対して、本市ではどのように取組む考えか質問をいたします。まず、これまで市が行ってきた移動手段確保の取組みの中で、
1つ目として、ア.中山間地域における交通課題について伺います。【答弁】市の中山間地域におきましては、マイカーの普及や人口減少などに伴う、路線バスの廃止や減便、タクシー事業者の撤退などにより、公共交通空白地帯や不便地域が生じており、高齢者や児童・生徒などの交通弱者にとりましては、買い物や通院・通学のための移動手段の確保、生涯学習やコミュニティ活動などの社会参加機会の減少など、様々な課題を抱えている状況にあります。
次に2つ目、イ.本市で行われてきた移動手段確保に対するこれまでの取組みについて伺います。【答弁】これまで、だれもが利用しやすい新たな移動手段の実現を目指し、四倉、三和、田人、久之浜・大久地区において、地域の皆様と一体になり、乗り合いタクシーなどの社会実験に取り組んで参りましたが、当初に見込んだ利用者数より少なく、採算性の確保が困難であったことなどの理由から、継続的な運行には至らなかったところであります。しかしながら、これらの取り組みにより、地域住民の間に、地域の交通は地域で育むという意識の醸成が図られたものと考えております。
本市がこれまでに実施してきた実証試験を踏まえ、3つ目として、
ウ.新たな交通手段の確保に向けた取組みについて伺います。【答弁】中山間地域におきましては、高齢者や児童・生徒などの交通弱者が、家族や近隣住民の支援により、必要最小限の移動手段を確保していること、人口減少や高齢化の進展により、運転の担い手の確保が困難になることを踏まえ、地域全体で住民同士の支え合いによる新たな移動手段を確保することが、より重要となってきており、共助の意識が根付く中山間地域の特性を生かした、地域が主体となったボランティア輸送が実現性が高く、より効果的な取り組みであると考えております。このため、現在、田人地区および三和地区におきまして、住民同士の支え合いによるボランティア輸送の実現に向け地域の皆様と勉強会を重ねながら、地域住民の移動需要をとらえた運行計画の策定や運転手の確保などによる運営体制の構築のほか、行政の支援の在り方などについて、検討を進めているところであります。
これから公共交通の利用が難しい地域において、生活の足の確保は、そこに住む市民の皆様の「共助」の発想で成り立っていくものと、私は考えます。
しかしながら、そのかじ取りは行政の大切な役割でありますので、今後、ますます市民の皆様の目線で「いわき」ならではの取組みをしっかりと推し進めていただくことを心からお願いし、
以上で、私の質問を終わらせていただきます。
ご静聴ありがとうございました。
平成29年2月定例会一般質問9回目の登壇です。
皆さん、こんにちは。
14番 いわき市議会
志帥会 西山一美です。
通告順に従いまして、
市政一般について質問をいたします。
1 「新・いわき市水道事業経営プラン」について
大きな質問の1番目は、「新・いわき市水道事業経営プランについて」であります。
あの東日本大震災から間もなく6年目を迎えます。
6年が経とうとしている今でも、震災の経験として思い出すのは、水道の無い生活の大変さであります。食事が作れない苦労。トイレが利用できない苦労。まともにお風呂にも入れませんでした。
水道は、市民生活や経済活動に欠かすことのできない社会基盤であり、そのありがたさをいやというほど思い知らされました。
また最近の新聞紙上において、「水道管の老朽化が止まらず、このまま推移すれば、漏水(ろうすい)による長期間の断水が発生し、毎日の生活に支障をきたすことになるのではないか」というような記事が掲載され、大変に気になるところであります。
さて、私は2年前の平成27年2月定例会において、10年間単位で進める「いわき市水道事業経営プラン」の基本計画と4年間単位で改訂(かいてい)しながらより具体的な施策(しさく)展開(てんかい)を図る、中期経営計画の終期(しゅうき)を同じくするため、中期経営計画では、平成28年度末まで2年間延長するとした内容についての質問をいたしました。その中で、給水(きゅうすい)収益(しゅうえき)の減少や施設更新(こうしん)事業費(じぎょうひ)の増(ぞう)大(だい)など、厳(きび)しさを増すであろう水道事業の経営環境を見据(みす)え、経営体質強化、効果的な老朽(ろうきゅう)施設(しせつ)更新事業の推進、さらには、震災の教訓を基にした災害対策事業を推進していくとの方向性を理解したところでありますが、今回、向こう10年の経営計画として平成29年度からスタートする「新・いわき市水道事業経営プラン」が策定されましたので、あらためてプランの詳細について質問をいたします。
新・経営プランの基本的な考え方については、わが会派の代表質問において質問しておりますので、私は、最重要事業としている「老朽管(ろうきゅうかん)更新事業」を中心に質問を進めたいと思います。
それでは、 (1)1点目の質問は、「水道管の状況について」です。
本市では昭和41年の合併以降、旧市町村ごとの水道事業を統合してきたほか、右肩上がりの水需要に対応するものとして三期にわたって拡張事業を進めてきましたが、この間、整備した水道管の老朽化が進んでいるのではないかと思います。
そこで、まず1つ目として、ア.本市の漏水(ろうすい)の状況について伺います。
【答弁】1
当然のことながら、漏水対策につきましては、漏水率(ろうすいりつ)ゼロに向かって継続的に事業を進めてきたものと思います。しかし、東日本大震災の影響によって、計画の修正をせざるを得なかったものと考えます。
2つ目は、これまでのイ.漏水(ろうすい)対応の実績について伺います。
【答弁】2
次に、実際に老朽度はどのようになっているかということですが、これは、水道管の法定耐用年数が40年を超えているものの割合ではないかと思います。そこで、3つ目として、ウ.本市の水道管老朽化の状況について伺います。
【答弁】3
震災後、復旧・復興事業を重点的に取り組んできたことなどから、老朽化が進んでいるということですが、これについては被災(ひさい)自治体共通の課題であると思います。また、老朽化(ろうきゅうか)対策(たいさく)を進めると同時に大切なのは、水道管の耐震化だと考えます。これまで、老朽管の更新にあわせて、耐震(たいしん)性能(せいのう)を持つ水道管を使っていくことなどによって、耐震化を進めてきたと思いますが、
4つ目として、エ.本市の水道管耐震化はどのような状況なのか伺います。
【答弁】4
水道管全体の耐震化率(たいしんかりつ)に比べ、基幹管(きかんかん)路(ろ)の耐震化率は高いようです。
それでは、本市水道管の老朽化の状況、そして耐震化の状況についてそれぞれ伺いましたが、5つ目として、
オ.本市の状況は、他市と比較するとどのような状況なのか伺います。
【答弁】5
ここまで、水道管の状況について質問しましたが、これらのことを踏まえて、今後、どのように対策をとっていくのかがポイントになると思います。
そこで、(2) 2点目は、「今後の取組みについて」です。
まず、1つ目として、
ア.老朽管(ろうきゅうかん)解消の取組みについてどのような考えで進めていくのか伺います。
【答弁】6
次に、2つ目として、
イ.水道管の耐震化の取組みについては、どのように進めるのか伺います。
【答弁】7
次に、災害時を想定して、「救急病院」等までの水道管の耐震化を図るため「重要給水施設配水管(はいすいかん)整備(せいび)事業」を実施していくとありますが、
3つ目として、ウ. 重要給水施設配水管(はいすいかん)整備(せいび)事業の内容について伺います。
【答弁】8
次に、非常時の安定給水等を目的に「基幹浄水場連絡管(れんらくかん)整備(せいび)事業」を実施していくとありますが、4つ目として、
エ. 基幹浄水場連絡管(れんらくかん)整備(せいび)事業の内容について伺います。
【答弁】9
現在進められている基幹浄水場連絡管(れんらくかん)整備(せいび)事業が完了することで、浄水場間での水道水のやり取りが可能となり、施設の統廃合(とうはいごう)が進み維持(いじ)管理費(かんりひ)などの抑制(よくせい)にもつながっていくものと考えます。
老朽管の解消や非常時の安定給水は、どちらも大変重要なことでありますので、ぜひとも計画的に事業を進めていただきたいと思います。
そこで、これらの取組みを実施していくためには、多くの財源(ざいげん)が必要になると思いますが、5つ目として、
オ. これらの事業に必要な財源を、どのように確保していく考えか伺います。
【答弁】10
水道管の耐震化や施設の更新を進めるためには、多額の事業費が必要であることは明らかです。その一方で水需要は、人口減少そして節水効果のある住宅機器の台頭(たいとう)などにより減少傾向となっていくものと思います。
その対応として、水道施設の重要度や更新順位などをアセットマネジメント手法により精査(せいさ)し、効率的・効果的な水道事業の展開を推進していただきたいと思います。まとめとなりますが、新たなステップへと歩を進める「新・いわき市水道事業経営プラン」を推進していくために、6つ目として、
カ. 更新(こうしん)関連事業の実施と水道料金のバランスについては、どのように考えるのか伺います。
【答弁】11
この質問の冒頭(ぼうとう)でも申し上げましたが、本市は、東日本大震災を経験し、多くのことを学びました。
今後、水道局が水道管の更新や耐震化を進めて行くに当たっては、震災(しんさい)体験(たいけん)を十分に生かしながら事業を進めていくことで、プランに掲(かか)げた理念のとおり、水道の健全性(けんぜんせい)が維持されていくものと考えます。
いわき市民の命を守る大切な水が、執行部の皆様の力で、安全安心を堅持(けんじ)しながら次世代に引き継がれることを心より願いまして、次の質問に移ります。
2 イノベーション・コースト構想について
大きな質問の2番目は、「イノベーション・コースト構想について」であります。
去る2月10日に、政府は、「帰還(きかん)困難(こんなん)区域内の復興・再生に向けた環境整備、被災事業者の生業(なりわい)の復興・再生を担(にな)う組織の体制強化、浜通り地域の新たな産業基盤の構築(こうちく)、福島県産農林水産物などの風評(ふうひょう)払拭(ふっしょく)等に必要な措置を講ずる。」との福島復興(ふっこう)再生(さいせい)特別(とくべつ)措置法(そちほう)の一部を改正する法律案を閣議(かくぎ)決定(けってい)し、「イノベーション・コースト構想」推進の法定化(ほうていか)が盛り込まれました。
この構想の取組みを促進するために、福島の地方(ちほう)公共(こうきょう)団体(だんたい)相互の広域的(こういきてき)な連携の確保を含め、国、福島県、市町村、事業者等の連携強化に必要な施策を講じるとしています。
このように、より具体的になった構想の詳細について、本市として引き続き、どのような役割を果たしていく考えなのか伺っていきたいと思います。
まず、(1)1点目は、「本市における人材育成関連の事業について」です。
昨年の12月3日、楢葉(ならは)町にある楢葉遠隔(えんかく)技術(ぎじゅつ)開発センターにおいて、「廃(はい)炉(ろ)創造(そうぞう)ロボコン」が開催されました。これは福島高専が、文部科学省の「廃止(はいし)措置(そち)研究・人材育成等強化プログラム」に唯一(ゆいいつ)採択され、福島第一原子力発電所の廃炉を進める力になりたいと、廃炉創造ロボコンの開催を全国に呼び掛けて実施されました。
本市が本構想の中でも特に重要と位置付ける人材育成の今回の事業に対し、1つ目として、ア.廃炉創造ロボコンの成果について伺います。
【答弁】12
全国13の高専から15チームが名乗りを上げ、第一原発の屋内を模(も)した階段を上る手作りロボットや長い首を伸ばして2階の様子を調べるロボット。地面すれすれに地形を調べるロボットなど大変レベルの高い大会となったと聞いているところです。そこで、このような大切な芽(め)をさらに育てていく観点から、2つ目、本市としてイ.人材育成分野の今後の動きについて伺います。
【答弁】13
廃炉40年といわれている第一原発に対して、これから廃炉関連の技術者を目指そうとする学生の皆さんに、本市も積極的に支援・協力し、専門技術者を地元から多く輩出(はいしゅつ)していくことで、学生の皆さんも40年後には60歳前後となり、廃(はい)炉(ろ)技術(ぎじゅつ)中心世代となって、「いわき」そして「浜通り」の再生・復興のために活躍していただけるものと考えるところです。
それでは次に、(2)2点目は、「構想の法定化(ほうていか)に伴う本市関連の事業について」であります。
先ほども申し上げましたように、2月に閣議決定されたこの改正(かいせい)案(あん)では、県(けん)知事(ちじ)が作成する、新産業の創出(そうしゅつ)等を推進するための全県対象の重点(じゅうてん)推進(すいしん)計画(けいかく)において、「福島イノベーション・コースト構想」の取組みを推進する福島国際研究産業都市区域(くいき)を記載(きさい)。その区域内で行う取組みについては、研究開発拠点の整備、その拠点周辺の生活環境整備、本区域への来訪(らいほう)の促進、県や市町村の相互間の連携強化などを記載することが可能であるとしています。
これに伴って県内各地域においても施設整備の動きがより活発化するのでないかと考えるところです。そこで、これまでの経緯を踏まえながら、本市とかかわりのある分野について質問をしてまいります。
まず、ア、エネルギー関連分野についてです。
イノベーション・コースト構想の重要プロジェクトの一つであるIGCC(石炭ガス化複合発電)のプロジェクトが、2020年東京オリンピック・パラリンピック開催に合わせて、稼働(かどう)するため動き出したとのことです。
「いわき育ち」の技術であるこのIGCCは、従来型の石炭火力発電と比較して、発電量当たりの二酸化炭素排出(はいしゅつ)量が削減される環境(かんきょう)配慮(はいりょ)型の発電方式であり、クリーンコール技術の発信地として本市をアピールする重要な地域(ちいき)資源(しげん)でもあります。高効率火力発電設備が稼働(かどう)することで、老朽(ろうきゅう)火力発電設備などが随時(ずいじ)更新され、自然にやさしく、地球にやさしいエネルギーが、この「いわき」から作られていくことになり、現在のプロジェクトの進み具合が気になるところです。
そこで1つ目として、(ア)IGCCの進捗(しんちょく)状況について伺います。
【答弁】14
IGCC完成後は、低炭素化(ていたんそか)をけん引するクリーンコール世界拠点として、その存在が日本国内外(こくないがい)から注目されることとなると思います。以前の質問でもお話をいたしましたが、世界各地から多くの皆様が研修や視察を目的として本市を訪れることも予想されるところであり、そのために国際(こくさい)会議場(かいぎじょう)や宿泊施設を備えたIGCC技術研修・研究センターの誘致(ゆうち)は大変重要だと考えます。
ぜひ、センター本市設置について、国・県に対し積極的にプローチし、要望していくべきと考えます。そこで、あらためて2つ目として
(イ)IGCC技術研修・研究センターの本市設置について所見を伺います。
【答弁】15
先ごろ、政府は、福島を新エネルギー産業の育成のモデル拠点にするための「福島新エネ社会(しゃかい)構想(こうそう)」をとりまとめました。この構想では、再生可能エネルギーの導入拡大のため、阿武隈山地と沿岸部の風力発電の送電網(そうでんもう)を増強(ぞうきょう)。また、2020年までに、世界最大の1万キロワット級の再生可能エネルギーを用いた大規模な水素製造を実現し、福島で作られた水素を東京オリンピック・パラリンピックで活用するとしました。この事業も、いわき市北部地区が関係してくることから、本市としてどのように捉(とら)え、水素(すいそ)事業(じぎょう)拠点として、どのように対応していくのかが重要になっていくと思われます。そこで3つ目として、(ウ)風力を活用した水素事業についての所見を伺います。
【答弁】16
次に、イ.第一次産業関連事業の今後の動きについてです。
イノベーション・コースト構想の実現において農林水産分野では、先端技術を取り入れ日本(にっぽん)農林水産業のフロンティアを目指す8つのプロジェクトを実施すると提言(ていげん)しております。そのためにロボット技術や環境制(かんきょうせい)御(ぎょ)システムなどの先端技術を取り入れ、先進的な農林水産業を全国に先駆(さきが)けて実践(じっせん)することで、復興・再生を図っていくこととし、水産業においては、県の水産試験場の機能強化を図ったうえで、魚介類(ぎょかいるい)の安全性確保のための技術開発を行うこととしています。
その県水産試験場は小名浜にあります。
震災以前は栽培(さいばい)漁業(ぎょぎょう)や水産資源・海洋漁業・漁場(ぎょじょう)環境(かんきょう)などの部門について様々な活動を展開してまいりましたが、6年前の東日本大震災や第一原発事故により、大きな被害を受けました。現在、水産業の復興・再生に向け、水産試験研究(けんきゅう)拠点(きょてん)整備事業として動き出しているとのことでありますので、
1つ目として、(ア)水産試験研究(けんきゅう)拠点(きょてん)整備事業の進捗状況について伺います。
【答弁】17
本構想において、水産業関連プロジェクトは、国内外の大学や試験研究機関との連携を図りながら整備を進めることとなっております。その中で、浜通りの新たな水産業確立のための研究として、情報通信技術(ICT)や人工衛星などを活用した水産資源の管理と漁獲(ぎょかく)の最適化、閉鎖型(へいさがた)循環養殖や陸上養殖など、次世代養殖システムの開発などといったアイデアも出されています。
最近、テレビで岡山理科大学専門学校の山本研究室で作られた「好適(こうてき)環境(かんきょう)水(すい)」が話題になりました。この学校は、海水を汲(く)むために往復3時間もかかる場所にあります。「好適環境水」は、淡水(たんすい)にわずかな濃度の電解質(でんかいしつ)を加えてできる、淡水魚も海水魚も共に生育(せいいく)できる不思議な水のことです。原始(げんし)海水(かいすい)では淡水と海水の区別がないくらいに濃度が薄い中で多くの生物が暮らしていました。
研究室では、その生態(せいたい)系(けい)に着目(ちゃくもく)し、海水から余分な成分を除いていき、最終的にわずかな成分で魚を飼育(しいく)することに成功しました。さらに飼育実験を重ねたことで、この水で育った魚の方が大きく、成長も早くなっていることがわかりました。併せて、海底のヘドロ化や水質悪化の影響もほとんどなく、魚病(ぎょびょう)の危険性が低くなることから、「海上の養殖」より「陸上の養殖」の方が安全性においてもメリットが多いと考えられます。また、水温に影響されないことから安定した生産性が見込まれ、採算面(さいさんめん)でも魅力ある施設になると考えます。
このような新発想は、原発災害の影響を受け、未(いま)だ多くの課題を抱えた本県の漁業分野に一筋(ひとすじ)の光を灯(とも)す可能性を秘めていると考えます。そして、本市のように養殖環境の厳(きび)しい状況にある地域において、大変参考になる事例(じれい)であり、中山間地域における廃校(はいこう)利(り)活用(かつよう)の視点からも、有望で効果的な取組みになるものと考えます。本構想を通し、新しい試みに挑戦しようとする動きについても、国・県と連携して積極的な支援をお願いするところです。
次に、農業分野についてであります。
大震災および第一原発事故により、本市は、農産物の消費(しょうひ)低迷(ていめい)や風評(ふうひょう)被害(ひがい)など大変大きな被害を受けることとなりました。
このような状況を打開(だかい)するため、本市独自に2011年10月より「いわき農作物見える化プロジェクト"見せます!いわき"」を実施し、一方的に安全を語るのではなく、食の安全・安心を消費者自らに判断してもらおうと、市ホームページなどで農作物や農地、水道水、大気中の放射(ほうしゃ)線量(せんりょう)等を公表してきました。これまでの活動には大変な苦労があったものと推察するところです。
この地道で着実な取組みを通して、風評は徐々に払拭(ふっしょく)されてきていますが、担(にな)い手不足、市場規模の縮小等、震災前からの課題も相まって、震災以前の消費(しょうひ)水準(すいじゅん)までには戻っていないのが現状とのことであります。
また、震災前の2010年から2年の計画で、「農山村の活性化」を目的とする農(のう)山村(さんそん)活性化(かっせいか)プロジェクト支援事業が行われましたが、東日本大震災の影響により、現実化には至らなかったと聞いているところです。
そのようなことも踏まえ、イノベーション・コースト構想が法定化した今、別な視点で新たに農業研究開発拠点を本市に整備し、農業に対する風評被害払拭(ふっしょく)のため、本区域への来訪(らいほう)を促進する施設の設置を、国・県に要望することを提案いたします。
お隣の新潟県新潟市では、日本初の公立による宿泊型農業(のうぎょう)体験(たいけん)施設「アグリパーク」が開設されおり、3つの柱を掲(かか)げて運営しています。
1つ目は、子どもたちや一般の方に体験を通して農業の楽しさや大切さを学んでもらい農業への理解を深める「教育ファーム」。2つ目は、農業に興味を持ってもらうための情報提供。就農(しゅうのう)を希望する人に対しての講座を開設する「就農(しゅうのう)支援(しえん)」。3つ目は、地元農家の方々に農産物の加工技術や商品化の指導を行い6次産業化(さんぎょうか)への取組みを支援する「食品加工支援」となっており、直接農業に触れることで教育・体験・観光の複合的(ふくごうてき)な施設構成となっているのが特徴です。また、三重県松阪(まつさか)市も同様の農業公園施設「ベルファーム」が開設されており、県内外(けんないがい)から幅広い年代の皆様が農業体験に訪れているとのことであります。
本市にもこのような拠点施設を誘致し、実際に宿泊して農業体験をしていただければ、本市農業のショールームとして、また新たな農業イノベーションを生み出す土壌(どじょう)作りの場としても大変有効な施設になると考えます。
そして、「いわき」から目に見える形で、全国に向けた風評払拭の情報発信ができるものと思います。そこで2つ目として、
本構想と連動した(イ)体験型農業施設の設置について所見を伺います。
【答弁】18
次は、林業分野についてであります。
林業におけるCLT(直交(ちょっこう)集成板(しゅうせいばん))等の新技術導入を含む県産材(けんさんざい)の新たな需要(じゅよう)創出(そうしゅつ)プロジェクトにおいて、本市にCLT製造拠点が整備される方向であることが、昨年5月末に新聞報道されました。
しかしその後、浪江町も候補に挙(あ)がるなど構想拠点の確定(かくてい)までは進んでいないのが現状のようです。そのような中で、先月、県はいわき市内に建設予定の復興公営住宅にCLTを利用して住宅建設を進めるとの報道がありました。そこで、県の動きに対して、本市としてどのように連携していくのか、
3つ目として、(ウ)CLT関連事業についての本市の所見を伺います。
【答弁】19
(3)3点目の質問は、「構想に対する今後の展望について」です。
イノベーション・コースト構想の実現に向け、事業内容がより具体的となってきた現在、本市として構想拠点となる研究施設などについて、国・県へ市長を先頭に、誘致のアプローチをするなど、今後の動きに期待します。
そこで、これからも構想の中心的役割を果たしいくため、本市は今後、イノベーション・コースト構想に対して、どのように係っていくのか伺います。
【答弁】20
今回、イノベーション・コースト構想が法定化されたことは、浜通りそして本市にとりまして、大変大きな前進であります。今こそ、イノベーション・コースト構想のソフト支援のみならず、研究拠点整備などのハード面についても、より積極的な誘致活動をお願いして、次の質問に移ります。
3 本市における農業・農村振興について
大きな質問の3番目は、「本市における農業・農村振興について」であります。
本市の農業を取り巻く環境は、震災以前からの課題である就農者(しゅうのうしゃ)の減少・高齢化や後継者不足、耕作(こうさく)放棄地(ほうきち)の増加に加え、農産物の価格低迷や生産量の減少など多くの課題を抱(かか)えており、さらには、急速な社会経済情勢の変化もあり、大変厳(きび)しい状況にあると認識しております。
また、東日本大震災に伴い、農地、農業用施設などが甚大(じんだい)な被害を受け、さらには、第一原発事故による農地の汚染や、農産物(のうさんぶつ)の出荷(しゅっか)制限(せいげん)などに加え、その風評により、消費者の買い控えや市場価格の低迷などが見られ、本市の農業は非常に厳(きび)しい状況におかれたものと考えております。
このような中、本市農業・農村の振興について何点か質問をさせていただきます。
1点目は、「本市農業の現状について」です。
本市の農業についてでありますが、全国的な課題である担い手の不足と耕作(こうさく)放棄地(ほうきち)の問題など複合的な課題を抱えているものと思いますが、
まず1つ目として、ア.本市農業の現状について伺います。
【答弁】21
震災前の2010年から15年の5年間で、農業戸数(こすう)は全体から約20パーセント減って約6,200戸。経営(けいえい)耕地(こうち)面積(めんせき)も、同じ5年間で約14パーセント減って約5,300ヘクタールということであり、この期間中に東日本大震災が発災(はっさい)したことで、危機的な状況に拍車をかける結果となったことがわかります。
そこで、このような厳しい農業環境の変化を本市として、どのように分析しているのか、2つ目として、イ.本市における課題などについて伺います。
【答弁】22
担い手や新規就農者(しんきしゅうのうしゃ)など農業にかかわる「人」の問題。耕作(こうさく)放棄(ほうき)やほ場整備など「農地」の問題。農地の集積・集約など「農業経営」の問題。気候に恵まれていることでいろいろな農産物を生産でき産地化(さんちか)が進まない小ロット多品種型農業という「生産性」の問題など、様々な要因が積み重なって現在の状況になっていることは理解するところです。
それではどのようにしてその課題を解決していくのかが大きな問題になってくると思います。
そこで(2)2点目は、「課題解決に向けた取組みについて」であります。
現在、本市も農業・農村振興(しんこう)基本(きほん)計画(けいかく)のもとで、各種施策を展開しているところですが、さらに農業者の皆さんを支えるための支援策があるとのことですので、その内容について伺っていきたいと思います。
まずは、ア.「産地パワーアップ事業」についてであります。
この事業は、国際競争力の強化を図るため、産地パワーアップ計画に基づいて意欲ある農業者の皆さんが高収益(こうしゅうえき)な作物(さくもつ)・栽培(さいばい)体系(たいけい)への転換を図る取組みを支援するものであり、国が昨年度創設(そうせつ)したものです。
そこで1つ目は、(ア)「産地パワーアップ事業」の概要について伺います。
【答弁】23
それでは2つ目として、(イ)支援(しえん)対象者(たいしょうしゃ)等はどのようになるのか伺います。
【答弁】24
支援を希望する皆さんも、これについては審査や承認等もあると思いますのでしっかりとした計画を立てて進めていただきたいと思いますが、
3つ目として、(ウ)本年度の対象予定について伺います。
【答弁】25
今回、対象となられた皆様には、目標とする生産コストの削減をぜひ実現していただきたいと思います。
それでは次に、イ.「機構(きこう)集積(しゅうせき)協力金交付事業」について伺います。
現在、農業の担い手は、高齢化が著しく進行しており、農林水産省によりますと、普段仕事として主に自営(じえい)農業(のうぎょう)に従事している、いわゆる基幹的(きかんてき)農業従事者は年々減少し、平成27年での平均年齢は67.0歳と、昭和の早い世代が多い現状となっていると示されています。
本市も同様で、担い手である認定農業者においては、受託(じゅたく)できる限界まで農地を引き受けており、農地を貸し付けたいと思っても「受け手」が見つからないなどの声も聞いているところです。これまでも、農地の賃借(ちんしゃく)等につきましては、農地法、農(のう)用地(ようち)利用権(りようけん)設定(せってい)、農地利用集積(しゅうせき)円滑化(えんかつか)事業などにより集積が進められてきたと思いますが、やはり、「受け手」が見つからないなどの課題もあったかと思います。このような中、農地の集積・集約を加速化するため、平成26年度に農地(のうち)中間(ちゅうかん)管理(かんり)機構(きこう)が設立され、中間管理機構に対して貸し付けた地域や個人に対し、協力金が交付されます機構(きこう)集積(しゅうせき)協力金交付事業について、本市でも取り組んでいるとのことであります。そこで、まず1つ目として、
(ア)地域(ちいき)集積(しゅうせき)協力金交付事業の概要について伺います。
【答弁】26
次に2つ目として、(イ)経営(けいえい)転換(てんかん)協力金交付事業の概要について伺います。
【答弁】27
経営転換する農業者の方だけでなく、リタイアする方や農地の相続人など本当にどうしたらよいのかわからない場合、この事業がしっかりとした受け皿となり、そして支援が受けられることとなれば、動きは加速すると思います。
それでは3つ目として、(ウ)耕作者(こうさくしゃ)集積(しゅうせき)協力金の概要について伺います。
【答弁】28
大きな目的である中間管理機構に対して、農地を貸し付けた地域や農業者の皆さんに対して支援をすることにより、機構を活用した担い手への農地集積・集約化が加速できるこれらの事業が、農業に関連する皆様方のご理解のもとで速やかに推進されることを心から願うところです。
それでは4つ目として、(エ)これらの本年度交付予定について伺います。
【答弁】29
5つ目、(オ)機構集積協力金の交付予定地区についての特徴を伺います。
【答弁】30
只今の答弁では、ほ場整備を実施している地区においては、農地の集約が進むとともに、地域集積協力金に取組める可能性も高くなると伺いました。
☆関連ですので、ほ場整備の再質問をさせていただきます。
(再質問):ほ場整備のメリットについて伺います。
【答弁】31
いわき市のほ場整備率(せいびりつ)は約5割と記憶しております。
県内においても整備率の低い地域であり早急な対応が求められていると思います。
そのような中、2月10日付の新聞によれば、農林水産省は、小規模(しょうきぼ)農地(のうち)が多く、面的(めんてき)なまとまりを確保するのが厳しい実態(じったい)を踏まえ、今(こん)国会(こっかい)で農地中間管理機構が借り受けた農地について、都道府県営(とどうふけんえい)事業(じぎょう)で、出し手農家の費用負担や同意なしで基盤整備ができる制度を創設(そうせつ)するための土地改良法改正(かいせい)案(あん)を提出するとしています。改正案が通れば、耕作(こうさく)条件(じょうけん)が悪かった地域も事業実施の可能性が高まることから、基盤整備の加速化が大いに期待されるところです。この事業は、認定(にんてい)農業者(のうぎょうしゃ)をはじめ担(にな)い手の育成という観点からも、大変重要と考えますことから、今後も国・県の動向を注視しながら、事業推進をお願いしたいと思います。
(3)3点目の質問は、「本事業の実施効果について」であります。
これらの事業を実施することにより、
本市農業にどのような効果をもたらすのかについて伺います。
【答弁】32
本市におかれましては、農業・農村の目指す姿の実現に向けて振興(しんこう)計画(けいかく)の基本計画に沿い、国・県と連携を図りながら各種事業を総合的・計画的に推進していただきたいと考えます。
また、本市における農業・農村の重要性についても、あらためて十分で丁寧(ていねい)な情報発信をお願いいたします。
今回、市民生活に直結する大切な行政のテーマであります水道・産業(さんぎょう)振興(しんこう)そして農業(のうぎょう)支援(しえん)事業につきまして、本市が目指すべき姿と考える「市内完結型(かんけつがた)社会の構築(こうちく)」という観点から質問をいたしました。
執行部におかれましては、その目標に向けた提案や要望の実現に、
十分意(い)を用(もち)いていただけるようお願いいたしまして、
私の質問を終わらせていただきます。
ご静聴ありがとうございました。